冷や汗1勝の理由…ソフトバンクはオスナのストッパーで日本シリーズを制覇できるのか…露呈した最強軍団の死角

 プロ野球の日本シリーズ第1戦が26日、横浜スタジアムで行われ、ソフトバンクが5-3で横浜DeNAを突き放した。先発の有原航平(32)が打っては2回に先制2点タイムリー、投げては7回を4安打無失点に抑える好投を見せたが、一方で5点のリードで9回に投入された“守護神”のロベルト・オスナ(29)が4安打を集中されて3失点した。強力打線を擁する横浜DeNAがつけいることのできる死角だ。

 守護神が9回に3失点

「最後は今年一番ドキドキしました」
 日本シリーズ恒例の勝利者監督インタビュー。
 重要な初戦を制したソフトバンクの小久保監督が正直な心境を明かした。
 9回に今宮、栗原のタイムリーで3点を加えて、5点のリードをつけたにもかかわらず、その裏、“守護神”のオスナが“プチ炎上”したのだ。
 先頭のオースティンに二塁打を打たれ、二死を取ったが、そこから梶原、森、代打の筒香に3連打を浴びて2点を献上。さらに桑原は、ボテボテの投手ゴロに打ち取ったが、オスナが一塁へ悪送球して1点を失い2点差となった。一発が出れば、逆転サヨナラとなる一、三塁で主将の牧を迎えたのである。オスナはなんとか踏ん張った。外角のスライダーでセンターフライに打ち取り、ワールドシリーズのヤンキースのようなまさかの悲劇は回避した。
 だが、オスナにはスピードもキレもなかった。
 5-0のままで終わっていれば、“やはりソフトバンクは強い”の印象を横浜DeNAに抱かせていただろう。しかし、指揮官をドキドキさせた9回に強力打線を擁する横浜DeNAがつけいることのできる死角を露呈することになってしまった。
 現役時代に阪神、ダイエー(ソフトバンク)、ヤクルトでプレーしたパ・リーグの野球に詳しい評論家の池田親興氏は、こう問題点を指摘する。
「ソフトバンクは負けなかった。負けた横浜DeNAも希望をつなぎ第2戦への勢いを作った。そんな第1戦だったと思う。ソフトバンクが残した課題はオスナだろう。まだベストの状態に戻りきっていない。カットは常時150キロ、ストレートは160キロ近く出る投手だが、ストレートの最速は153キロ止まりで、空振りが取れずファウルにされるボールが多かった。1点差ゲームでは怖くて使えないだろう」
 オスナは8月2日から9月6日まで腰の炎症の治療のため米国に帰国していた。9月14日のオリックス戦から戦列復帰しているが、まだ本調子には程遠い。
 オスナは33球を投じた。短期決戦だが、おそらく今日27日の第2戦はベンチから外れるだろう。オスナがいない状況で、どんな勝ちパターンを構築できるかが重要になる。
 池田氏は「8回をヒット1本に抑えたヘルナンデスに9回を任せ、8回は杉山でいいと思う。オスナが戻ってきても、そのパターンの合間に使うという流動的な形でいいのではないか。オスナの9回にこだわると、強力な横浜DeNA打線を考えると痛い目に合う可能性も捨てきれない」と提言した。

 

 

 また打線は、近藤がまだ守備には不安があり、DH制の使えないセの本拠地ゲームではスタメンから外れた。
 2回二死満塁から、小久保監督が「100%打たないと思っていた」とあきらめていた有原が、「とにかくバットに当てようと」と気力で、一、二塁間を破る先制の2点タイムリーを放ったが、それがなければ8回まで無失点だった。
 近藤は、代打起用は可能で、8回一死二塁で代打起用され、申告敬遠でチャンスをつないだが、近藤をスタメンの5番で使えないことの影響は出ている。
 池田氏は、近藤をスタメンで使えないハマスタのゲームでのポイントは、この日、1番で起用され、ヒット1本を放った柳田だという。
「ギータはまだタイミングが合っていないが、彼に当たりが出てくれば、打線は活性化する。チームで一番バントのうまい栗原は、バントもできる5番として、近藤の代役を立派に果たしている。ギータが打てば、近藤のいないマイナス要素は消すことができると思う」
 ただ言い換えれば、近藤という“飛車落ち”でも勝ったのだから、それこそがソフトバンクの層の厚さなのだろう。
 また初回に柳田、7回には周東が盗塁を仕掛けたが、2度とも戸柱に刺された。周東は、盗塁を読まれ、ピッチドアウトされていた。
 シリーズ初戦からチームの武器である足を封じ込められたのも嫌な材料だが、池田氏は「“やっぱり走るんだ”と横浜DeNAバッテリーに認識させたことに意味がある。足を警戒することで起きる配球の変化などを利用できる」と見ている。
 重要な第2戦の先発は、ソフトバンクが今季防御率1.88で最優秀防御率タイトルを獲得した左腕のモイネロで、横浜DeNAはCSファイナルで素晴らしい投球を見せた大貫。小久保監督は「もちろん4つ勝つという話しを選手にしていたので、とりあえずあと3つ勝ちます」と宣言したが、4年前から日本シリーズ13連勝となったことについて聞かれ「いや、3つ負けられるのが日本シリーズなので、そこは気にせず一戦一戦やっていきます」と返した。

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