【巨人】執念のサヨナラ打で歓喜のウォーターシャワー…担当記者が選んだ吉川尚輝のベストゲーム

12回1死二塁、吉川尚輝 サヨナラ打(カメラ・上村 尚平)2024年5月29日撮影=東京ドーム 

 巨人が4年ぶり48度目(1リーグ9度含む)のリーグ優勝を達成し、球団創設90周年の節目を飾った。担当記者が選んだ各選手のベストゲームを深掘りする。

 ◆5月29日 巨人1X―0ソフトバンク(東京ドーム)

 [勝]平内1勝 [敗]オスナ2敗12セーブ

 勝利への執念がバットに乗り移った。吉川尚輝内野手が難攻不落の守護神を砕き、試合を決めた。0―0の延長12回1死二塁。ソフトバンク・オスナの初球、外角高め153キロを捉えた。右翼フェンス直撃のサヨナラ二塁打。「絶対に打ってやろうという気持ちだった。うれしかったです」。歓喜のウォーターシャワーは格別だった。

 自己改革が結実した。開幕前はレギュラーを明言されていなかった。「これまで、結果が出ているとは思っていなかった。だから、変えることに抵抗はなかったです」。居場所が確約されていなかっただけでなく、近年は成績が伸び悩んでおり、今季を「変化のシーズン」と設定した。打撃フォームを試行錯誤し、2年目以降同じだったバットの形状も変更。春季キャンプでは連日、若手のように早出や居残り練習で振り込んだ。シーズンに入ると状況に応じてバットを短く持ち、食らいつく。数々の変身が「二塁・吉川」を不動のものにした。5月2度目の劇打は、バットを短く持って振り抜いたものだった。

 心身ともに充実の時間を過ごす中、常に個人よりチームのことを思ってきた。主力になってから優勝経験はなく、リーグVへ並々ならぬ覚悟があったからだ。「僕の数字とかではなくて、チームが勝てればいいんです。僕が打たなくても勝てればうれしいし、勝てればそれでいいと思っているから、とにかく勝ちたい」と言い続けてきた。勝利のために奮闘する男の気迫が、4年ぶり優勝への原動力になった。

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