「大谷がド軍PS苦境を解消するはずだったのになぜそうなっていないのか」地元紙が2戦不発で打率.231の“7億ドル男”を批判…SNSでは4本塁打のパ軍タティスとの比較論も過熱

 ナ・リーグのディビションシリーズの第3戦(日本時間9日・サンディエゴ)でドジャースがパドレスに5-6で惜敗して、対戦成績は1勝2敗となり、崖っぷちに追い込まれた。「1番・DH」で出場した大谷翔平(30)は、4打数1安打2三振に終わった。第1戦では起死回生の同点3ランを放ったが、2、3戦と不発でシリーズ打率は.231に急落。地元のロサンゼルスタイムズ紙は、大谷をやり玉にあげる批判記事を掲載。またSNS上では、王手をかける第3戦で2ランを放ちシリーズ4本塁打と活躍するパドレスのフェルナンド・タティスJr.(25)との比較論も過熱している。

 第1戦で同点3ランもシリーズ6三振

 大谷がクビをひねってベンチへ帰った。1点を追う8回だ。明らかに対大谷用にスイッチしてきた左腕のタナー・スコットに対してファウルで粘った。フルカウントから外角高めのスライダーを自信を持って見逃したが、ストライクと判定された。大谷は判定への不服を態度で示したが、ドジャースファンが期待する一発は生まれなかった。
 1回は先頭打者として、パドレスのマイケル・キングのインローへ鋭く曲がるスライダーに空振りの三振。5点を追う3回には無死一塁からバットを真っ二つにへし折られながらも、執念でセンター前に運んで、テオスカー・ヘルナンデスの満塁弾を演出した。しかし、ヒットはこの1本だけ。チームは5-6で敗れ、いよいよあとがなくなった。
 大谷は「あとはないという感覚は自分にはない。シンプルに2連勝すればOK。(満塁弾で)劣勢からあそこまで追い上げている。そこは自信を持っていい。この流れを持ってこれれば、必ず2連勝できると思う」と前を向いた。
 だが、クレイトン・カーショー、タイラー・グラスノー、ギャビン・ストーンのローテーの軸だった3人を故障で欠くチームは、崖っぷちの第4戦をブルペンデーでしのがねばならなくなった。状況的にはかなり厳しい。
 大谷は、本拠地での第1戦に起死回生の同点3ランを放ち、チームに勝利を呼び込んだが、2戦目はノーヒットで、この日も、ポテンヒット1本だけ。打率は.231と急降下している。
 地元紙のロサンゼルスタイムズ紙は、この危機的状況を受けて「大谷翔平はドジャースのポストシーズンの苦境を解消するはずだった。なぜそうなっていないのか?」とのタイトルを取った批判的な記事を掲載した。
「今年はポストシーズンシリーズを勝ち抜くことがテーマだ。今年は野球界の最高の選手がそれを確信させてくる年になるはずだった。だがまだそうなっていない」と書き出した
 ドジャースは2022年、2023年と2年連続でディビジョンシリーズで敗退している。同記事ではドジャースのオーナーであるマーク・ウォルター氏が10年7億ドル(約1043億円)で大谷と契約した際に「この10年は(ポストシーズンで勝てずに)失敗だった」と語り、大谷をポストシーズンを勝ち抜くための使者として迎えたことを紹介。
「公平であろうがなかろうが、7億ドルで契約した彼への期待が大きくなる」とした上で、ここまで13打数1本塁打3安打で、3度出塁しているものの、シリーズで最多の6三振で「パドレスの誰よりも2倍多い」と指摘した。
「シーズンで59盗塁を記録した大谷はポストシーズンでは盗塁をしていない」
 また今シーズン出塁率でリーグトップだった大谷の出塁率がシリーズではチーム内でマックス・マンシーに次いで2番目に悪いことも付け加えた。
 同紙は「夏のパフォーマンスも10月には何の保証もない」としてヤンキースのアーロン・ジャッジがシーズンの最多本塁打記録を更新する62本塁打を放ちMVPに輝いた2022年のアリーズのチャンピオンシップシリーズで16打数1安打に終わっていたことを例に出した。
 またパドレスが“デッドライントレード”でブルペンを整備して、今シリーズの防御率が1.69であること、そしてその際に獲得したスコットが今シリーズで大谷から3試合連続で3三振を奪っていることに注目した。

 

 

 大谷の「もちろん彼は素晴らしい投手です。しっかりとしたアプローチで打席に立つことが大事」というスコットに対するコメントも伝えている。
 一方で、同紙は前出の大谷の前向きな発言と共に、シリーズでの奮起へのエールを込めて、デーブ・ロバーツ監督のコメントを紹介している。
「確かなことは彼にとってその瞬間は大きすぎないということだ。相手は良い投球をしていると思う。彼は第1戦で良い成績を収め(それ以来)やや抑えられていたが、それでも今日は1本打った。彼はまだ良い感触を持っている。失投を見逃さない準備ができている。そして明日翔平が特別なことをやってくれると予感している」
 またフレディ・フリーマンも「彼はここまで良いシリーズを送っている。みんなが打率.400を打つことを望んでいることは分かっている。私たちは1人、2人、そう考えているが、相手の素晴らしいブルペン陣と対峙しているんだ。それでも我々は良い結果を出している」と大谷を援護した。
 同紙は「もちろん(敗因は)大谷に限ったことではない」としてドジャースのシリーズ打率が.216で、先発投手の防御率が10.13であることを示した上で、記事をこうまとめた。
「大谷をリードオフマンと呼ぼうが、7億ドルの男と呼ぼうが、それではダメなのだ」
 チームと共に崖っぷちに追い込まれた大谷へのメッセージだ。
 またSNSでは、大谷とパドレスのスター、タティスの比較論が過熱している。今シリーズで、1本塁打、3打点、打率.231の大谷に対して、2番を打っているタティスは、4本塁打、5打点、打率.556と大活躍を見せている。この日も、2回に2ランを放ち、6点のビッグイニング演出に一役買った。
 米メディアの「スポーツキーダ」は、「タティス>大谷」と書かれたXのポストを紹介した。SNSでは「タティスはプレーオフが好きなんだろう」「10月を完全に支配している」などタティスを絶賛する声が相次いでいる。
 ちなみにレギュラーシーズンの成績は、大谷が54本塁打、130打点、打率.310で、タティスは、21本塁打、49打点、打率.276だった。
 また同サイトは、エンゼルスのジョー・アデルを応援しているファンのXでの「ドジャースは大谷翔平のキャリアを無駄にしている」というポストを紹介した。
 これには「おまえは大谷に出ていかれたエンゼルスファンだからそんなことを言うんだろう」などの反論のリポストも多くあったが、ファンが言いたいのはパドレスの猛攻を防ぐことのできない投手陣の不甲斐なさを暗に批判しているのだろう。
 いずれにしろパドレスの本拠地で行われる日本時間10日午前10時プレーボールの第4戦は「負ければ終わり勝てば逆王手」という勝負の1戦となる。

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