“JKあるある”でバズった古森もぐ「動画とは違ってウェイ系ではないんです」
“JKあるある”で人気を博す古森もぐ。TikTokで見る姿とは違い、その素顔は勉強熱心で自己表現に情熱を燃やすクリエイターそのもの。ニュースクランチのインタビューでは、アイドル志望からSNSインフルエンサー、そして音楽活動へ。夢を追い求める理由と、自分のスタイルを確立するまでの道のりに迫った。
アイドル志望からインフルエンサーへ
「もともとはアイドルになりたくて。今の活動を始めたきっかけも、自分には何も無かったからなんです。アイドルのオーディションを受けに行くと、劇団に入っていたり、ダンスを習っている方がいたりと、経歴がすごい方ばかり。自分を売り込むためにも、SNSで有名になれればと思ってSNSを始めました。フォロワーが多ければ強みになるかなって。
ただ、両親はあまり肯定的ではなくて……“勉強を頑張りなさい”っていうタイプでした。なので、SNSを始めたのは高校3年生のときなんです。最初は顔出しもせずに始めました」
アイドルになるために多くのオーディションに挑戦していた古森。しかし、思うような結果は出なかった。
「学生だった当時、AKB48さんが流行っていたり、文化祭では、ももクロ(ももいろクローバーZ)さんの楽曲に合わせて踊ったりしたんですが、具体的な目標があったわけではないんです。ただ“ならなきゃいけない”ような感じがしていて。
顔出しをしてSNSを始めたのは20歳になってから。顔を出したほうが動画が伸びそうという安直な考えと、もういい歳だし速度を上げて進んでいかないとヤバいというので、TikTokを始めた感じです。最初は短い動画を作って投稿したり、ゲーム実況風なこともしていました」
今では“JKあるある”で知名度を上げている古森だが、投稿を始めた当初は方向性に悩んでいたと語る。
「みんなと違うことをしたいけど、最初はどうしていいかわからず……試行錯誤していました。何がなんでも『いいね』が欲しいと思いながら。体を張ったり、動画編集をするのは好きだったんです。見ている方が面白いと思ってもらえる動画を撮るのが好きで、自分が楽しいと思えることをしながら、アイドルになるという自分の夢につなげていけたらなって」
夢を追いかけながらも、現実とも向き合わなければいけない時期もあったと語る。
「20歳当時は就活をするかしないかで、すごい悩んだし焦っていました。アイドルになる道を完全に諦めるのか、就職をするのか……。教育実習にも行っていたので、勉強できないけど、母校で高校理科の生物の先生になってたかも(笑)。
高校の頃は落ち込んでいる時期もあったんです。私と同じ気持ちの生徒って、今もきっといると思うし、そんな高校生の力になれる存在になりたいなって。当時の自分を助けてあげられるような存在になれたらステキですよね。なので、20歳の頃はどちらの道に進むのか、とにかく悩んで焦っていました」
教育実習に行って“JKあるある”が生まれた
古森が教師を目指していたことが、今のスタイルを確立していくことになる。
「どうしたら面白いと思ってもらえるか? と試行錯誤していくなかで、やっぱり統一感があったほうが認知してもらいやすいし、再生数も伸びるのかなって考えたんです。私も代表するようなキャラクターが欲しいと思っていた時期に、ちょうど教育実習があったんです。
自分が学生だった頃の高校生と、今の高校生を比べて動画を投稿してみようと思いつきました。その動画が伸びたことが、“JKあるある”をシリーズとして投稿するようになったきっかけです」
自分が学生時代に感じていたことも、動画を作るインスピレーションにつながっているという。
「高校生の頃、そこまで友達が多いわけじゃなかったんです。いわゆる、ノリが良くてテンションの高いウェイ系ではなかった。ワイワイしている人たちに対して、憧れの眼差しを送っていました。教育実習で当時のことも思い出したし、そう考えると自分の中にもストックがあったのかなって。私がウェイ系だと思っている方も多いと思うんです。でも、一人で公園でお弁当を食べたりしたこともあります。
でも、動画ではみんなが友達になりたいな、と思えるようなキャラクター像を演じたいと思ってます。本当の自分と演じているキャラクターが違えば違うほど、それが理想ですね」
未成年だと思われて配信がBANされたことも
“JKあるある”を見ていたからか、自己表現に情熱を燃やすクリエイターとしての姿勢が印象的だったが、古森は“炎上”について、どう考えているのだろうか。
「SNSをやるうえで炎上だけはしないように気をつけています。親近感のある話し方も意識しながら、言い回しもなるべく柔らかくするようにしています。あとは、誰かを傷つけるようなお笑いもしたくないとずっと思っていて。私の動画を見て、イヤな気持ちにはなってほしくない。
普段投稿しているTikTokのアカウントはどう見られるか意識していますが、他の媒体によっては、攻めてるものもあります。でも、今のところ、誹謗中傷は少ないです! ステキなフォロワーさんや視聴者さんがたくさんいてくれるおかげかなと思います。ただ、その反面、コアなファンはつきにくいですね。JKあるあるの動画は好きだけど、古森もぐのファンではないという方が多い感覚。ここの塩梅はすごく難しいです。
容姿は炎上しやすいので、容姿にフォーカスした内容も控えています。あとはエゴサしたときに『カワイイ』というコメントがあっても、顔の話にはあんまり反応しないかもしれません(笑)。容姿系のコメントは『いいね』はしないようにしています。SNSはちょっと間違えただけでも、ぶん殴られるので(笑)」
また当初、顔出しをしていなかった理由もSNS特有の理由があると語る。
「私が攻撃されることで、私自身の気持ちが下がっちゃうなーって部分ももちろんあるんですけど、顔出しで活動することで自分の周りにも悲しい思いをさせてしまう可能性が出ちゃうっていうのが、何よりも残念なことだと思ってました。今でもそこは慎重にいきたいなって思ってます。
でも、最初に顔出ししたときの“一歩踏み出した…!”みたいなドキドキ感は、すごくよく覚えています(笑)。正直、一発目とかは特に、誰にも見られないだろうし、ヤバそうなら消せばいいかな〜とか思ってました(笑)。でも、きっと自分にとっては、そうでも思わないと踏み出せない一歩だったのかなと思います」
リアルな女子高生あるあるを感じてもらうような努力も欠かさない。また“JKあるある”をやっているからこそ、コラボもしないと明かす。
「女子高生として違和感が出ないように、髪は染めないようにしています。昔はインナーカラーを入れていたんですけど。服も超シンプルにまとめています。リボンとかベストとか、カラフルな制服もあるんですけど、私はブラウスにスカート。ノイズがないほうが、見る人にとってもいいかなって。
私は“JKあるある”をメインに動画を出しているので、どちらかというと、私自身が動画に出ているというよりも、女子高生のキャラクターが動画に出ているという感覚に近いです。
私の動画を見てくれている人たちも、私自身がリア充してるところを見たいわけじゃないと思うんです。女子高生役を演じているという点では、他のインフルエンサーの方たちとは違う感覚なのかもしれないです」
自分自身を売り出すわけではなく、女子高生を演じるということについて苦労はないのだろうか。
「私はウェイ系ではないので、素でSNSをやるのが苦手なんだと思います。自分以外の何かで演じるほうが楽な気がします。なので、昔は制服を着て配信もしていたんですけど、未成年だと思われて配信がBANされちゃったんですよ。“ちゃんと成人してます!”って身分証を必死で見せました(笑)」
自分の理想と違うなら自分で楽曲作っちゃえ!
4月15日にMV『アバウトモンスター』を公開。アイドルを目指して活動をしていた古森が、自身のプロデュースで楽曲を配信したのは意外な理由だった。
「24歳でアイドルを目指すのは難しいというのもあるし、私がなりたかったアイドル像と、いま求められているアイドル像が違うって最近気づいたんです。衣装があって、照明があって、ステージでパフォーマンスしている姿がある、私は全て込みでアイドルだと思っているんです。アイドルという、ひとつの作品のようなイメージですね」
理想のアイドル像と現実のアイドル像にギャップを感じた古森。
「自分の理想と違うなら、自分で楽曲を作ろうと思いました。ただ、この方向の音楽で頑張ろうとはまだ定まっていなくて、模索してる状態ではあります。でも、楽曲を出せたのはシンプルにうれしかったですね。ちょっと一安心みたいな感じだったかもしれない。夢が1個ようやく叶ったみたいな安心感でした。
歌詞は女子高生の動画のセリフが元になっているんです。みんなでMVを撮影するのは、すごく楽しかったんですけど、スタッフはかなりしんどそうでした(笑)」
音楽活動という夢を叶えた古森。次の目標はライブだと明かす。
「みんなが楽しんでくれている顔を、ステージから見ることができたら最高ですね。ワンマンもやりたいですし、いろんな人と対バンとかもできたら、もっと最高! 先日『エシカルエキスポ2024 TOKYO』にも出させていただいたんですけど、すんごい緊張しました。反省点もいっぱいあって、まだまだだなと思いつつ、すごく勉強になりました」
アイドル志望からSNSインフルエンサー、そして音楽活動へとつなげた古森。少し遠回りをしたかもしれないけれど、着実に自分の目指す道へと進んでいる。今後はどのような目標を持っているのだろうか。
「やっぱり、今の目標はライブをすることですね。“JKあるある”だけではなく、音楽とかマルチに活動している人、という印象に変わっていければ。今はTikTokが中心ですが、YouTubeでもいろんなことに挑戦してみたいと思っています。
体を使って表現するアイドル的なことがやりたいという夢はもちろんありつつ、今やっている動画編集とかの表現も大好きなんです。だから、MVも出演だけじゃなく『アバウトモンスター』を作ったときと同じように、作品作りにイチから携わって、いろいろな作品作りに挑戦していきたいと思います!
普段は一人で考えて動画を作っているんですけど、それは良い部分もあれば悪い部分もあって。もちろん、みんなと作るのも大変な部分はあると思うけど、誰かと一緒に作品を作ることに憧れます」
最後に、同じく動画クリエイターとして活動したいと思っている方へメッセージをもらった。
「楽しい気持ちでやるのが最高だなーって思ってます! 見ている人が“楽しそう!”って感じてもらえるのを大事にしたいなと思ってて! 私もまだまだ上手にできないんですけど、楽しそうにしてる人は、見ていてステキだし“かっこいいな!”って思います」
(取材:TATUYA ITO)
09/13 18:00
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