「絶対に離れたくない」ドジャースVパレードで大谷翔平の“盟友”T・ヘルナンデスと先発崩壊窮地を救った右腕フラハティのFA2人が残留を熱望…契約交渉の見通しは?
ワールドシリーズ(WS)を制覇したドジャースの優勝パレードと特別祝賀会が1日(日本時間2日)にロサンゼルス市内とドジャースタジアムで開催されたが、その中で今オフにFAとなる2人の中心選手の重大発言があった。大谷翔平(30)の盟友として知られ、WSでは4試合で4番を打ったテオスカー・ヘルナンデス(32)と、先発崩壊の窮地を山本由伸(26)と共に救った右腕のジャック・フラハティ(29)がチーム残留を熱望したのだ。“世界一”連覇に向けてファンにとっては嬉しいニュースだが、球団は新たな大型補強も模索しており果たして…。
テオスカーの去就はファン・ソトの動向次第
優勝パレードに続き、4万2000人以上のファンで埋まったドジャースタジアムで開催された祝賀イベントでは、大谷が流暢な英語スピーチを披露してファンを喜ばせたが、感動を呼ぶワンシーンもあった。大谷が本塁打を放った際に、ベンチでひまわりの種のシャワーで出迎えることで知られ、チームのムードメーカーでもあるT・ヘルナンデスがスピーチの途中で感極まって号泣したのだ。
「ドジャースは、勝つために僕にここへ来る機会を与えてくれた。そして僕の夢をかなえてくれた。ありがとう」
そして、今オフにFAとなるT・ヘルナンデスは、来季も続けてドジャースでプレーすることを熱望した。
「前にも言ったがドジャースが最優先だ。来年またこのチームでプレーするために全力を尽くす。ここにはたくさんの良い思い出がある。選手として、人として、たくさんのことを学んだ。その一員になれてとてもうれしい」
昨年オフにFAでマリナーズから1年契約の2350万ドル(約36億円)でドジャースに移籍したT・ヘルナンデスは、今季154試合に出場して打率.272、33本塁打、99打点、12盗塁、OPS.840のキャリアハイの好成績を残し、ヤンキースとのワールドシリーズでは、4試合で4番を任され、5点差を追いついた第5戦では、貴重な同点タイムリーを放ちチームの世界一へ貢献した。
MLB公式サイトは、今オフの注目FA選手「トップ25」のランキングを発表したが、T・ヘルナンデスは15位。
「昨年オフにドジャースと1年2350万ドルの契約を結ぶために、他球団からの2年契約のオファーを断ったが、32歳のシーズンに入るこのオフには複数年契約を求めることになる」とし、移籍の可能性のある球団をブレーブス、ドジャース、レッドソックスの順にリストアップした。
オフのトレード情報に詳しい「トレード・ルーマーズ」も、T・ヘルナンデスのドジャース残留がすんなり進むとは見ていない。
「ドジャースが、T・ヘルナンデスと再契約をすれば、チームはレフトの問題を一気に解消できるが、彼は9シーズンで最高の年を終え、プレーオフでの大きなパフォーマンスでさらに価値を高めた。裏を返せば、T・ヘルナンデスは(より好条件で再契約するため)クオリファイング・オファーを拒否するのは確実で、他チームと契約した場合、ドジャースは(FA補償の)ドラフト指名権を手にすることになる。もしチームがアンディ・ペイジズのレフトでの出場時間を増やしたい、あるいは、別の外野手(フアン・ソトのようなビッグネーム)の獲得のためにポジションを空けておきたいのであれば、T・ヘルナンデスを手放し、1年契約が成功だったとみなすだろう」
今オフにFAとなるヤンキースのファン・ソトは、最低でも10年5億ドル(約765億円)という大谷級の超大型契約となることが予想されているが、その移籍先候補として、ドジャースの名前もあがっており、もしそうなればT・ヘルナンデスとの再契約の可能性は低くなる。
また投手陣ではフラハティが来季もドジャースでプレーすることを熱望した。
パレード中に地元局「スポーツネットLA」のインタビューに答えたもので、沿道を埋めた約25万人の大観衆の祝福を「信じられないよ」とした上で、こう断言した。
「この街が大好きだ。絶対にここから離れたくない」
フラハティは、今シーズン途中の“デッドライントレード”でタイガースから移籍した。レギュラーシーズンは、10試合に先発して6勝2敗、防御率3.58の好成績を残した。ポストシーズンを前にクレイトン・カーショー、タイラー・グラスノー、ギャビン・ストーンら先発の軸となる投手が故障で離脱するというチームの窮地を山本と共に救った。パドレスとのディビションシリーズでは、ダルビッシュ有と投げ合い、メッツとのリーグチャンピオンシップシリーズ、そしてワールドシリーズでは、いずれも第1戦と第5戦の先発を任された。
フラハティは前出したMLB公式サイトの注目FA選手ランキングでは9位。
「タイガースとは1年1400万ドル(約21億4000万円)の契約でFA権を得た最初の交渉はうまくいかなかった。今オフ比較的手薄な先発投手市場の中でフラハティは、昨年オフに見つけることに苦労した複数年契約を勝ち取ることができるはずだ」とし、移籍の可能性のある球団をドジャース、メッツ、レッドソックスの順に並べた。
ドジャースの専門メディアである「ドジャーブルー」も「表面的にはドジャースは必ずしも2025年シーズンに向けて投手陣の補強の必要性に直面しているようには見えない。しかし予想される先発ローテーには複数の疑問があり、そのことがフラハティとの再契約につながる可能性がある」という見方をしている。
ドジャースは、他にストッパーのブレイク・トライネン、ワールドシリーズの第5戦でスペシャルなストッパー起用をされた先発のウォーカー・ビューラー、優勝パレードで上半身裸になって盛り上げた外野手のキケ・ヘルナンデスらが今オフにFAとなる。世界一連覇に向けてチームは今オフにどんな補強策に打って出るのか。FA選手の去就と共に注目が集まる。
11/03 06:25
RONSPO