『おむすび』転校先で廊下に飛び出した歩。副音声でも触れた<真っ白い上履き>の意味は…視聴者「それよりさ、が突き刺さる」「神戸とは別の時間」「真紀が消えてしまう、と」

(『おむすび』/(c)NHK)

11月7日の『おむすび』

現在放送中の橋本環奈さん主演・連続テレビ小説『おむすび』(NHK総合/毎週月曜~土曜8時ほか)。第6週「うち、ギャル、やめるけん」が11月7日に放送され、話題になっています。

*以下、11月7日放送内容のネタバレを含みます。

不調で寝込んでいた結(橋本環奈さん)は、佳代(宮崎美子さん)が作ったスープを飲んでなんとか元気を取り戻す。

そんな結のもとに歩(仲里依紗さん)が来て、明日東京に戻ることを伝える。それから歩は、みんなで神戸に帰ろうと言ったことをわびると、阪神淡路大震災で親友の真紀(大島美優さん)が亡くなった悲しみを、今も引きずっているという事実を吐露して――という話が描かれました。

避難所までやってきた永吉

過労で倒れた結の前で、その胸の内を吐露し始めた歩。

神戸に戻りたいと言ったのは、阪神・淡路大震災で亡くなった親友・渡辺真紀の墓参りに行きたくとも、一人で行く勇気がなかったから、そして家族と一緒なら向き合えると考えたからだと打ち明けます。

すると場面は震災後、糸島に移ってきたころの回想シーンへ。

震災後は高校入学直前の中学校3年生だった歩。制服もない状態で、歩曰く「がんばって」中学校へ通学します。

同級生から「米田さん、神戸から来たんだよね。地震大変やった?」と話しかけられた歩は「うん」とうなずきます。

しかしその次の瞬間、「ねえねえ、それよりさ、バスケに興味ない?」と別の同級生からたずねられた歩。

意外な問いかけに、歩は「え?」と聞き返します。

「教室を飛び出す真新しい上履きの歩」

3年生最後の大会なのにメンバーが足りないから、と伝えられた直後、続けて今度は演劇部への勧誘を受ける歩。

自らの神戸での悲痛な経験に対して、まるで地震なんてなかったような日常を過ごす博多の同級生を前に、いたたまれなくなった歩は廊下に飛び出します。

このとき副音声では「教室を飛び出す真新しい上履きの歩」という説明が。

飛び出した先では、制服姿の同級生たちがにこやかに廊下を行き交っていました。

それから画面は足元に移り、立ちすくんだ歩の真っ白い上履きの横を、同級生たちの使い込まれた上履きが過ぎていく様子が映ります。

すると2004年の歩の声で「それ受け入れたら…ホントに真紀ちゃんがいなくなっちゃうんじゃないかと思って」という声が流れ、真紀と過ごした、震災前の神戸での楽しい日々が…。

それからドラマ内では、かつての歩がギャルでいようとしていたのは、真紀と交わした約束を果たすためだったことが、あらためて歩の口から語られるのでした。

視聴者は…

こうした展開に、ネットでは「無意識な<それよりさ>という台詞が冷たく突き刺さって。震災ばかりの日本で考えさせられる」「汚れた上履きと真っ白な上履きのコントラストで、神戸で暮らしてきた歩とは違う時間を積み重ねてきた他の生徒の違いをくっきり…演出が巧すぎる」「明るく接してもらったのがうれしかった、という子もいたはず。あくまでこれは<あの日>に影響された人生のうちの一つ」「真っ白い上履きがああなる頃には、自分の中から真紀ちゃんが消えてしまうって、視覚的に感じたんだろうな」「2回目の視聴で上履きのカットに気づいて…涙が止まらない」といった声が見られていました。

朝ドラ通算111作目となる『おむすび』の舞台は平成“ど真ん中”の、2004年(平成16年)。ヒロイン・米田結(よねだ・ゆい)は、福岡・糸島で両親や祖父母と共に暮らしていた。

「何事もない平和な日々こそ一番」と思って生きてきた結。しかし、地元で伝説と化した姉の存在や、謎のギャル軍団、甲子園を目指す野球青年など、個性的な面々にほん弄されていく。そんな仲間との濃密な時間の中、次第に結は気づいていく。「人生を思いきり楽しんでいいんだ」ということを――。

青春時代を謳歌した自然豊かな糸島、そして阪神・淡路大震災で被災するまでの幼少期を過ごした神戸。ふたつの土地での経験を通じて、食と栄養に関心を持った結は、あることをきっかけに“人のために役立つ喜び”に目覚める。

ドラマには松平健さんや仲里依紗さん、佐野勇斗さんらが出演し、リリー・フランキーさんが語りを担当。脚本は根本ノンジさんが、主題歌『イルミネーション』はB’zが手掛けています。

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