ソン・ジュンギ「ひと晩中チゲを食べ続けた」。『このろくでもない世界で』物語のカギとなる本編映像公開

公開中の映画『このろくでもない世界で』より、本編映像が公開された。

裏社会で生きる男チゴンと、暴力が蔓延る町で貧困に喘ぐ18歳の少年ヨンギュが交錯したことで、運命が思わぬ方向へと走り出す様を描いた本作。裏社会の男・チゴンを『ヴィンチェンツォ』『ロ・ギワン』のソン・ジュンギ、18歳の少年・ヨンギュを映画初主演のホン・サビンが演じる。監督・脚本は、本作が初の長編となるキム・チャンフンが務めた。

公開されたのは、犯罪組織のリーダー・チゴンがヨンギュに手料理を振る舞い裏社会での生き方を教えていくシーン。映像は、普段は人を傷つけているであろうナイフを用い、手慣れた手つきで魚を捌くチゴンのシーンから始まる。手持ち無沙汰なヨンギュは、飲み物を用意しようと冷蔵庫から水を取り出すも思いとどまり、酒の瓶を手にする。その瓶のぶつかり合う音を聞いたチゴンから、「俺は飲まない。奴らの酒だ。飲んでもいいぞ」と言われると、ヨンギュはそっと酒を元に戻す。

チゴンが作ってくれていたのは、メウンタンという韓国ではポピュラーな魚のチゲだった。ふたりは向かい合い同じ鍋を突き始める。無言で食べ進めていたふたりだが、ふとチゴンがヨンギュのキャップを取り「顔の傷は使い物になる、教えてやるよ」と呟く。

これまで自分を顧みてくれる大人なんていた試しがなかったヨンギュは、初めて自分を気にかけてくれるチゴンの言葉に感動し、目を潤ませる。育ちの悪いチゴンは、手掴みで魚を食べ始める。それを見ていたヨンギュは、意を決したように同じように真似て手づかみで食べ始める。ふたりは見つめ合いながら、無言で魚を食らう。初めてふたりの心が触れ合ったこの夜に、ヨンギュはこの裏社会でチゴンに着いて生きていく覚悟を固めるという非常に重要なシーンとなっている。

キム・チャンフン監督曰く、「メウンタンはもちろん手づかみで食べる料理ではなく、ヨンギュがこれからチゴンの住む世界へ入って真似をしていく、という覚悟を表すシーンにしたかった」という。このシーンはソン・ジュンギにとっても印象的だったようで、「ヨンギュとチゴンが共感という感情を構築する重要な瞬間だ。夜中の2時ごろから一晩中チゲを食べたが、終わるころには魚の生臭い匂いがした(笑)。苦労した分、いいシーンが撮れたようでやり甲斐があった」と満足げに語っている。

『このろくでもない世界で』本編映像【チゴンの手作りチゲ】

<作品情報>
『このろくでもない世界で』

公開中

公式HP:
https://happinet-phantom.com/hopeless/

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