「40年ほど野球を見てきたが最も大きなメルトダウンだ!」ヤンキース超大物OBのジータ氏とAロッド氏がジャッジの“世紀の落球”から始まった“3つのチョンボ”を辛辣批判!

 ワールドシリーズの第5戦が30日(日本時間31日)にヤンキースタジアムで行われ、ドジャースが序盤に5点のビハインドを背負う展開から7-6の逆転勝利をもぎ取り、通算成績を4勝1敗として4年ぶり8度目のシリーズ制覇を果たした。ヤンキースはアーロン・ジャッジ(32)の待望のホームランなどで大量5点をリードしたが、5回に平凡なセンターへの飛球をジャッジが落球するなど、3つの大きな守備の乱れが重なって、5点を失って同点に追いつかれ、最終的に逆転負けを喫した、地元のNYメディアは「すべてはジャッジのエラーから始まった」と厳しく批判した。

 「負けたショックは死ぬまで僕の心に傷跡として残る

 ヤンキースが地元ニューヨークのファンの前で赤っ恥をかいた。
 1勝3敗の崖っぷちで迎えた第5戦。初回に主砲のジャッジに待望のシリーズ初アーチが飛び出し、ジャズ・チザムも続き、2回に追加点、3回にはジアンカルロ・スタントンにも一発が飛び出すなど、3回までに5点を奪う理想的な展開を作ったが、ドジャースにまさかの逆転負けを喫し、2009年以来となる世界一を逃した。
 地元紙の「ニューヨーク・ポスト」は「ヤンキースのスター選手による悲惨な守備で、試合が完全に崩壊した」と、「3つの大チョンボ」で同点に追いつかれた5回の拙守を厳しく非難した。
 “戦犯”にあげられたのは、“世紀の落球”をやってしまったジャッジだ。
 ジャッジは、第4戦まで打率1割台と極度の不振に陥っていた。
「ヤンキースにとって大惨事となったワールドシリーズ第5戦の5回は、すべてはジャッジの落球から始まった。ジャッジはトミー・エドマンの飛球に追いつきながら、一塁走者のキケ・ヘルナンデスの体勢をもチェックしようとしたのか、ボールの落下点からちょっと目を離したように見え、今シーズン初のエラーでピンチを広げた。さらにスコアボードに『0』を刻み、イニングを終了させるはずの平凡な一塁ゴロがタイムリーシングルとなり、ドジャース打線を目覚めさせた。連続した拙守と引き換えに、勝負をロサンゼルスでの第6戦以降に持ち込めると確信していた、ヤンキースタジアムを埋めた5万人近い大観衆からエネルギーを奪い取っていった」
 レギュラーシーズンを通じてジャッジが初めて犯した失策が、ヤンキースに大きく傾いていた試合の流れを一変させた。昨シーズンのサイ・ヤング賞右腕、ゲリット・コールがドジャース打線を無安打に封じて迎えた5回。先頭のキケ・ヘルナンデスがチーム初安打を右前に放った直後だった。続くトミー・エドマンが、4球目のチェンジアップをセンターへ打ち返す。ライナー性の当たりではあったものの、センターのジャッジの守備範囲内であり、ジャッジ自身も余裕をもって捕球体勢に入った。
 しかし、歓声が悲鳴に変わる。ジャッジのグローブからボールがこぼれる想定外のエラー。さらにミスの連鎖が起きる。続くウィル・スミスの遊ゴロで三塁封殺を狙った名手アンソニー・ボルピーの送球がそれて(記録は野選)、無死満塁にピンチを広げてしまったのだ。
 それでもコールも踏ん張り、ギャビン・ラックスと1番の大谷翔平を連続三振に斬ってとったが、またしても痛恨のミスが生まれた。
 ムーキー・ベッツを一塁正面のゴロに打ち取ったかに見えたが、コールが、打球を処理したアンソニー・リゾが、自分でベースを踏むものだと思い込んで、一塁のベースカバーを怠り、リゾも間に合わずセーフにしてしまったのだ。三者残塁でチェンジのはずが痛恨のタイムリー内野安打となった。

 

 

 こうなると、試合の流れはドジャースへと傾く。今シリーズ絶好調のフレディ・フリーマンの中前打、さらにテオスカー・ヘルナンデスの中越え二塁打で、あっという間に5-5の同点に追いつかれた。
 前出の「ニューヨーク・ポスト」によると、第3戦で始球式を務めたヤンキースの“レジェンド”デレク・ジーター氏は「ワールドシリーズを含めたヤンキースのポストシーズンで、このようなイニングを見た記憶がない。ドジャースのような強いチームに対して、ミスを続けていては勝てない」とあきれ、Aロッドことアレックス・ロドリゲス氏は、「40年ほど野球を見てきたなかで、もっとも大きなメルトダウンのひとつだ」と厳しいコメントを残した。
 負けたら終わりのヤンキースは、連続四球に内野ゴロで作った一死一、三塁からスタントンが中犠飛を放ち一度は勝ち越したが、スポーツサイト「エンパイア・スポーツ・メディア」は「このアドバンテージはつかの間のものだった」と報じた。
「守りのミスやチャンスを逃す拙攻がヤンキースを悩ませ続けた。それだけ1イニングで5点を失った、ワールドシリーズ史上でもっとも悲惨な崩壊劇となった5回はヤンキースの勢いをそぎ落とした。ヤンキースファンはジャッジがワールドシリーズ制覇の可能性を握ると信じていたが、皮肉にもバットでアドバンテージをもたらしたジャッジは信じられない拙守で、アドバンテージを手放してしまった」
 8回のドジャースの逆転劇はラックスとベッツの犠飛によってもたらされたが、大谷を出塁させてしまうことになったヤンキースの捕手オースティン・ウェルズの打撃妨害もミスの連鎖のひとつとして各メディアは指摘している。
 地元のスポーツテレビ局「SNY」は、チーム内に続いたミスに対する責任を一身に背負うように語った、ジャッジの試合後のコメントをこう伝えている。
「ドジャースのようなチームにああいうプレーをすれば、彼らは必ずそこへつけ込んでくるし、最終的には自分にはね返ってくる。自分のところへ飛んできたラインドライブをキャッチミスし、その後に2つのプレーが続いた。もしそれ(自分のミス)が起こっていなければ、まったく別の話になっていたかもしれない」
 そしてこう続けた。
「このワールドシリーズで負けたショックは、死ぬまで僕の心に傷跡として残る。この先に僕がキャリアを終えるときにはたくさんの傷跡が残っていると思うけど、そこまでの過程で数多くの勝利を手にできることを願っている」
 レギュラーシーズンで58本塁打、144打点と、大谷を上回る数字でア・リーグ2冠を獲得、リーグのMVP獲得が確実視されているジャッジが初めて臨んだワールドシリーズは、第5戦で復活をしてみせたものの、それまでの大スランプと、球史に残る落球だけをヤンキースファンの記憶に刻んで悲しく幕を閉じた。

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