【2024年10月クール】今からでも間に合う! 最終回まで見逃せない「秋ドラマ」3選【ネタバレあり】
2024年の秋ドラマが各局で放送され、ゴールデン・プライム帯の作品以外にも良作ばかりそろっている印象。11月に入って多くの作品が中盤に差し掛かっています。見逃し配信サービスも多い中で、作品を見ていない人は最終回までに追いつく最後のチャンスが今です。
今回、毎クール全てのドラマをチェックしている元テレビ局スタッフが、最終回が気になる作品を三つ紹介していきます。
藤原竜也さんが主人公・興玉雅を演じ、ヒロインの雨野小夢は広瀬アリスさんが担当。そのほかの主な出演者は、小日向文世さん、ユースケ・サンタマリアさんと曲者ぞろいとなる渋めのドラマです。
脚本は、ドラマ『ストロベリーナイト』(フジテレビ系)、『ラストマン-全盲の捜査官-』(TBS系)などを手掛ける黒岩勉さん。サスペンスミステリーの名手と言われる黒岩さんが、超常現象と刑事ドラマを融合させた作品を生み出しました。
ドラマでは、ベースとして「全領域異常解決室」(通称・ゼンケツ)という捜査機関がストーリーの主軸となります。興玉はゼンケツの室長代理で、知識、記憶力、洞察力にすぐれ次々と不可解な事件を解決。異常なまでの超常現象やオカルトの知識を持ち、通常の捜査では解決できない事件を、さまざまな角度から検証して犯人を割り出します。さらに武術の達人であり、どんなことにも動じない冷静沈着なキャラクターを、藤原さんが熟練の演技力で見事に表現しています。
このドラマの魅力は、通常の刑事ドラマとは違いさまざまな事件が「超常現象」として登場するところです。例えば、第1話「シャドーマンと神隠し事件」では、服と持ち物、血液が残って遺体が見つからない「神隠し」をモチーフにして物語が進みました。最終的には犯人が仕組んだトリックだったのですが、最後の謎解きに持っていくまでオカルト・ホラー要素も存分に楽しめる回でした。
興玉は毎回、「神隠し」や「シャドーマン」など非現実的な事象についてしっかり説明し、ストーリーに深みを持たせていきます。そのうえで、オチでは事件の解決も行うので、視聴者は気持ちよくドラマを見終えることができます。とはいえ、ヒロインの雨野は超能力的な素質があることが明かされ、さらに福本莉子さんが演じる謎の女・豊玉妃花や、事件発生のたびに登場する「蛭児(ヒルコ)」という犯行声明の謎など、オカルト要素もしっかり残しているのがポイントです。
第5話は、これまでと打って変わって千里眼の能力を持つ少女が事件を解決するオカルト全開の回でした。しかも、不思議な能力を使う豊玉は味方だったことが判明し、主人公・興玉は「僕も神です」と告白。興玉・豊玉は神々の生まれ変わりで特殊な能力を持っていることが提示され、一気に終盤にかけてSF要素も取り入れ、ラスボスである「蛭児」との戦いが盛り上がる展開となってきました。
こういった不思議なストーリー展開が新感覚で、映画のような映像美にもこだわった演出も見どころです。現在までさまざまな伏線が張られているので、最終回が見逃せないドラマになっています。
日生マユさん作の人気漫画をドラマ化した作品で、松下洸平さんが小児科医・牧野峻を演じています。牧野先生が活躍するのは病院ではなく保健室で、学校医として小学校に赴任するところから物語はスタート。小学生たちとの交流を通して体や心のケアをしていく、心温まるヒューマンドラマとなっています。
このドラマの魅力は、なんといっても松下さん演じる牧野先生。ボサボサの髪形に常に無愛想な顔、さらに文句ばかり言うこれまでの保健室の先生では考えられないようなキャラクターです。ただ医師としての腕は確かで、児童の小さなサインも見逃さずに病を突き止めていきます。“ダメ人間”なのに、誰もがとりこになってしまう牧野先生の不思議な魅力を、松下さんが抜群の演技で作り上げています。
ドラマは基本的に1話完結で、それぞれの回で生徒の問題や病が取り上げられ牧野先生が一緒に解決するストーリー。ただ、牧野先生は寄り添うだけでなく、時には厳しく児童を突き放します。子どもだからといって容赦はせず、一人の人間として真摯(しんし)に向き合う姿勢が痛快なドラマです。この『放課後カルテ』で圧巻なのは、優秀な子役がそろっているところ。松下さんの演技も秀逸ですが、児童を演じる子役の表現力は他のドラマにはない世界観を生み出しています。
さらに第4話でクローズアップされた、水本羽菜を演じた小西希帆さんも名演技を披露。羽菜は家庭の問題で孤独感を抱え、自傷行為や暴力的な行動に出てしまう破壊衝動に悩む児童。かなりヘビーな役でしたが、自分の境遇を達観しているような表情など、子役とは思えない演技を見せています。松下さんと子役たちの演技が化学反応を起こすことで名場面が連発され、視聴者はグイグイとストーリーに引き込まれていく見事なドラマです。
また、医療ドラマとして、AEDの使い方をしっかりと視聴者に見せた場面も秀逸でした。第2話では児童の冴島啓(岡本望来)がAEDを使用しなければいけない場面で、長尺で機器の本格的な使い方を見せています。誰でも使用する可能性があるAEDですが、ドラマや映画で使用される際は、簡略化して描かれるところ。しかし、このドラマでは機器を使用するところを、約10分間にも及ぶワンカット長回しにより、児童の目線を通して牧野先生の電話での指導の基で紹介することに成功しました。
制作サイドの本気度が垣間見えるシーンであり、『放課後カルテ』が最終回まで見るべき作品であると、印象付けてくれました。
2015年に放送された『民王』の続編で、主人公・武藤泰山は引き続き遠藤憲一さんが担当。前作では、菅田将暉さん演じるおバカで気の弱い息子と入れ替わった泰山ですが、今回の続編では、首相という大役を引き受けた後に、毎回違う国民とランダムに入れ替わってしまうことになります。
第1話では、今回から登場したあのちゃん演じる冴島優佳と入れ替わり。独特な喋り方を遠藤さんはコピーし、いきなり爆笑をかっさらうことに成功しています。また、第3話ではまさかの5歳児と入れ替わり、無邪気な子どもを熱演。毎回、遠藤さんのコミカルで笑える演技が見どころになり、コメディー作品として秋ドラマで一番の面白さを誇っています。
また、笑えるだけでなく現在の政治を皮肉ったような、熱いストーリーも健在。安定感抜群のドラマで、笑って泣けていろいろと考えさせられる作品として中毒者を増やしています。
さて、最終回まで見たい3作品を紹介しましたが、短い深夜ドラマも含め良質な作品が多く放送されています。TVerやNetflixをはじめ、各局の見逃し配信でも第1話から気軽に見られるサービスがそろっているので、気になるドラマがあった人はぜひとも、最終回までに視聴することをおすすめします。
この記事の筆者:ゆるま 小林
長年にわたってテレビ局でバラエティ番組、情報番組などを制作。その後、フリーランスの編集・ライターに転身。芸能情報に精通し、週刊誌、ネットニュースでテレビや芸能人に関するコラムなどを執筆。編集プロダクション「ゆるま」を立ち上げる。
(文:ゆるま 小林)
今回、毎クール全てのドラマをチェックしている元テレビ局スタッフが、最終回が気になる作品を三つ紹介していきます。
超常現象やオカルトを取り込んだ、新感覚の刑事ドラマ
まず1本目に紹介するのは、『全領域異常解決室』(フジテレビ系)です。藤原竜也さんが主人公・興玉雅を演じ、ヒロインの雨野小夢は広瀬アリスさんが担当。そのほかの主な出演者は、小日向文世さん、ユースケ・サンタマリアさんと曲者ぞろいとなる渋めのドラマです。
脚本は、ドラマ『ストロベリーナイト』(フジテレビ系)、『ラストマン-全盲の捜査官-』(TBS系)などを手掛ける黒岩勉さん。サスペンスミステリーの名手と言われる黒岩さんが、超常現象と刑事ドラマを融合させた作品を生み出しました。
ドラマでは、ベースとして「全領域異常解決室」(通称・ゼンケツ)という捜査機関がストーリーの主軸となります。興玉はゼンケツの室長代理で、知識、記憶力、洞察力にすぐれ次々と不可解な事件を解決。異常なまでの超常現象やオカルトの知識を持ち、通常の捜査では解決できない事件を、さまざまな角度から検証して犯人を割り出します。さらに武術の達人であり、どんなことにも動じない冷静沈着なキャラクターを、藤原さんが熟練の演技力で見事に表現しています。
“オカルトドラマ”かと思いきや……?
そんな『全領域異常解決室』ですが、設定を見るとオカルト要素の強いドラマのように思えます。しかし、「神隠し」「キツネツキ」といった超常現象を扱いながらも、最終的には犯人が巧妙に仕組んだトリックだったという事件ばかり。各回の序盤で、上手に超常現象・オカルト的なにおわせを行いながらも、最終的には人間が行った犯行だったことが判明する凝ったストーリー展開を見せます。このドラマの魅力は、通常の刑事ドラマとは違いさまざまな事件が「超常現象」として登場するところです。例えば、第1話「シャドーマンと神隠し事件」では、服と持ち物、血液が残って遺体が見つからない「神隠し」をモチーフにして物語が進みました。最終的には犯人が仕組んだトリックだったのですが、最後の謎解きに持っていくまでオカルト・ホラー要素も存分に楽しめる回でした。
興玉は毎回、「神隠し」や「シャドーマン」など非現実的な事象についてしっかり説明し、ストーリーに深みを持たせていきます。そのうえで、オチでは事件の解決も行うので、視聴者は気持ちよくドラマを見終えることができます。とはいえ、ヒロインの雨野は超能力的な素質があることが明かされ、さらに福本莉子さんが演じる謎の女・豊玉妃花や、事件発生のたびに登場する「蛭児(ヒルコ)」という犯行声明の謎など、オカルト要素もしっかり残しているのがポイントです。
第5話は、これまでと打って変わって千里眼の能力を持つ少女が事件を解決するオカルト全開の回でした。しかも、不思議な能力を使う豊玉は味方だったことが判明し、主人公・興玉は「僕も神です」と告白。興玉・豊玉は神々の生まれ変わりで特殊な能力を持っていることが提示され、一気に終盤にかけてSF要素も取り入れ、ラスボスである「蛭児」との戦いが盛り上がる展開となってきました。
こういった不思議なストーリー展開が新感覚で、映画のような映像美にもこだわった演出も見どころです。現在までさまざまな伏線が張られているので、最終回が見逃せないドラマになっています。
松下洸平演じる“愛すべきダメ人間”が魅力の『放課後カルテ』
次に紹介するのは、『放課後カルテ』(日本テレビ系)です。日生マユさん作の人気漫画をドラマ化した作品で、松下洸平さんが小児科医・牧野峻を演じています。牧野先生が活躍するのは病院ではなく保健室で、学校医として小学校に赴任するところから物語はスタート。小学生たちとの交流を通して体や心のケアをしていく、心温まるヒューマンドラマとなっています。
このドラマの魅力は、なんといっても松下さん演じる牧野先生。ボサボサの髪形に常に無愛想な顔、さらに文句ばかり言うこれまでの保健室の先生では考えられないようなキャラクターです。ただ医師としての腕は確かで、児童の小さなサインも見逃さずに病を突き止めていきます。“ダメ人間”なのに、誰もがとりこになってしまう牧野先生の不思議な魅力を、松下さんが抜群の演技で作り上げています。
ドラマは基本的に1話完結で、それぞれの回で生徒の問題や病が取り上げられ牧野先生が一緒に解決するストーリー。ただ、牧野先生は寄り添うだけでなく、時には厳しく児童を突き放します。子どもだからといって容赦はせず、一人の人間として真摯(しんし)に向き合う姿勢が痛快なドラマです。この『放課後カルテ』で圧巻なのは、優秀な子役がそろっているところ。松下さんの演技も秀逸ですが、児童を演じる子役の表現力は他のドラマにはない世界観を生み出しています。
天才子役の熱演に視聴者も涙!
第1話にて、野咲ゆきを演じた増田梨沙さんの演技も圧巻でした。ゆきは突然の眠気に悩んでいる児童で、居眠りをしてしまうため怠け者だと友達や親から信用をなくしていました。その異変に気付いた牧野先生は、居眠りの原因が病気であることを突き止め、治療を行うことを宣言します。牧野先生と向き合う中で、ゆきは自身のつらい胸の内を涙ながらに話す神シーンを披露。多くの視聴者の涙を誘いました。さらに第4話でクローズアップされた、水本羽菜を演じた小西希帆さんも名演技を披露。羽菜は家庭の問題で孤独感を抱え、自傷行為や暴力的な行動に出てしまう破壊衝動に悩む児童。かなりヘビーな役でしたが、自分の境遇を達観しているような表情など、子役とは思えない演技を見せています。松下さんと子役たちの演技が化学反応を起こすことで名場面が連発され、視聴者はグイグイとストーリーに引き込まれていく見事なドラマです。
また、医療ドラマとして、AEDの使い方をしっかりと視聴者に見せた場面も秀逸でした。第2話では児童の冴島啓(岡本望来)がAEDを使用しなければいけない場面で、長尺で機器の本格的な使い方を見せています。誰でも使用する可能性があるAEDですが、ドラマや映画で使用される際は、簡略化して描かれるところ。しかし、このドラマでは機器を使用するところを、約10分間にも及ぶワンカット長回しにより、児童の目線を通して牧野先生の電話での指導の基で紹介することに成功しました。
制作サイドの本気度が垣間見えるシーンであり、『放課後カルテ』が最終回まで見るべき作品であると、印象付けてくれました。
秋ドラマで1番笑えるコメディー作品『民王R』
最後に紹介するのは、『民王R』(テレビ朝日系)です。2015年に放送された『民王』の続編で、主人公・武藤泰山は引き続き遠藤憲一さんが担当。前作では、菅田将暉さん演じるおバカで気の弱い息子と入れ替わった泰山ですが、今回の続編では、首相という大役を引き受けた後に、毎回違う国民とランダムに入れ替わってしまうことになります。
第1話では、今回から登場したあのちゃん演じる冴島優佳と入れ替わり。独特な喋り方を遠藤さんはコピーし、いきなり爆笑をかっさらうことに成功しています。また、第3話ではまさかの5歳児と入れ替わり、無邪気な子どもを熱演。毎回、遠藤さんのコミカルで笑える演技が見どころになり、コメディー作品として秋ドラマで一番の面白さを誇っています。
また、笑えるだけでなく現在の政治を皮肉ったような、熱いストーリーも健在。安定感抜群のドラマで、笑って泣けていろいろと考えさせられる作品として中毒者を増やしています。
さて、最終回まで見たい3作品を紹介しましたが、短い深夜ドラマも含め良質な作品が多く放送されています。TVerやNetflixをはじめ、各局の見逃し配信でも第1話から気軽に見られるサービスがそろっているので、気になるドラマがあった人はぜひとも、最終回までに視聴することをおすすめします。
この記事の筆者:ゆるま 小林
長年にわたってテレビ局でバラエティ番組、情報番組などを制作。その後、フリーランスの編集・ライターに転身。芸能情報に精通し、週刊誌、ネットニュースでテレビや芸能人に関するコラムなどを執筆。編集プロダクション「ゆるま」を立ち上げる。
(文:ゆるま 小林)
11/12 20:15
All About(人気記事)