マジック点灯で見せた阿部監督の名采配とは 高橋由伸氏「準備は整った」

1回、吉川尚輝は悪送球を誘い一気にホームイン。喜ぶ阿部慎之助監督(カメラ・小林 泰斗)

◆JERA セ・リーグ 巨人6―0DeNA(19日・東京ドーム)

 隙のない試合だった。阿部監督の狙い通りになったと思う。優勝マジック9が点灯した18日の試合後、会見よりもミーティングを優先したと聞く。若い選手が多いチーム。万が一でも浮かれてほしくない。先に自らの言葉で引き締めたかったのだろう。その思い、監督経験者として痛いほど伝わってきた。

 2007年と同じで、最後までどう転ぶか安心できない。マジックは一つの目安であり、安定剤でもない。隙をつくれば相手にマジックは渡る。結局は「1」になるまで安心できないのだ。阿部監督は選手、コーチとしても経験を積み、怖さを知っているから最高のタイミングでのお告げだ。この日にいい集中力を生んだ“名采配”だった。

 この試合、初回先頭の丸が口火を切り、相手のミスに乗じて3点を先制した。暴走気味とはいえ、モンテスの一邪飛で二塁からタッチアップした吉川など、何とか先の塁を狙う攻撃的な姿勢が目立った。5回先頭では浅野がセーフティーバントを決めた。優勝争いの中でも周りが見えている証拠。スピードあり、躍動感あり。場内を盛り上げ、岡本和の2ランを呼んだ。

 阿部監督の「石橋をたたいて渡る」行動が、優勝への階段を上らせた気がする。20日からのマツダ、22日からの甲子園へ、準備は整った。(スポーツ報知評論家・高橋 由伸)

ジャンルで探す