『おむすび』「一緒に遊べるね」「チンして」凍える避難先で温かいおむすびを求めた結。阪神・淡路大震災の場面に視聴者「朝ドラで避けてきた描写」「美味しい!と言うものと…」「制作者に敬意」
10月28日の『おむすび』
現在放送中の橋本環奈さん主演・連続テレビ小説『おむすび』(NHK総合/毎週月曜~土曜8時ほか)。第5週「あの日のこと」が10月28日に放送され、話題になっています。
*以下、10月28日放送内容のネタバレを含みます。
糸島フェスティバルが終わって海辺でたたずんでいた結(橋本環奈さん)。
翔也(佐野勇斗さん)からよく寂しそうな顔をしているのはなぜかと聞かれ、たぶん9年前のあの日、1995年1月17日からだと答え、幼いころを思い出す。
話は回想シーンへ。
神戸に住んでいてセーラームーンが大好きだった6才の時の結。突然の阪神淡路大震災で被災してしまい――という話が描かれました。
目を覚まさない結を身を挺して守った歩
中学生時代の姉・歩(高松咲希さん)が親友・真紀と分かれた翌日、平成7年(1995年)1月17日の早朝に阪神・淡路大震災が発生します。
画面に「このあと地震の描写があります」とのテロップが出たあと、ドラマ内では大きな揺れが。
タンスやテレビ台が倒れ、屋根まで崩れてくるなか、それでも目を覚まさない結を歩は身を挺し、必死に守ろうとします。
当時を振り返って、「地震の瞬間のことは覚えていない」と話す2004年の結。
その後、崩れた家の中を聖人(北村有起哉さん)と愛子(麻生久美子さん)がなんとか助けに来ると、一家は避難所となった小学校へ身を寄せることに。
ねえ、チンして
避難先の学校で震災の被害の大きさをあらためて知った米田家。教室にて商店街の面々と再会します。
真紀たちの動向が分からない中、困っている人を放っておけない聖人は被害を受けた人の助けに。そんななかでも、結は佐久間美佐江の子・菜摘に「今日幼稚園休みかな」「一緒に遊べるね」などと無邪気に話しています。
その日の夜。
不安と疲労が募るなか、ろうそくの灯りだけがともる極寒の教室に地元の雅美(安藤千代子さん)がやってきて、「2人につき1つずつ」とおむすびを配り始めました。
おむすびを1つだけ受け取った愛子。3つに割って結と歩に渡しますが、冷え切ったおむすびを口にした結は思わず「おばちゃん。これ冷たい。ねえ、チンして」と雅美に頼んでしまいます。
すると雅美は、電気やガスが止まっていて温められないことを結に謝りつつ、大好きだった神戸の街が壊滅的被害を受けて辛い、という想いを涙ながらに語るのでした。
視聴者たちは…
こうした展開にネットでは「倒れた箪笥の隙間で眠り続けた幼児の話。これなんかは何度か聞いた」「ほかの朝ドラで避けてきた震災の描写を写実的に。製作者にとって勇気のいる決断だと思うし、敬意を表したい」「今ほど震災への備えのない95年当時の避難所。その状況がしっかりと表現」「なんてことない日常を描いてきた『おむすび』の印象がガラリ。平穏な日常は何の前触れもなく一瞬で崩れてしまうことをあらためて実感」「遊びたい盛りの幼子たちのやりとりがリアルすぎて…」「美談ばかり頭に残っていたから、もらったおむすびを<美味しい!>って言うもんだと安易に考えていて、ハッとさせられた」といった声が見られていました。
朝ドラ通算111作目となる『おむすび』の舞台は平成“ど真ん中”の、2004年(平成16年)。ヒロイン・米田結(よねだ・ゆい)は、福岡・糸島で両親や祖父母と共に暮らしていた。
「何事もない平和な日々こそ一番」と思って生きてきた結。しかし、地元で伝説と化した姉の存在や、謎のギャル軍団、甲子園を目指す野球青年など、個性的な面々にほん弄されていく。そんな仲間との濃密な時間の中、次第に結は気づいていく。「人生を思いきり楽しんでいいんだ」ということを――。
青春時代を謳歌した自然豊かな糸島、そして阪神・淡路大震災で被災するまでの幼少期を過ごした神戸。ふたつの土地での経験を通じて、食と栄養に関心を持った結は、あることをきっかけに“人のために役立つ喜び”に目覚める。
ドラマには松平健さんや仲里依紗さん、佐野勇斗さんらが出演し、リリー・フランキーさんが語りを担当。脚本は根本ノンジさんが、主題歌『イルミネーション』はB’zが手掛けています。
10/28 13:23
婦人公論.jp