木村拓哉『Believe』後半戦に突入してサスペンス度マシマシも……盛り上がるのが遅すぎる!

木村拓哉

 

 後半戦に入ってようやく盛り上がってきた木村拓哉主演『Believe―君にかける橋―』(テレビ朝日系)。公式サイトに「希望と再生のヒューマンエンタメ大作」と謳われている本作で木村が演じるのは、大手ゼネコンの土木設計部長で、橋の設計を手がける狩山陸だ。

 

 狩山が設計した建設中の橋で、死傷者を出す大規模な崩落事故が発生。設計ミスが原因ではなかったにもかかわらず、社長(小日向文世)に懇願された狩山は、会社を守るために真相を隠蔽。全責任をかぶり、実刑を喰らってしまう。

 

 けれど、妻(天海祐希)ががんを患い余命宣告されていることを知り、無実の罪を晴らすために刑務所から脱獄して……というストーリーだ。

 

 

■木村拓哉と竹内涼真による演技合戦は緊迫感満点

 

 5月30日(木)に放送された第6話では、軽薄な笑顔が薄気味悪い警視庁の刑事・黒木正興(竹内涼真)に追い詰められ、とうとう捕まってしまう。

 

 しかし、実は、黒木の目的は橋の崩落時に亡くなった兄(竹内の2役)の “事件” の真相を暴くこと。黒木は狩山と2人きりのときに、崩落は事故ではなく、謎の黒幕によって仕組まれていたと明かす。

 

 事故に闇深い裏があったことを知った狩山は、黒木にもう一度逃がしてほしいと提案。利害関係が一致している黒木と手を組み、狩山は再び逃亡する――という展開だった。

 

 第6話の見どころは、なんといっても木村拓哉と竹内涼真による静と動の演技合戦。特に竹内演じる黒木の薄ら笑いや急なブチギレが狂気的で、このうえなく緊迫感を煽っていく。

 

 また、黒幕の存在が黒木の口から狩山に明かされ、物語が核心に向けて一段階進んだことで、盛り上がってきた感もある。

 

 これまで狩山の目的は “無実を証明すること” とややぼんやりしていたが、目的が “黒幕と真相を暴くこと” にアップデートされ、サスペンス要素が格段に増したからだ。

 

 個人的にはこれまで物語への没入度は低めで、第6話という後半戦に入ってようやくの高揚感なので、「盛り上がるのが遅いよ!」というのが率直な感想。今夜放送の第7話からさらにグイグイ引き込んでもらいたいと、正直、思っている。

 

■黒幕は小日向文世か? 斎藤工か? それとも…

 

 黒幕として怪しいのは、表面上は善人そうな小日向文世演じる社長。ただ、初回からうさん臭かったので、このまま黒幕ではなんのひねりもなさすぎる。事故に見せかけた偽装工作になんらかの形で加担している可能性は高いが、真の黒幕ではないだろう。

 

 役者の格として考えると、黒幕=ラスボスにふさわしいのは北大路欣也。だが、彼が演じているのは橋工事の下請け業者社長なので、劇中での地位は高くないし、職人たちから信頼されている下町気質の熱い漢なので、裏の顔があるようには思えない。

 

 ほかの黒幕候補は、「私は味方です」と言っていたわりに不穏な言動が目立つようになってきた、斎藤工演じる狩山の担当弁護士だろう。

 

 そもそも執行猶予がつくと思われていた裁判で狩山に実刑判決が下されたのは、助けてくれるはずの弁護士が裏切っていたと考えると腑に落ちる。彼にはまだ明かされていない過去や秘密があり、暗躍していると考えると辻褄もあうだろう。

 

 とはいえ、この弁護士も第6話の時点で相当怪しくなってきているので、もし黒幕でしたと明かされてもそこまで意外性はない。

 

 こうして黒幕の可能性がありそうな主要キャラを振り返っていっても、真相が明かされたときのインパクトが強そうな人物は見当たらない。

 

 となると、終盤に向けて黒幕役が追加キャストで加わる可能性もなきにしもあらず。

 

 本作が「ミステリー」と銘打っていれば後半から犯人が登場するなんて反則技だが、公式は「ヒューマンエンタメ大作」と謳っているので、ラストに向けての起爆剤として大物俳優が追加投入されても問題はないはず。

 

 ――今夜放送の第7話は、狩山がゼネコン社長と密会する展開になる模様。とうとう社長がどす黒い本性を現すかどうかが見どころだ。

 

 いずれにしても、残りは数話しかない。第6話の盛り上がりに水を差さず、さらに勢いをマシマシで強めていけるのか、注目だ。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中

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