習近平氏がフランスに協力強化を呼び掛け「中仏の伝統的友好を強固に」 パリで談話発表

【北京=三塚聖平】中国外務省によると習近平国家主席は5日のパリ到着後に発表した談話で、フランス訪問について「両国の伝統的な友好を強固にして政治的な相互信頼を増進し、戦略的合意を構築して各分野で交流や協力を深めることを望む」と表明した。米国が対中圧力の拡大を呼び掛ける中、中国はフランスとの関係強化を狙う。

中仏両国は今年、国交樹立60年を迎えた。フランスは東西冷戦中の1964年に米国の反発を押し切って中国と国交を結んでおり、習氏は当時の判断について「中仏両国は冷戦の壁を突破した」とたたえた。フランスが伝統的に重視する独自外交を称賛し、米主導の対中圧力と距離を置くよう促す意図があるとみられる。

習氏は中仏関係について「近年、高いレベルの発展を保ち、航空、宇宙、原子力、食料、グリーンなどの分野における協力は新たな成果を絶えず得ている」と強調した。経済面での協力をテコにフランス側と関係強化を進める考えだ。

習氏は、フランス滞在中にマクロン大統領と「新たな情勢下における中仏、中欧関係の発展」や、現在の重大な国際・地域問題について意見交換を行うと表明した。ロシアのウクライナ侵略への対応などについて協議する見通しだ。

習氏は5~10日にフランス、セルビア、ハンガリーを訪れる。フランスでは、マクロン氏と欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長との3者による首脳会談にも出席する。

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