え?なぜ?大谷翔平が決めた51盗塁の記念ベースの所有権を巡って不可思議なトラブルが発生…男性ファンがドジャースを訴える
ドジャースの大谷翔平(30)は前代未聞の「54-59」を成し遂げたが、51個目の盗塁を決めた記念ベースの所有権を巡ってサウスカロライナ州の野球ファンがドジャースを訴えた。米インディペンデント紙が報じたもの。ファンは「貴重なアイテム」の正当な所有者であることを主張し「連邦判事がドジャースに引き渡し命令を出すことを望んでいる」という。記念のホームランボールと違い、野球のベースは争奪戦にはならないはずだが、なぜ不可解な訴訟問題に発展したのか。
50盗塁ベースのひとつ前のベースを約38万円で購入したはずが
大谷が「50‐50」を決めた50号の記念ボールは、オークションに出されて台湾の投資会社「UC Capital」により439万2000ドル(約6億7000万円)で落札された。さらに51号の記念ボールも日本のファッション通販サイトを運営する「ロコンド」により、42万7000ドル(約6500万円)にて落札された。とにかく大谷の「54ー59」関連の記念品には高い値が付く。それほど歴史的な記録だったのだ。
50号の記念ボールの所有権を巡っては、レフトスタンドでの争奪戦に参加していた男性から訴訟が行われているが、なんと今度は51個目の盗塁を決めた際の二塁ベースの所有権を巡ってサウスカロライナ州グリーンヒル在住のメディカルオフィスマネージャー、ジェームズ・ゴセット氏が、現在ベースを保管しているドジャースを相手に「引き渡すように」訴えたのだ。
記念ベースは、ただちにグラウンドのスタッフが取り外してベンチ内でメジャーリーグ機構により承認シールが貼られるなどの作業が行われ、ドジャースが管理。争奪戦にはならないはずだが、この不可解な訴訟の詳細をインディペンデント紙が報じた。
同紙によるとメジャーリーグでは、本拠地チームは1試合に数回ベースを新品と入れ替える。使用済みのベースは、あらゆる種類のボール、バット、ヘルメットなどとともに「ゲーム使用済み」の収集品として販売されているという。
通常のベースの価格は100ドル(約1万5400円)未満だそうだが、同紙は「大谷の50盗塁のベースが、もし市場に出回るとしたら、おそらく莫大な金額になるだろう」と予想した。
ゴセット氏は、50盗塁の記念ベースは大谷の手に渡ることを知っていた。だが、彼が狙っていたのは、そのベ―スではない。この試合中に使用される他のベースには2500ドル(約38万5000円)の値段が表示されていたため、記録とは関係のない他のベースを狙っていたのだ。
訴訟によると、9月18日にフロリダで行われたドジャースとマーリンズとの3連戦の第2戦の30分前に、ゴセット氏は、マーリンズの試合で使用した記念品を扱っている販売部門にメールを送った。
「私が欲しいのは大谷が50盗塁を決めたときに離塁する方のベースです。彼が盗塁を決めたベースを欲しがっているのは知っています。でも取り去られるベースのひとつ前にある塁のベースが欲しいのです。これは誰かへの特別な贈り物。どうか私たちにとっていい返事を知らせてください。それが今夜か明日起きるのなら、私の望みのベースに2500ドル(約38万5000円)を払います」
何度かメールでやり取りをした後、マーリンズの営業担当者からは「わかりました。それが今日または明日に起こるなら。イエスです」と承諾の返答があり、ゴセット氏は「わかりました。ありがとう。これで取り引きは完了ですね。彼が今日か明日にやるかどうか次第でそれは私のものですよね?」と確認のメールを出した。
「イエッサー!」
営業担当者はゴセット氏にこう返信した。
「私があなたに金額を請求しない唯一のパターンは、私たちが望んでいる記録が達成されないケースです。そのときは必要がなくなります」
その9月18日の試合で大谷は49盗塁を決めたが、50盗塁はお預けとなった。だが、翌9月19日の第3戦で大谷は1回にいきなり三盗を決めて50盗塁を達成した。
それを見届けて大喜びしたゴセット氏は、マーリンズの担当者にすぐに「彼がやってのけた!! 1回の二塁ベースを手に入れるためにすぐにメールを返して下さい」とメールをした。担当者は「50盗塁を決めた時点で二塁ベースは取り外され、あなたのために確保されています。今夜遅くに請求書を送ります」と返したという。
しかし「何かが翻訳で失われてしまったようで」大谷が三塁へ滑り込み50盗塁を決めたときの二塁ベースは不可解なことにグラウンドから取り外されることはなかったという。そして2回に大谷はヒットで出塁すると、二塁へ51個目の盗塁を決めた。ゴセット氏が購入した「普通」の二塁ベースが、51盗塁の記念ベースに変わってしまったのである。この日、大谷は、49、50、51本を放ち、前人未踏の「50‐50」を達成した。なおさら51盗塁を決めた記念ベースの価値は上がる。それは、大谷が51盗塁を成功させる前にゴセット氏が購入を約束していたベースである。
9月20日にゴセット氏は、請求書が届いていないことを担当者にメールで伝えると、こう返答があった。
「あなたが購入したいと思っていたベース、大谷が50盗塁をした時の二塁ベースは購入できません。大変申し訳ありません」
さらに「そのベースはロサンゼルス・ドジャースの手に渡りました。このベースが51盗塁の記念のベースになったからです。私はそれまで球団が51盗塁のベースをを受け取ること、そして50盗塁の時に離塁したベースが51盗塁のベースになることも知らされていませんでした。他に何かお手伝いできることがあればお伝えください」
ゴセット氏は訴訟で「マーリンズはそのベースの売却契約を結んでいた。マーリンズがその契約に違反しドジャースもそれを妨害した」と非難している。
訴訟では、そのベースをゴセット氏に引き渡すよう要求し、さらにその試合で大谷が放った50号の記念ボールが439万2000ドル(約6億7000万円)で落札され、51号の記念ボールは「たったの」42万7000ドル(6500万円)だったことも指摘した上で、「もしマーリンズが大谷の50盗塁の後にセカンドベースをきちんと外していれば、51盗塁の記念ベースは別のものになっていただろう」と弁護士のリチャード・ロス氏は説明している。
「ようするに契約があったということです。マーリンズは『契約があるから請求書を出すよ』と言った。そして次に(私のクライアントが)知ったのは『知っているだろう。我々は(ベースを)ドジャースに渡した』と言った。それはナンセンスです。そんなことはできない」
彼らの訴えを裁判所はどう判断するのか。
ドジャース及びマーリンズは、この問題へのコメントをしなかったという。
11/08 11:36
RONSPO