「月の土でれんが」 中国が月面基地見据え、宇宙ステーションで研究

中国・広東省珠海で開かれている航空ショーで展示されている無人月探査機「嫦娥6号」が持ち帰った月の裏側の試料=2024年11月12日、小早川遥平撮影

 中国の宇宙貨物船「天舟8号」が15日夜(日本時間16日未明)、南部・海南島の文昌宇宙発射場から打ち上げられた。月の土壌を模した素材で造られたれんがを研究用に載せており、2035年までに月面基地を完成させる計画を加速させている。

 国営中央テレビ(CCTV)は打ち上げから約3時間後、天舟8号が中国の宇宙ステーション「天宮」とドッキングしたと報じた。

 中国は20年に月の表側から、今年6月に月の裏側から月の土壌を採取し、地球に持ち帰るサンプルリターンを成功させている。CCTVによると、研究用のれんがは月の土壌に近い素材で造られ、コンクリートブロックの3倍の強度がある。

 将来的に月面基地を建てるにあたり、月の土壌を利用できれば、コストを下げられる。天宮では、このれんがが、昼に180度を上回り、夜にマイナス190度を下回る気温の変化や大量の放射線、隕石(いんせき)の衝突といった月面の環境に耐えられるかを調べるという。

 中国は月面基地の前段階として、30年までの有人月探査を目指している。中国科学院の張偉研究員は10月末、朝日新聞などの取材に「現時点で技術的な困難はない。着陸機を含む開発は着々と進んでおり、予定通りに計画を達成できると思う」と自信をみせた。(小早川遥平)

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