ゴミ収集人、レンガ職人、無実の罪で投獄された経験持つ32歳が初の国際大会決勝へ 「物語の最終章として…」

アドリアン・マルティネス

 アルゼンチンメディアの『TyCスポーツ』は21日、ラシン・クラブに所属するアルゼンチン人FWアドリアン・マルティネスが23日に開催予定のコパ・スダメリカーナ2024決勝を前に発したコメントを報じた。

 現在32歳のマルティネスは、20代前半までクラブと契約をしたことがない選手だった。サッカーは少年時代や17歳のときに地元でプレーをしていたが、ゴミ収集人やレンガ職人として働き収入を得ていた。しかしそれらの職もバイク事故で失ってしまう。

 2014年、そんなマルティネスに悲劇が起こる。兄(弟)が射殺され、更にその後、マルティネスは復讐として襲撃犯の自宅を放火し、強盗をした容疑で逮捕され、刑務所に入ることになった。

 しかし捜査の結果マルティネスの無実が確認され、6カ月後に釈放。マルティネスはのちにインタビューで刑務所での日々を「嫌な思い出を残さないようにしている。何かが起こったんだ。病気に苦しむ人もいれば、刑務所に行く人もいる。大切なのは、それを一人一人がどう乗り越えるかだ」と、ネガティブな経験から前に進む姿勢の重要性を説明した。

 出所後、マルティネスはアルゼンチンの下部リーグのチームのトライアウトに参加し、無給という条件で20代前半にして初めてクラブと契約。26歳でパラグアイのソル・デ・アメリカと契約したことで初めて1部リーグを経験し、パラグアイのリベルタ、セロ・ポルテーニョ、ブラジルのコリチーバで名を上げた。そして2023年に母国へ復帰し、アルゼンチン1部のインスティトゥートACコルドバへ移籍して公式戦41試合出場で18ゴールを記録すると、その実績が評価され、2024年には名門ラシンへステップアップし、加入1年目から公式戦46試合の出場で28ゴール8アシストと活躍している。

 マルティネスが所属するラシンは、23日にパラグアイで開催されるコパ・スダメリカーナ2024決勝でブラジルのクルゼイロと対戦する。その試合を前に同選手は、「自分のキャリアで最も重要な一戦だ。オレにとって本当に大切なんだ。この物語の最終章として…」と苦難を乗り越え続けてきたキャリアの終盤で国際大会の優勝を飾りたいと語った。

 つづけて「自分たちが勝つと思う。オレはいつでもポジティブだ。いつだって物事はうまくいくと、落ち着いた気持ちを持っている」と前向きな気持ち試合に臨むことを説明した。

【プレー動画】アドリアン・マルティネスのゴール集

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