イスラエル軍、ヒズボラ幹部狙い空爆 ヒズボラもロケット弾 2006年以来で最悪の被害

【ラマラ(ヨルダン川西岸)=佐藤貴生】イスラエル軍は23日夜、レバノンの親イラン民兵組織ヒズボラの幹部司令官を標的に、首都ベイルート南郊を空爆した。イスラエルのメディアが報じた。軍は23日、レバノンのヒズボラの拠点約800カ所を攻撃し、270人超が死亡、千人以上が負傷した。

ヒズボラもこの日、200発以上のロケット弾をイスラエルに向けて発射したもよう。欧米メディアは双方が軍事衝突した2006年以来、最悪の被害が出たと報じた。イスラエル軍がレバノンに地上侵攻するとの観測も出ている。米軍は中東に部隊を増派する方針を示した。

報道によると、標的となったのはレバノン南部の戦線を指揮していたアリ・カラキ司令官。負傷したとの情報もある。

イスラエルのネタニヤフ首相は23日、攻撃の対象はヒズボラだとしてレバノン国民に避難するよう呼び掛けた。イスラエル軍のハレビ参謀総長は「ヒズボラが過去20年間に建設した軍事インフラを攻撃している」とし、「次の段階」への準備をしていると述べた。

ヒズボラは1982年、反イスラエル闘争のためイラン革命防衛隊の指導で創設されたイスラム教シーア派の民兵組織。レバノン国軍を上回る戦闘能力を持つといわれる。イスラエルとの2006年の交戦では、約1カ月間にレバノンで1100人以上、イスラエルで約160人がそれぞれ死亡したとされる。

ジャンルで探す