打者に専念した大谷翔平、記録ずくめのレギュラーシーズン終了…勢いのままポストシーズンへ

 【シカゴ=平沢祐】米大リーグは29日、各地で行われ、ナ・リーグのブレーブスメッツを除いてレギュラーシーズンが終了した。ロッキーズ戦に1番指名打者(DH)で出たドジャースの大谷は4打数1安打、打率3割1分で、3割1分4厘のアラエス(パドレス)には及ばなかった。八回に59個目の盗塁を決めた。54本塁打と130打点はリーグトップで2冠がほぼ確実となった。また日本のプロ野球で評価されるトリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁)もマークした。試合は2―1で勝利。

 打者に専念する今季、大谷は一度も離脱することなく、7年目で最も打席に立った。レギュラーシーズン最後の731打席目で、自己最多を37本更新する197安打目を放った。

8回1死1塁、レギュラーシーズン最終打席で安打を放つ大谷(29日)=片岡航希撮影

 3打席目までいずれも内野ゴロ。逆転での首位打者のタイトル奪取と三冠王の夢は遠のいたが、ただでは終わらない。八回一死一塁で、真ん中低めの99・3マイル(約159・8キロ)の直球を糸を引くようなライナーで右前にはじき返した。塁に出ると、二塁走者と重盗を仕掛けた。捕手が三塁に送球したため、大谷は悠々と二塁へ。昨年の3倍近い59盗塁に到達した。

 2年前、エンゼルス時代のレギュラーシーズン最終戦で、当時の大谷はこう言った。「今日で終わってしまうというのは、不本意なところ。本来なら、ここからがスタートというか、本番ぐらいの感じでいければ」。ドジャースに移籍し、ナ・リーグ西地区優勝を果たした今年は、まさにここからが本番となる。5日からは、自身初の、チームにとっても2020年以来のワールドシリーズ制覇を目指すプレーオフが始まる。

 規格外のパワーとスピードを象徴する「54本塁打、59盗塁」という勲章を得ても、「もうここから先は、シーズン中に積み上げた成績とか、数字というのは意味ない」と言い切る。「自分の調子をしっかり維持して、気持ちを切らさずにまず、(地区シリーズまでの)間の日を過ごしていきたい」。終盤戦の勢いそのままに、未知なる戦いに挑む。(米コロラド州デンバー 帯津智昭)

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