中国ICBM発射「空母艦隊と連動した演習」か 台湾の専門家指摘

【台北=西見由章】台湾の国防部(国防省に相当)は25日、中国人民解放軍ロケット軍が太平洋に向けて発射したと発表した大陸間弾道ミサイル(ICBM)について、「中国共産党軍が集中的に行ったミサイル射撃などの演習は、さまざまな監視手段で厳密に把握している」との声明を発表した。台湾の軍事専門家は、今回のICBM発射が、太平洋に展開している中国の空母「遼寧」の艦隊と連動していた可能性を指摘している。

中国軍の動向に詳しい台湾の元海軍軍官学校教官、呂礼詩氏は、中国のICBM発射について「現在、太平洋にいる遼寧の艦隊と連動して実施した演習だった可能性がある」と産経新聞の取材に述べた。その場合、「艦隊側はICBMの着弾地点付近にいる必要はないが、駆逐艦などがレーダーの性能を確認したはずだ」との見方も示した。

日本の防衛省統合幕僚監部によると、遼寧は18日、与那国島と西表島間の日本の接続水域を航行して太平洋に抜けた後、20日にはフィリピン・ルソン島東沖で確認されていた。

台湾の国防部は25日、同日午前に中国軍の軍用機延べ23機が台湾周辺で活動し、うち22機が台湾海峡の暗黙の「休戦ライン」である中間線を越えたと発表した。呂氏は中国の軍用機の動きについては「米国を意識した今回のICBM発射と直接の関連はないだろう。中国の軍用機が中間線を越えるのは継続的に行われている台湾への圧力だ」と分析した。

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