イスラエル軍がベイルート空爆、ヒズボラの司令官死亡か…死者8人・59人負傷

 【エルサレム=田尾茂樹】レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ師は19日の演説で、通信機器などの一斉爆破攻撃がイスラエルの「宣戦布告だ」として報復を宣言した。これに対し、イスラエル軍は20日、レバノンの首都ベイルートで標的を絞った空爆を実施したと発表した。ロイター通信は治安筋の情報として、空爆でヒズボラ幹部のイブラヒム・アキル司令官が死亡したと伝えた。死者は8人、負傷者は59人という。

イスラエルの攻撃で破壊された建物(20日、ベイルート南部郊外で)=AP

 イスラエル軍は19日にはレバノン南部のヒズボラ拠点100か所を空爆した。戦闘の重心をパレスチナ自治区ガザからイスラエル北部へ移し始めている。

 17、18両日の爆破ではレバノンで37人が死亡、約3000人が負傷した。ナスララ師は「レバノンの抵抗の歴史の中でかつてない打撃を受けた」と認めながらも「我々が揺らぐことはない」と主張した。

 ナスララ師は、ガザの戦闘停止まで攻撃を続けると改めて強調した。

 だが、多数の戦闘員が負傷し、通信手段も欠くヒズボラが、どのような形で報復するのかは見通せない。

 イスラエルはヒズボラの攻撃で避難を余儀なくされているイスラエル北部住民の帰還を新たな戦闘目標に掲げる。ヨアブ・ガラント国防相は19日、「ヒズボラはさらなる代償を払うことになる」と述べた。

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