レバノン情勢、ガザ交渉にも悪影響=米政府の自制要求、奏功せず

【イスタンブール時事】レバノン各地でイスラム教シーア派組織ヒズボラの構成員ら多数の死傷者が出た通信機器の一斉爆発は、イスラエルとイスラム組織ハマスの停戦交渉にも悪影響を及ぼしそうだ。仲介役の米政府はこれまで、パレスチナ自治区ガザの対立が中東の紛争拡大につながらないよう、イスラエルに加え、敵対するイランや親イラン組織に自制を求めてきたが、功を奏していないのが現状だ。
昨年10月のガザ戦闘開始以降、10度目となる中東訪問を行ったブリンケン米国務長官は18日、カイロで記者団に対し「停戦がガザの人道危機を解決する一番のチャンスだと、誰もが知っている」と述べ、「地域の安定に対するリスクを回避する」重要性を訴えた。レバノンの爆発にはイスラエルの関与が濃厚で、同国と敵対陣営の応酬が続けば、中東が一層不安定化する恐れがある。
ガザの交渉は双方とも妥協を拒否し、先行きが見通せない状況が続く。イスラエルのメディアによれば、仲介役エジプトのアブデルアティ外相は「ハマスとは連絡を取り続けている」としつつ、「レバノンでの(爆発)事件は、停戦交渉の妥結や人質解放の可能性を制限し、妨害してしまう」と懸念を表明した。
米政府は、ガザの交渉が妥結すれば、イスラエルとヒズボラの紛争も外交解決の可能性が出てくると期待している。ブリンケン氏は18日、3段階から成る現在のガザ停戦案の第1段階に関し、18項目のうち15項目は合意済みだと指摘。停戦実現に向け「両者が政治的意志を示すことが必要だ。意志があれば合意は達成される」と述べ、イスラエルとハマスに歩み寄りを求めた。


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