村上春樹 人間には“2つのタイプ”がいる!?「どっちがいい悪いじゃない。それぞれに役割が違うんです」

作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。2023年12月31日(日)の放送は「村上RADIO~いろんなお便りを読みながら大晦日~」をオンエア。
今回は、リスナーの皆さんからいただいたメールを読んで、村上さんがお答えしていく特別回。仕事にまつわる質問から、プライベートにまつわるものまで幅広い質問に答え、大晦日にぴったりな楽曲とともに紹介しました。
この記事では、「男女間のパートナーシップを良好に保つために、村上さんが心掛けていることは?」という質問に答えました。



◆Freddy Cannon「Everybody Monkey」

マロンさん(58歳、女性、福岡県)
<男女間のパートナーシップを良好に保つために、村上さんが大切にしていることを教えてください>

今日はいろいろと難しい質問が来ますね。でもいいですよ、がんばってお答えしましょう。役に立つかどうかはわかりませんが。
僕はいつも思うのですが、おおまかに分けて、人間には「大きなやかん」型と「小さなやかん」型の2つのタイプがあると思うんです。大きなやかんはなかなかお湯が沸かないけど、いったん沸いたら長い間冷めません。小さなやかんはすぐに沸くけど、わりにすぐに冷めてしまいます。
どっしりしているか、あるいは小回りが利くか。これって、どっちがいい悪いじゃなくて、それぞれに役割・用途が違うんです。

で、男女のパートナーシップにおいて大事なのは、その役割をそれぞれがうまくこなしていくことだと思います。1人がもともと大きなやかんで、もう1人がもともと小さなやかんという組み合わせがいちばん好ましいんでしょうが、そうじゃない場合、あるいは役割がはっきりしない場合には、状況に応じて意図的にどちらかが「小さなやかん」になったり、「大きなやかん」になったりする必要が生じます。そういうことがすらっとできるようになると、「男女間のパートナーシップ」は本物になってきます。
というのが僕の基本的な考え方なんですが。

フレディー・キャノンの「Everybody Monkey」を聴いてください。フレディー・キャノンは主に1960年代に活躍したポップ・シンガーで、お気楽な歌をお気楽に歌うのが特徴です。僕は昔からこの人が好きだったんですけど、あとになってデイヴィッド・リー・ロスが出てきたとき、「おお、この人こそフレディー・キャノンの後継者だ!」と嬉しくなりました。ごくお気楽に聴いてください。フレディー・キャノンの「Everybody Monkey」。

<収録中のつぶやき>
この時代モンキーダンスというのが流行ったんですよ。この曲を聴きながらモンキーダンスを踊ろうという……オー、モンキー、モンキー、モンキー、モンキー、モンキー!



番組では他にも、「作家さんとしてAIについてどう思いますか?」「どうやって的確で分かりやすい文章を書いていますか?」など仕事にまつわる質問から、「村上さんは何もやる気が起きないときはどうしますか?」などプライベートにまつわる質問にも答えました。

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2023年12月31日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2023年1月8日(月)AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:村上RADIO~いろんなお便りを読みながら大晦日~
放送日時:12月31日(日)19:00~19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/

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