モンゴルで総選挙実施 与党・人民党、異例の長期政権実現か

【ウランバートル=三塚聖平】モンゴルで28日、任期満了に伴う一院制の国民大会議(国会、任期4年)総選挙が行われた。同日中に開票作業を開始。与党モンゴル人民党が過去2回の総選挙で圧勝して8年間政権を維持しており、過半数の議席を獲得し民主化後のモンゴルで異例の長期政権を続けるかが焦点だ。

首都ウランバートルでは28日、各地の投票所で有権者が行列をなした。投票日が休日のため、子供連れも目立つ。モンゴルでは投票日とその前後を含めた3日間は酒類の販売が制限され、コンビニではビールなどの冷蔵棚に目隠しがされた。2008年に総選挙を巡って大規模な暴動が起きており、そうした事態を防ぐためと指摘される。

16年から単独政権を維持する人民党への信任が問われた。この間、政府高官らによる腐敗に市民は不満を募らせ、22年末にはウランバートルで中国への石炭輸出を巡る汚職疑惑に対する大規模な抗議デモが起きた。人民党党首のオユーンエルデネ首相は「反腐敗」を掲げ対策を強化する姿勢を示し、国民から一定の評価を得ているという。

23年の国内総生産(GDP)成長率は中国への石炭輸出が好調で7・0%を達成した。一方で、庶民は物価高に直面し、ウランバートルでは渋滞などの社会問題を解消できていない。

現有議席は人民党が61議席で民主党が11議席。今年1月施行の憲法改正で、人口増を理由に議員定数を従来の76議席から126議席に拡大したほか、死票を減らすため、うち48議席を比例代表制で選ぶことにした。圧勝が続いた人民党の議席占有率が下がるとの見方がある。ただ、民主党は党内の内紛が支持拡大の足かせになっている。

立候補者は約1300人。人民、民主両党は比例代表の名簿順位1位に日本留学経験者を据えた。

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