巨人にマジック点灯させた岡本和真の走塁…内野ゴロの間に3塁から猛ダッシュ、頭から滑り込み同点つかむ

 巨人2-2DeNA(セ・リーグ=18日)――規定により延長十二回で引き分けた。巨人は1点を勝ち越された直後の八回、岸田の内野ゴロの間に追いついた。その後は両チームの救援陣が踏ん張った。首位の巨人に優勝へのマジックナンバー「9」が点灯した。自力優勝の可能性を残していたDeNAとの直接対決に引き分け、巨人を除く5球団の自力優勝の可能性が消滅した。

 4時間23分の戦いを終え、首位チームが引き分けに持ち込み、優勝へのマジックナンバーも点灯させた。それでも、巨人の阿部監督はミーティングで手綱を緩めることなく、 叱咤しった した。「マジックはついていないようなもの。浮かれるのは『1』になってから」。この戦う姿勢を、4番がプレーで示してくれたのではないか。

8回1死2、3塁、岸田の内野ゴロの間に生還する3塁走者・岡本和=西孝高撮影

 1点を勝ち越された直後の八回、先頭で打席に入った岡本和は四球を選んだ。安打とバントで一死二、三塁。相手の内野はバックホーム態勢をとって前へ出る。ここで岸田が打ったゴロに三塁走者の岡本和が素早く反応。猛ダッシュをかけると、大きな体で頭から滑り込んだ。DeNAの二塁手・牧が本塁への送球を諦める、ファイトあふれる走塁でもぎ取った1点だ。

 追いつかれた直後の六回、先頭で迎えた打席にも魂がこもっていた。フルカウントから外角低めのチェンジアップに食らいついた。一発を狙っていれば拾えないボール球を左手1本で捉えて中前打に。本塁打のタイトル争いより、出塁にかける意気込みが表れた。

 本塁打王に輝いた昨季、チームは2年連続の4位に甘んじた。4番、主将として責任を感じたからこそ改めて誓った。「今年は好機で回れば走者をかえし、先頭ならチャンスメイクできる打撃を目指す」。守備でも本職の三塁ではなく、一塁、左翼と、チーム事情でめまぐるしく変わるポジションに対応してきた。

 試合後、土で汚れたユニホームで整列した岡本和に笑顔はなかった。「マジックは意識せず、残りの試合を勝てるように頑張る」。2位阪神とのゲーム差は1・5。この覚悟こそ、監督が今、チーム全体に求める姿だろう。(福井浩介)

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