仏・EU首脳、ウクライナ問題で協調期待 習氏はEV調査に反発

【パリ=板東和正、北京=三塚聖平】中国の習近平国家主席が5日、フランスの首都パリに到着した。6日には習氏とマクロン仏大統領、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長による3者会談が行われた。ウクライナ侵略を続けるロシアへの対応や、欧州市場での中国企業による競争阻害の問題を協議したとみられる。

中国外務省によると、習氏は会談で「中欧関係の安定・健全な発展を推し進め、世界の平和と発展に貢献すべきだ」と述べた。米国が「対中包囲網」の構築を各国に呼びかける中で、米国と欧州の間にくさびを打ち込む狙いがうかがわれる。

マクロン氏は会談の冒頭で、ウクライナ侵略と中東情勢という「重大な危機」を巡り「中国との協調は絶対的に重要だ」と強調した。フォンデアライエン氏は会談後、ウクライナ侵略をやめさせるために「中国がロシアにあらゆる影響力を行使することを期待する」と述べた。

EUは、中国が莫大(ばくだい)な補助金によって価格の安い電気自動車(EV)の輸出を促し、市場を阻害したとみて調査に乗り出している。フォンデアライエン氏は会談で、中国が安価な製品を過剰生産する問題に対処するよう習氏に強く促した。

中国外務省によれば、習氏は「正しい対中認識を打ち立て、前向きな対中政策を策定するよう望む」と発言。EVを巡る調査に反発したとみられる。欧米各国が懸念を深める過剰生産能力については「問題は存在しない」と反論した。

ウクライナを巡っては「中国は危機を引き起こした者ではなく、当事者でもないが、和平交渉促進のために力を尽くしている」と述べた。

習氏は国賓として、7日まで夫人とともにフランスに滞在。その後、10日までの日程でセルビアとハンガリーも訪れる。習氏の欧州訪問は2019年以来。

6日には習氏とマクロン氏の個別首脳会談も行われる。中仏両国が今年で国交樹立60年を迎えたことを受け、経済分野などでの関係発展の方針を確認する見通しだ。

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