「“ジャニオタ”ではありませんでした」元忍者・志賀泰伸氏が明かした「誹謗中傷犯」の意外な“正体”

元忍者・志賀泰伸氏(写真・馬詰雅浩)

 

「誹謗中傷で略式起訴」

 

 2024年3月末から4月にかけて、こういった見出しのネットニュースが数件、配信された。しかし、テレビなどでは大きく報じられていない。

 

 被害に遭ったのは、旧ジャニーズ事務所のアイドルグループ「忍者」の元メンバー、志賀泰伸氏(55)だ。

 

「旧ジャニーズ問題で誹謗中傷を受けてきたメンバーのなかで、事件化されたのはこれが初の事例でした」と、振り返る志賀氏。

 

 

 2023年11月に、香川県警に刑事告訴を相談したことを明らかにしていたが、ここまでの道のりは長かった。

 

 2023年5月、いわゆる「デビュー組」として初めて、故・ジャニー喜多川氏からの性被害を「週刊文春」誌上で告白した志賀氏。しかしその後、インターネット上で悪質な書き込みが急激に増えたという。

 

「現在も、警察は私へのX(旧Twitter)での中傷投稿をつぶしてくれています。ヤフーでもずいぶんひどいことを書かれていますが、メンタルがやられるので見ていないんです。

 

 ネットだけでなく、勤務先に迷惑電話がかかってくるし、怖くて自宅から一歩も出られない。主治医に診てもらいながら、心のケアをしないといけません。何回も命を絶とうかと悩みましたし、入退院も繰り返しました。

 

 3月に略式起訴された人物は、4月16日に罰金が確定しました。それ以外にも身元が特定され、捜査対象になっている投稿者は数名います。投稿数でいうと数万件単位ですが、警察が特定できたのはまだ1ケタ台だそうです」(志賀氏)

 

 最初に起訴された投稿者は「高松市内在住の58歳」と報じられていた。どのような人物だったのか。

 

「氏名、性別などは把握していますが、僕から明かすことはできません。社会的にそれなりの地位がある人物で、マスコミにも精通していて、その関係の仕事をしていたんです。

 

 しかし、いわゆる“ジャニオタ”ではありませんでした。ジャニーズファンではない人がこんな誹謗中傷をするとは思っておらず、つらく感じましたね。

 

 香川県警は積極的に動いて、迅速に加害者をあぶり出してくれましたが、他県の警察は動きが鈍いと思っています。SMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)は、補償金のことは進めてくれています。しかし、誹謗中傷について、もっと強いメッセージを発信してくれないと、悪意ある投稿は根絶されないと思います」(同前)

 

 ジャニーズ性加害問題当事者の会の代表だった平本淳也氏(57)も、2023年9月と10月に神奈川県警に誹謗中傷について、3件を刑事告訴している。

 

 平本氏が続ける。

 

「病に伏してからは、かなり減りましたが、現在もメディアに出演すると、途端に誹謗中傷が増えるのを実感しています。昨年、県警に被害相談をした際は、160件の投稿が捜査対象になりました。警察からは人物の特定はできて、捜査は進展していると聞いています。

 

 警察が接触したのか、この160件の投稿者はその後、ほとんど誹謗中傷をしなくなりました。実際に謝罪してきた投稿者もいました。その方は、中年の女性でした。投稿者のほかの投稿を見ると、誹謗中傷をしている人で旧ジャニーズのファンは、全体の1~2割でしかないと感じています。

 

 なかでも悪質な投稿は、ヤフーニュースのコメント欄がいちばん多いです。なんらかの革新的な対策を取ってほしいですよ」

 

 旧ジャニーズ被害者たちの“心”の戦いは、まだまだ終わらない――。

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