パキスタン首都でデモ隊を強制排除 500人逮捕、銃撃による死者も
パキスタンの首都イスラマバードで、収監中のカーン元首相の釈放を求めて集まっていた野党・パキスタン正義運動(PTI)のデモ隊に対し、同国の治安当局は26日夜、強制排除に踏み切った。地元紙ドーンによると、デモ隊の500人以上が逮捕され、死者が出ているとの情報がある。
デモ隊は1万人規模とみられ、26日午後、治安部隊のバリケードを突破し、議会や大統領府などが集まる首都中枢部に到達した。ドーン紙によると、同日深夜になって、治安部隊が催涙弾などを使って排除に乗り出し、デモを先導していたカーン氏の妻やPTI幹部は車で脱出。PTIは27日未明、デモの中止を宣言した。
地元テレビGeoは病院当局者の話として、少なくとも死者2人と負傷者26人が運び込まれ、いずれも銃撃による傷痕が確認されたと報じた。ドーン紙によると、PTIは少なくとも8人が撃たれて死亡したと主張している。
カーン氏は首相だった2022年、軍部と対立し、議会による不信任決議で失職。汚職などの罪で収監されている。PTIは「政治弾圧だ」と主張している。パキスタンにはベラルーシのルカシェンコ大統領が訪問中で、AP通信によると、デモ隊が押しかけた首都中枢部に滞在していたという。(バンコク=武石英史郎)
11/27 16:52
朝日新聞社