「あと5センチ高く投げていれば」「トーレスの酷い守備で炎上」NY紙がフリーマンの逆転満塁サヨナラ弾に屈したヤンキース「2つの敗因」を厳しく批判!
ワールドシリーズの第1戦が25日(日本時間26日)、ドジャースタジアムで行われ、ドジャースのフレディ・フリーマン(35)が延長10回二死からWシリーズ史上初となる逆転満塁サヨナラ本塁打を放ち、ヤンキースを6-3で下した。ヤンキースの地元紙「ニューヨークポスト」は、サヨナラ弾を浴びた左腕のネスタ―・コルテス(29)の起用と8回に同点ホームを踏んだ大谷翔平(30)の二塁打を中継ミスしたグレイバー・トーレス二塁手(27)を厳しく批判した。
「ティム・ヒルでは大谷を併殺に取ることは難しい。だからコルテス」
その瞬間フリーマンはバットを高く掲げた。変則左腕のコルテスが、ど真ん中に投じた初球ストレート。快音を残した打球は、Wシリーズ初となる逆転満塁サヨナラ弾となってライトスタンドへ消えていった。座っている観衆は1人もいない。大谷は、飛びはねながらベンチを飛び出し、ナインと肩を組み、フリーマンをホームに迎え入れた。
ウォーターシャワーでびしょ濡れとなったフリーマンは、興奮冷めやらぬままフィールド上で中継局のインタビューに応えた。
「言葉が出てこない。夢が叶った。5歳の頃、裏庭で夢を見たことが現実になるなんて。信じられない。でも、まだ1勝。あと3勝だ」
フリーマンは、9月26日のレギュラーシーズンの地区優勝を決めたパドレスとの最終戦で右足首をねん挫した。今でも足の状態はベストではない。それでも負傷者リストにも入らず強行出場を続けている姿勢がなおさら感動を呼んだ。
その一方で、辛口で知られるヤンキースの地元メディアは、2つの敗因を指摘して厳しく批判した。
「ニューヨークポスト」紙は、「コルテスがWシリーズ大惨事となるヤンキースの失敗をお膳立て」との見出しを取り、打たれたコルテスと、マーロン・ブーン監督の起用法を叩いた。
「Wシリーズの10回裏に投げる上で、1カ月以上も休みを取ることが成功の秘訣とならないのは明らかだ」
同紙は、コルテスが9月18日を最後に肘の故障で戦列を離れており、しかも、主に先発で起用されている投手だったことを皮肉を交えて指摘した。ブルペンには左腕のティム・ヒルも控えていたのだ。
そのブーン監督の采配ミスを引き出したのは大谷の存在だった。10回一死一、二塁で大谷を迎えたところで、ブーン監督は、右腕のジェーン・カズンズから変則左腕のコルテスにスイッチした。同紙によるとブーン監督は、ヒルではなくコルテスを選択した理由をこう説明した。
「1アウトの状況で、ティム・ヒルがショウヘイ(大谷)をゴロに仕留めて併殺に打ち取ることは難しく、その後のムーキー(ベッツ)とは厳しいマッチアップとなることが分かっていた。だからあの場面はネスター(コルテス)しかないと感じた」
名前が呼ばれるまで登板を知らなかったというコルテスは「一度、起用されれば、その場面において自信はあった」という。そして大谷、ベッツ、フリーマンというMVPトリオを相手にすることに「自分のための花道だ」とモチベーションを高めていたともいう。
幻惑の“クネクネ投法”でも知られるコルテスは、大谷との過去の対戦成績が12打数2安打だった。コルテスは、大谷をレフトのファウルフライに打ち取った。アレックス・バードゥーゴが、観客席ギリギリでキャッチする大ファインプレー。ただ捕球後に、勢い余って観客性に飛び込んでしまったため、テイクワンベースとなり、二、三塁に走者が進んだ。一塁が空いたこともあり、ブーン監督は、ベッツを申告敬遠し、左対左となるフリーマンとの対戦を選んだ。
「実際に彼はここ数週間、この舞台に向けて本当にいいボールを投げていた。彼はそのための準備をしていたんだ」
大谷のファウルフライを好捕したバードゥーゴも「満塁となったが、左対左の対戦を我々も望んだ」と、ブーン監督のベッツ敬遠策を支持した。
だが、結果は「彼らが望んでいた対戦は裏目に出た」(同紙)。
コルテスは「フリーマンへの投球は、もっと高く投げればよかった。彼は良いスイングをした」と振り返ったという。同紙は「彼は、あと2、3インチ(約5センチから7センチ)高く投げたかった」と解説した。
「完璧な投球ではなかったが、十分に良い球だった。ただ仕留められなかった。私の肘の感触は、今は良く土曜日にどのような反応を示すかを見てみよう。これからもっとたくさん投げなければならない。成し遂げられなかったが、私は戻ってくる」
コラレスは、そう語ったという。
コラレスは、Wシリーズ前に「優勝リングを獲得できるのであれば故障が悪化して来シーズンを欠場するリスクをも負うだろう」との決意も口にしている。
ニューヨークのスポーツテレビ局SNYは、3三振でブレーキとなったアーロン・ジャッジがコルテスをかばったコメントを紹介している。
「私は仲間の選手全員に信頼を持っている。誰であろうと、あのマウンドに上がる選手であれば関係ない。彼は何をすべきか分かっている。マウンドから降ろしたい選手なんて誰もいない」
同紙が、もうひとつの敗因として指摘したのが、8回に大谷を三塁まで進ませた守備の乱れだ。
「ヤンキースはトーレスの酷いエラーでリードを失う」との見出しを取って速報で伝えた。
1点を追う8回一死から大谷はライトフェンスの上部を直撃する二塁打を放った。打球を処理したファン・ソトからの送球を二塁のベースカバーに入ったトーレスがグラブに当てて弾き、塁上で歓喜のパフォーマンスをしかけた大谷は、ボールが転がるのを見て、すぐに三塁を狙い、一死三塁の同点機を演出した。続くベッツがセンターへ犠牲フライを放ち、大谷が同点ホームを踏んだ。この様子を詳しく伝えた同紙は、「ヤンキースが守備のミスで炎上した」と評した。
今日26日(日本時間27日)の第2戦にヤンキースが敗れて連敗するようなことがあれば、本拠地に戻る前に再びNYメディアの厳しい批判を浴びることになりそう。
ドジャースの先発は山本由伸。ブーン監督は「今日の結果は忘れて明日の戦いに備えたい」と厳しい表情で語った。
10/27 07:03
RONSPO