イスラエル、イラン核施設レーダーにミサイル発射か 米報道 双方とも姿勢は抑制的

【カイロ=佐藤貴生】イスラエルの19日のイランへの攻撃を巡り、米ABCテレビはイスラエルの戦闘機がイラン国外からミサイル3発を発射していたと伝えた。イラン中部イスファハン州ナタンズの核施設を防護する防空レーダーが標的だったとしている。

一方、イランはイスファハンで無人機3機を迎撃したとしている。アブドラヒアン外相は米メディアに、無人機はイラン国内から発射された「子供のおもちゃ」のようなものだったとし、イスラエルの関与を否定した。

双方とも攻撃について公式に発表しておらず、全容は判明していない。イスラエルの攻撃は限定的なものだったとみられ、イランは直ちに反撃しない姿勢を示していた。双方に事態の悪化を避ける抑制的な姿勢がうかがえる。

英BBC放送は19日、イランの首都テヘランで数百人が集結し、イスラエルに抗議するデモが行われたと報じた。最高指導者ハメネイ師の肖像を掲げる参加者もおり、イスラエルの攻撃を防いだことを体制の支持固めに利用する当局の狙いが見える。

イスラエルのネタニヤフ連立政権に加わる極右政党のベングビール国家治安相は19日、「弱々しい!」という一文をX(旧ツイッター)に投稿した。イランへの攻撃が不十分だとして反発を示したとみられる。

また、19日にはイラクの首都バグダッドの南約50キロにある親イランのイスラム教シーア派民兵組織「人民動員隊(PMF)」の基地で大きな爆発があり、9人が死傷した。無人機や戦闘機が爆発当時に周辺を飛行していた形跡はなく、米軍は関与を否定している。

イスラム原理主義組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザの保健当局は19日、イスラエルとハマスの戦闘開始以降の死者が3万4000人を超えたと発表した。負傷者は7万7000人近くに達する。

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