東京シティ・フィル創立50周年のシーズンラインナップが発表
来年4月に創立50周年を迎える「東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団(以下、シティ・フィル)の2025-2026シーズンのラインナップ発表会見が行われ、常任指揮者の高関健、首席客演指揮者の藤岡幸夫、コンサートマスターの戸澤哲夫、楽団長の志田明子らが出席。50年の歩みを振り返ると共に、アニバーサリーイヤーに向けた意気込みを語った。
1975年に自主運営のオーケストラとして、指揮者・堤俊作を中心に、若き音楽家たちにより設立されたシティ・フィル。創立指揮者の堤をはじめ、十束尚宏、飯守泰次郎、矢崎彦太郎、宮本文昭、そして現在の高関、藤岡と錚々たる面々が参画し、半世紀に及ぶ歴史を築いてきた。志田楽団長は「自主運営であること」を同楽団の第一の特徴として挙げ「ひとりひとりの団員の意思が反映されることを重視し、決定まで時間がかかるが、みなが納得して前に進むことができる」と説明する。コロナ禍を挟みつつも年々、定期会員や定期演奏会の平均観客数は増加の一途を辿っており、地域に根差した活動に加えて、近年ではオペラ作品を演奏会方式で取り上げ高い評価を得るなど、存在感を示している。
2025-2026シーズンは、東京オペラシティおよび、ティアラこうとうの改修工事のスケジュールに合わせる形で、それぞれの会場で6公演、4公演の定期演奏会を行なうほか、2026年2月、3月にはサントリーホールにてマーラーの交響曲第6番イ短調「悲劇的」、同じく交響曲第2番ハ短調「復活」が特別演奏会として演奏される。
会見に出席した星野繁太事業部長がシーズンの「目玉」と語ったのが、9月の定期演奏会(東京オペラシティ)における高関マエストロの指揮によるヴェルディの歌劇「ドン・カルロ」(演奏会方式)。前回の「トスカ」の成功を礎に「(「トスカ」での)大胆なステージ配置などで得た経験を元に、演奏会方式のオペラの可能性をさらに追及し、より進化した舞台をお届けしたい」と意気込む。高関マエストロにとっても同オペラは「思い出の作品」とのこと。ベルリンに留学した際に、カラヤンが録音した同オペラを聞いて「心の底からビックリしました」と明かした。
また7月の定期演奏会(東京オペラシティ)では、かつてシティ・フィル指揮研究員を2年間務め、このたび大阪フィルの指揮者に就任した松本宗利音を迎え、研究員時代に飯守マエストロから直接指導を受けたブラームスの交響曲第2番が演奏される。
10月の定期演奏会(東京オペラシティ)では昨年に続き、鈴木秀美を客演指揮者、チェロに山崎伸子を迎え、シューマンのチェロ協奏曲が披露される。
ティアラこうとうでの定期演奏会では50周年を祝した多彩なプログラムが組まれており、4月にはショスタコーヴィチ没後50周年ということで交響曲第1番と第5番が演奏される。高関マエストロは「最初と最後の交響曲を比べて聴いてほしい」と語る。
また5月には日本・ブラジル友好交流年(日・ブラジル外交関係樹立130周年)として、2021年の第19回東京国際音楽コンクール〈指揮〉で第1位と聴衆賞を獲得したブラジル人指揮者ジョゼ・ソアーレスを迎え、日本とブラジルにちなんだプログラムが実施される。ピアニストとしてジャズ界の新星・壷阪健登も参加することになっており、日本とブラジルの新たな才能の共演に注目が集まる。
藤岡マエストロの指揮による9月の定期演奏会では、シティ・フィルと縁の深い芥川也寸志の代表作である「交響管弦楽のための音楽」、またバイオリニスト・木嶋真優を迎えて林そよか作曲の「ヴァイオリン協奏曲」が演奏される。藤岡マエストロは、首席指揮者を務める関西フィルハーモニー管弦楽団では林さんの作曲による曲をすでに10曲以上も初演していることを明かし「まだ若い作曲家で、東京でなかなか取り上げる機会がなかったのですが、彼女にしか出せない味があります」と称賛と共に東京での演奏への意気込みを口にしていた。
なお、戸澤コンサートマスターは、今年の年末でシティ・フィルのコンマスに就任してちょうど30年という節目を迎える。戸澤は30年の中で最も長い年月を過ごした飯守マエストロについて「シティ・フィルの音楽の基本、音作りの基本は飯守マエストロの時代に大きく培ってきたもの」と感謝の言葉を口にし、高関・藤岡マエストロと歩んでいる現在のシティ・フィルについても「若手が増えきている状況で、上昇気流に乗っていると思います。演奏の現場は活気にあふれています」と語り、さらなる飛躍を誓っていた。
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
■チケット情報
https://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=11011458
11/22 18:00
ぴあ