「表の理由とマジの理由、どっち聞きたい?」麻倉瑞季がVTuber・MonsterZ MATEに迫る
グラビアアイドル麻倉瑞季が、敬愛するVTuberと対談する企画、麻倉瑞季の「あしゃくの異空間」。今回はボーカリストにして狼男のアンジョーと、ラッパーにして吸血鬼のコーサカによるユニット「MonsterZ MATE」が登場。
以前からMonsterZ MATEのファンだったという麻倉が、対談相手にMonsterZ MATEの二人を指名した理由とは? そして、VTuberの業界でも意見が分かれるという「魂」の問題について聞いた。
魂を公言した本当の理由
麻倉:聞きたいことがたくさんあるんですけど、自分の話からさせていただくと、小学生の頃からニコ動にハマっていて、歌い手界隈がずっと好きだったんです。お二人のことももちろん知ってて、はしやんさん……と言っちゃっていいんですか?
コーサカ:どうぞどうぞ。
麻倉:コーサカさんは「はしやん」として、アンジョーさんは「un:c」として知っていて、はしやんさんは“歌うまっ”、un:cさんは“イラストも書けるんだ、喋ったときのギャップがエグッ”と思ってました。
で、「肉チョモランマ」※1を見ていて、そこでun:cさんが「今VTuberとして活動してる」と仰っていて、初めてMonsterZ MATEを知ったんです。さっきもコーサカさんがさらっと「どうぞ」とおっしゃってましたが、「魂」※2を公言してますよね、それはどういう理由なんですか?
コーサカ:インタビューとかで喋ってる表側の理由と、マジの理由、どっちが聞きたいですか?
麻倉:えー! えっと、マジの理由、いや! どっちも聞きたい!
コーサカ:まず表側の理由は“中身は誰だ、魂は誰だ”みたいなネットのまとめが多くてキモかったんで、それに対するアンサーとしてやったのがひとつ。あと、差を作らない。 ちゃんと作ったら素との乖離に悩みそうだなって思ったんです。だから俺たちは、そこで齟齬を起こさないために公言する。それが雑誌のインタビューとかで言ってる整えた理由ですね。
麻倉:整えた理由なのに結構ぶっちゃけてもらってる、ありがたい……。じゃあ、マジの理由ってなんですか?
コーサカ:自分の作っているものです! って言いたいなって。
アンジョー:そうだね。
麻倉:最高、たしかにそうですよね。
コーサカ:クリエイターだったら全部等しく評価してもらって、実績にしたいじゃないですか。だから俺たちが、まずそういう姿勢を見せて、これでも成立すんじゃん、というのを見てほしかった。そこには反発もあるだろうけど、一生懸命やるだけだなって。
アンジョー:うん、そうだね。あと、“無理がないように”というのは、二人のなかで一貫しているかもしれない。僕らはもともと友達だから。仕事とはいえ、“なんか面白いことができたらいいよね”を大事にしているんです。
“ 遊んでいるときのノリが出るといいよね”でやっているけど、そこで設定を組んで、ガチガチに固めた状態でやっても、それはもうノーフューチャーだなって。じゃあ自然にやろうよって、それこそ自然に決まったかな。
コーサカ:X(旧Twitter)も普通に明かしてやってたし。完全にキャラを演じきった存在でやる、やり取りは好きじゃないなって。てか、演じきった状態では、普段見せている遊びを見せられないな、というのが二人の共通認識。
アンジョー:僕たちは普段の会話で発生した、ごっこ遊びが面白いと思っている。だから、そこを大事にするためには、土台がフラットでなければいけないよねって話。
コーサカ:俺らがこのスタイルでやって、手段のひとつとしてメインストリームになったら、楽になる人も出てくるだろうから、“絶対に頑張りたいな”というのは、フワッと思ってたかな。
麻倉:フワッと(笑)。
コーサカ:そう、フワッと。熱語りするのダサいし。
麻倉瑞季はネットが下手!?
麻倉:中身を公言することによって、SNSが燃えたりとかしてないですよね。私は炎上しがちなので……。
コーサカ:もちろん、言ってる人はいましたけど、別にそこに言い返す必要もないというか、むしろ言われて当然だし。
麻倉:それは、Vに魂はない派の人が言っているだけですよね。設定がガチガチが好きな人。
コーサカ:そうっすね。あとは、やっぱり界隈がそうあるべきだ、と思ってる人からすると、俺たちはめちゃくちゃ異物に見えたと思うんで。
アンジョーさん:難しいね。
コーサカ:でもそんなの、別にVに限ったことじゃないじゃないですか。グラビアアイドルはこうあるべき、タレントはこうあるべき、インタビューはこうあるべき、どのジャンルでもあることなので、別に不思議なことじゃない。麻倉さんだって、固定観念とか、見えない同調圧力のようなものに、ひとつひとつ自分の意見を言ってるからこそ、ちょっと燃えたりするんだろうし。
麻倉:まさに! お二人を選ばせていただいたのは、そこをわかってくださるだろうな、というのがあったんですけど。……え!? ボクのSNSとか見てるんですか?
コーサカ:はい。
麻倉:ええええ、恥ずかしい!
コーサカ:そうなんすか?
アンジョー:麻倉さん、椅子でぐるぐる回転してる(笑)。
麻倉:だって、推しに見られるの恥ずかしすぎる。まずそもそも、この対談を受けていただいたタイミングで、どうもボクのこと知ってくれているらしい、というのも驚きだったし、現場にはスタッフの藤木さん※3もいらっしゃるし。
コーサカ: 藤木は視聴者に認識されるのが苦手なんで。
麻倉:えー! だって、ボクからしたらシュークリーム※4の配分がおかしな人ですもん。YouTubeを見てたら出てくるから仕方ない!
コーサカ:藤木は目立ってる裏方の存在が嫌いなので、自分がそれになりたくない。でも、俺はそれ好きだから。
アンジョー:なるほどね(笑)。
コーサカ:藤木が調子に乗って表出るようなタイプだったら、俺はフィーチャーしないけど、本人がそういうタイプじゃないからフィーチャーする。麻倉さんに気づいたのは、フォローしてもらってわりとすぐだったかな。フォロー欄を定期的に見るタイプなんです。で、誰であっても気になったら半年間くらい遡るんですけど、麻倉さんは“ネットうまくねえな”って。
麻倉:(爆笑)。でも、コーサカさんもネットうまくないですよね。
コーサカ:そうそう。俺、うまくないから、うかつにポストしないようにしてます。ていうか、うまくないんじゃなくて、つまんないやつに付き合わない。でも、麻倉さんは、ちゃんと匿名のザコにも向き合ってあげるから、優しいんだと思う。
麻倉:めっちゃ良い解釈してくれてる。
コーサカ:でも見た感じ、俺と同じスタンドっぽいなって思いましたよ。
麻倉:やべえ。
コーサカ「ジョーさんは俺より全然怒る」
麻倉:コーサカさんの魅力は、やっぱ“ラップつよつよ”のところです。素人の意見なんですけど、ラップって声が大事だなと思っていて。
コーサカ:ラップは、マジ声勝負だと思います。
麻倉:うわ、マジ声勝てねえわ、と思うぐらい良い声で。
アンジョー:勝負しようとしてたんだ(笑)。
麻倉:いやいや、私が勝負しようとしてなくて、みんなが絶対「勝てねー」ってなる声をしてる、天性の持ち物だなと思って。リリックも自分で書かれてて、それも年々進化を続けているというか。
上から目線になっちゃうんですけど、勉強家、努力家だなと思うし、雑談回を見てても、回しをやってらっしゃるし、全部できるんだなって。あとは、すめらぎ琥珀先生が作成した最近のビジュがすごい好きです。
コーサカ:めちゃくちゃいいですよね。
麻倉:キャップを後ろで被っているビジュアルもいいんですけど、今もそうですけど、ライブのときのバケハのビジュがめっちゃ良くて。
コーサカ:さっき、MonsterZ MATEの成り立ちの話で、カウンターカルチャーと言ったんですけど、二人のビジュアルで気をつけたのは、特定ジャンル向けになり過ぎないようにってところです。普段の帽子もキャップにしたのは、活動を続けていくうえでバケハに変えてみる、そういう余白を作りたかったから。そういう反応はうれしい。
アンジョー:よかったね。
コーサカ:やってよかったね。
麻倉:可愛い。この会話、可愛いです。尊い。
コーサカ:話を戻すと、ラップが声大事っていうのは、もうマジで本当にその通りで。もちろんスキルも重要なんですけど、正直ラップって声1本勝負だと思ってます。俺、自分の声に何も特徴がないと思ってるんで。
アンジョー・麻倉:そんなことない!
コーサカ:二人がユニゾンしたけど(笑)。俺の価値観だと、本当にしょうもないなって。
麻倉:本当にそんなことないですけど、たとえば、コーサカさんが“この人の声になりたい!”みたいな声ってあるんですか?
コーサカ:ラップをやる声としては¥ellow Bucksさん、Bonberoさん、LEXさん。普通の声だとしたら、櫻井孝宏さんになりたいです。櫻井孝弘さんか石田彰さんになりたい。俺はもう自分の声が、声優さん的な良さも、ラッパー的な良さもないのがすごいイヤです。
アンジョー:そんなことないと思うけどな、僕がコーサカの声を一番聞いてるんで。
麻倉:ミックスをやられてますもんね。
アンジョー:ちょっと専門的な話になるんですけど……コーサカの声は、どのマイクを使っても、誰よりも抜けてくる声質なんです。その時点で、まず唯一無二の声じゃないですか。
コーサカ:それ、まじ居酒屋の注文のときしか役立たないのよ。「すいませーん」って。
麻倉:(爆笑)。でも、それって便利かも。
アンジョー:たぶん周波数とか、抜けるところなんですね。届くってことは、ラップが届くってことですから。
コーサカ:自分では良いと思ってないんですけど、こうして活動していると褒められるし、母親にも「お前、ラップしてるときの声はいいな」って言われたし。
アンジョー:お母さま、カッケーっす。
麻倉:ほかにも、下ネタを話すときに口角が上がっているのが、Vでもわかるところが好きです。
コーサカ:下ネタ話すときなんて一番楽しいですから。でも、逆をいうと自分のプレイヤーとしての弱点は、機嫌悪いのとつまんないのがバレすぎちゃうんで。だから、もう隠さないようにしてますね。
麻倉:アンジョーさんは、話し声と歌声が全然違う。だから最初、気づかなかったんです。でも、歌ったら「un:cさんだ」ってなるのがスゴい、あと絵もうまい。エイプリルフールの恒例のやつ、毎年楽しみにしてますし、あとやっぱ今日お会いして思いましたけど、仏です。
アンジョー:そんなことないっす。
コーサカ:俺らが作り上げたジョーさんのイメージだな。
麻倉:え、なんか優しいイメージだったんですけど。
コーサカ:俺より全然怒る。
アンジョー:でも基本、仕事のことでしか怒らないです。
コーサカ:ジョーさんは喧嘩するのはあんま好きじゃないみたいで、道理が通ってないことに対して誠実に怒ってるよね。あと、クリエイティブが阻害されることに対してはすごく怒る。
麻倉:でも、話を聞いてみて、二人は同じ方向を見ているんだなと思いました。
コーサカ:そう見えているならよかった。“おや?”と思うことがあったら、お互い言葉できちんと伝えるようにしているから。やっぱり、自分が何を思っているかなんて、言わないと伝わんないからね。
【麻倉瑞季による注釈】
※1 歌い手Geroとめいちゃんの2人で組んでるユニット
※2 中の人のこと(言わせるな)
※3 悪魔のようなシュークリームを生み出すMonsterZ MATEさんのスタッフさん
※4 MonsterZ MATEの人気コンテンツ「誰が持ってるか王選手権」における、ハズレのシュークリームの具(ワサビやカラシ、ねり梅)の量がバグ
10/25 18:00
WANI BOOKS NewsCrunch