「川」をテーマにしたプログラムに注目。東京女子管弦楽団 第5回定期公演

2022年創設という新進気鋭のオーケストラ、「東京女子管弦楽団」が、5回目の定期公演を開催する。

年2回の定期公演を中心に、オーケストラメンバーによる室内楽コンサートや、リサイタルシリーズなども定期的に開催してきた同オーケストラは、「“女性がもつパワーの提起”と、“音楽家の社会的地位向上”を目指し、演奏会主催や教育機会提供を通じて、女性音楽家に優れた活躍の場を提供する」という理念のもとに活動を展開。クラシック界に新風を吹き込む注目の存在だ。

2024年11月の第5回定期演奏会では、「川」をテーマに、クラシック史上屈指の名曲が選ばれていることにも注目したい。スメタナの交響詩『我が祖国』は、祖国チェコの独立を望む“象徴”として誕生した作品で、今もスメタナの命日に開催される音楽祭「プラハの春」の初日に必ず演奏される“チェコの国民的名曲”だ。中でも名高い『ヴルタヴァ』は、チェコ国内最長の川を描いた名作で、近年では、ドイツ語の『モルダウ』ではなく、チェコ語の『ヴルタヴァ』と呼ばれるようになった超人気曲だ。

“ワルツ王”ヨハン・シュトラウス2世のワルツ『美しく青きドナウ』も気になるところ。新年恒例の人気イベント「ウィーンフィルのニューイヤーコンサート」で必ず演奏される作品にして、“オーストリア第二の国歌”として愛されてきた名曲であるとともに、来る2025年が、ヨハン・シュトラウス2世の生誕200年にあたるメモリアルイヤーだけに、その予習も兼ねて聴いておきたい。

そして、最後に演奏されるシューマンの交響曲第3番『ライン』にまつわる逸話も心に残る。スイスアルプスに端を発し、ドイツとフランスの国境を北に向かって流れ、オランダ国内で2つに分かれつつ北海に注ぐライン川は、ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』の序夜『ラインの黄金』にも描かれているように、ドイツ人にとって極めて神聖な存在だ。シューマンにとってもそれは同様、1829年5月に母親に送った手紙には、「ライン川はドイツの神のようにゆったりと音も立てずに厳粛に横たわっています」と、初めてライン川を観た感動を書き送っているのだ。

今回のコンサートにおいては、川にまつわる素敵な音楽にどっぷり浸る時間が楽しめること間違いなし。ちなみにこの公演をドライブする指揮者が湯川紘恵であることも、川にちなんだコンサートに華を添えるエピソードに違いない。

東京女子管弦楽団 第5回定期公演

■チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2432825

11月26日(火) 19:00開演
18:25~プレコンサート
紀尾井ホール

Program
スメタナ ヴルタヴァ(モルダウ)
シュトラウスⅡ 美しき青きドナウ
シューマン 交響曲 第3番 変ホ長調 Op. 97 「ライン」

出演
指揮 湯川 紘惠

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