MVP大谷翔平、真美子夫人とグータッチ!来季二刀流復帰へ「開幕をもちろん目指しています」サイ・ヤング賞「そうなれたら、もちろん最高」

米大リーグ、ナ・リーグのMVPに満票で選ばれ、専門局MLBネットワークの番組で笑顔を見せるドジャースの大谷(左は妻・真美子さん)ドジャースの公式インスタグラム(@dodgers)より

 ドジャース・大谷翔平投手(30)が21日(日本時間22日)、全米野球記者協会(BBWAA)が選出するナ・リーグの最優秀選手(MVP)に満票で選出された。史上12人目となる3度目の受賞で、DH専任選手、移籍してリーグをまたいでの2年連続受賞はともに史上初。発表の様子を放送したMLBネットワークの番組には真美子夫人(27)と愛犬のデコピンも出演し家族で喜びを分かち合った。来季は初の投手タイトルとなるサイ・ヤング賞も目指し、再び二刀流でメジャーを席巻する。

 3度目の偉業でも初々しかった。ベージュ色のジャケットを着た大谷は、MLBネットワークの中継内で同僚のカーショーからMVPを伝えられ「やば、全然聞いてなかった」と苦笑い。抱えていた愛犬のデコピンが手元を離れると、真美子夫人と手をたたいて喜び、グータッチをして偉業を分かち合い、代理人のバレロ氏らも含めて乾杯。「他のチームにも素晴らしい選手がいる中で、これだけ評価してもらったのは素直にうれしいですし、自分自身の今後の励みにもなる」。DH専任、異なるリーグで2年連続MVPは史上初の快挙だった。

 昨オフ、FAで6年間在籍したエンゼルスから10年総額7億ドル(約1022億円=契約発表時のレート)でドジャース入り。54本塁打、130打点で2冠王に輝くと、史上初の「50―50」(50発&50盗塁)も達成し、チームのワールドシリーズ(WS)制覇にも貢献した。打者専念のシーズンで重圧もあった加入1年目のMVPに、「今年1年は満点に近い結果だったのかなと。チームとして結果を出したというのは満点に近い要因」と珍しく自身に合格点を与えた。

 不安に打ち勝った1年でもあった。新天地、大型契約、打者専念、水原元通訳との別れ…。ひとつボタンを掛け違えれば、浮いた存在になって批判が集中する可能性も十分にあった。開幕前は「チームメートと早く溶け込めるようにというのが、キャンプで一番やっていたこと」。開幕直前に掲げた目標は個人成績でもチームの勝利でもなく「早く一員として認められるように」だった。新たな家族、真美子夫人とデコピンを心のよりどころに、チームでも個人でも頂点に立って「僕がチームを代表してもらった賞だと思っている」。受け入れてくれた同僚への感謝の思いを口にした。

 10月26日のWS第2戦では、二盗を試みた際に左肩を脱臼。その後は強行出場を続けたが、全日程終了後の11月5日に左肩手術を受けた。術後初めて公の場に姿を見せ、左肩をあまり動かさずにかばっているような様子も見せたが、すでに抜糸をすませ、体幹トレーニングなどを再開したことを報告。「見通しよりも少し状態があまりよくなかった」としながら、来季の開幕からの二刀流復帰へ向けて「もちろんスタートから投げる、打つのをもちろん目標にして動いている。開幕をもちろん目指しています」と力強く言い切った。

 来季は2年ぶりに投手、二刀流に復帰する。これまで史上最多7度受賞したB・ボンズ(パイレーツ、ジャイアンツ)以来2人目となる4度目のMVP受賞にも期待がかかるが、サイ・ヤング賞とのダブル受賞も夢も膨らむ。「そうなれたら、もちろん最高ですし。まずは復帰して、しっかりともう一度、さらに強くなったパフォーマンスっていうのを出して、自信を持ってマウンドに上がれるのがまず目標」。新たな歴史を作り、また次の偉業へと挑むということを繰り返してきた大谷。視線の先にはまた新たな野望が広がっている。(安藤 宏太)

 ◆大谷翔平に聞く

 ―3度目のMVP受賞。

 「本当にドジャースの一員、一人として代表してもらったと思っている。それくらい、ポストシーズンもみんなでつかみ取ったものだと思っている」

 ―今季は打者専念で受賞。

 「MVPを取りたいなみたいな感じでシーズンに入ってはいない。新しいチームに来て、早く一員として、ファンの人たち、チームの人たちに認められたいなという思いだった。特に前半戦はそういう感じ」

 ―WS制覇を家族でも祝福したか。

 「パレードが終わった後に比較的すぐに手術だったので、本当に時間がなかった。その日からここまで何もできずに、ベッドでじっとしていました」

 ―WSを制覇してMVP。

 「チームとして特別な結果を出した年に、個人としても評価していただいたということで、特別ですし、今後の励みにもなる。来年以降もチームとしても個人としても頑張りたい」

 ―チームにかかる重圧もあったと思うが。

 「高い期待の中で結果を出していくことは、チーム全体としてプレッシャーのかかる中で、監督もフロントも結果を出していくのは、みんな1年間、難しいシーズンだった。来年以降、ますますそういう気持ちが強くなると思うが、さらにそれを超えていけるように全員で頑張っていきたい」

 ―左肩リハビリの状況は。

 「今、主に可動域を広げていく作業をしている。もう抜糸も終わって傷口は閉じているので、今日から、ついさっきから体幹トレーニングと下半身のトレーニングが再開した感じ」

 ―50―50は目標にしていたか。

 「(シーズン前)目標の数字はなかった。もちろん、盗塁は強化しているポイントのひとつだったので増やしたいとは思っていた」

 ―途中から打順が1番になったが意識したことは。

 「シーズン途中からリードオフ(1番)になったので、どの打順でも変わらずにアグレッシブに変わらず過ごしたいと思っていた」

 ◆大谷MVP記録

 ▽DH 1973年からア・リーグ、2022年からナ・リーグでDH制が導入され、DHのみだった選手の受賞は史上初。

 ▽両リーグ 両リーグでの受賞はフランク・ロビンソン(61年レッズ、66年オリオールズ)以来2人目。

 ▽移籍で2年連続 92、93年のB・ボンズ(パイレーツ、ジャイアンツ)以来2人目。リーグをまたいでの2年連続受賞は史上初。

 ▽通算3度目 2位タイで史上12人目。7度受賞のB・ボンズ(パイレーツ、ジャイアンツ)が単独トップ。

 ▽満票 3度の受賞はいずれも満票。2度の時点で史上初だったが、3度目でさらに記録を更新。ドジャース史上初。

 ▽ドジャース 19年のC・ベリンジャー以来5年ぶり15度目(13人目)。球団別では24度のヤンキース、21度のカージナルスに次ぎ3位。

 ▽両リーグMVPが複数受賞 ジャッジも2年ぶり2度目の受賞。両リーグとも複数回受賞となったのは、ともに3度目だった1955年のR・キャンパネラ(ドジャース)、Y・ベラ(ヤンキース)以来69年ぶり2度目。

 ▽両リーグ満票 昨年のアクーニャ(ブレーブス)、大谷に続いて2年連続2度目。

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