「大谷翔平とチームにとっていい考えではない」チームドクターでもある執刀医のストップでプレーオフでのリリーフ登板プランは完全消滅

 ドジャースの大谷翔平(30)が26日(日本時間27日)、本拠地でのパドレス戦に「1番・DH」で出場し、2-2で迎えた7回に決勝タイムリーを放つなど、5打数3安打1打点の活躍で7-2の逆転勝利に貢献、チームは3年連続22回目の地区優勝を決めた。ナ・リーグのチャンピオンシップ、そしてその先にあるワールドシリーズでの大谷のリリーフ登板が話題になっていたが、執刀医でもあるドジャースのチームドクターは「彼にとってもチームにとってもいい考えではない」とストップをかけた。ロサンゼルスタイムズ紙が伝えたもの。すでにアンドリュー・フリードマン編成本部長も、ポストシーズンの登板の選択肢がないことを明かしており、リリーフ登板プランは完全消滅。大谷は「打と走」に集中して世界一を目指すことになる。

 大谷を2度手術した執刀医が警鐘鳴らす

 大谷のポストシーズンのリリーフ登板問題に最終結論が出た。すでに20日(日本時間21日)にフリードマン編成本部長が「今のところその選択肢はない」と否定していたが、改めてドクターサイドからストップがかかった。
「肘や肩の手術から復帰した人がポストシーズンで競技に復帰するのは、あまり良い考えではありません」
 ドジャースのチームドクターであるニール・エルトラッシュ氏がロサンゼルスタイムズ紙のインタビューに対して答えたもの。
 大谷は2018年10月、昨年9月と過去に2度のトミー・ジョン手術を行っているが、いずれも執刀医はエルトラッシュ氏。フランク・ジョーブ博士の元で学び、現在、カーラン・ジョーブ整形外科クリニックに所属している名医で、サイヤング賞の有力候補のブレーブスクリス・セールヤンキースアーロン・ジャッジも手術した。大谷のリハビリの陣頭指揮を執っている。
「この時期には、競技復帰のための(本格的な)リハビリ(登板)を開始するマイナーリーグの試合がありません。最初の試合がポストシーズンとなれば、そこは高いストレスのコンディションとなるでしょう」
 大谷は、一度目の手術では、2019年は登板せず、短縮された2020年シーズンに2試合短い登板をしただけだった。2度目の手術でも、当初、今シーズンの投手としての復活は見送られる方針だった。だが、ブルペンでのリハビリ投球練習で150キロを叩きだすほど回復が順調で、しかもデイブ・ロバーツ監督が「どんな可能性に対してもドアを閉めない。もし状況が整い、必要性が生じ、試合展開や大谷の身体の状態などのすべての条件が揃ったらそれは素晴らしいこと」と発言したことからプレーオフでの登板の可能性が広く報じられた。 
 大谷が昨年春のWBC決勝の米国戦で9回にリリーフ登板。当時のエンゼルスの同僚で4番のマイク・トラウトを三振に打ち取ったシーンに、リーグチャンピオンシップ、あるいはワールドシリーズの最後の重要な局面で大谷がリリーフ登板する姿が重ねられた。先発に故障者が続出して投手陣が手薄になっているというチーム事情もあった。

 

 

 だが、エルトラッシュ氏は、その早すぎる復帰に警鐘を鳴らした。
 通常トミー・ジョン手術からの復帰は、14か月かかるとされており、「手術を一度経験しているからといって万全になるわけではありません。神があなたに与えた靭帯を引き裂くことができるなら、私たちが手術した(補強した)靭帯を引き裂くこともできます」と、ブレーキをかけた。
 それでも回復は順調で、本来ならば、この時期の球速は90マイル(約145キロ)以内に抑えねばならないが、大谷は93マイル(約150キロ)に到達しているという。球団は、近日中に、リハビリの次の段階となるライブBPを10月に行うか、11月にズレ込ませるかの協議の場を大谷と持つという。
 チームは10月13日(日本14日)からのナ・リーグのチャンピオンシップシリーズで、パドレスとメッツの勝者と対戦して、ワールドシリーズ進出権を争うことになるが、大谷は、打者一本に集中して悲願の世界一を狙うことになる。
 シャンパンファイトに酔いしれた大谷は「まだ試合はある。気をゆるめることなく最後まで駆け抜けたいですし、その先を見据えながら頑張りたいと思います」と初体験となるポストシーズンに向けて気持ちを高めていた。

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