中国が実効支配する西沙諸島に大規模な高性能レーダーシステム基地を建設か 領有権を争うベトナムで反中ムード高まる可能性も
中国が実効支配している南シナ海の西沙諸島(パラセル諸島)のトリトン島(中国名=中建島)に、中国が大規模な新しいレーダーシステム基地を建設していることが明らかになった。
トリトン島はベトナム中部沿岸から東に250kmのところに位置し、ベトナムも領有を主張している。2014年以降、ベトナム国内では反中デモが繰りかえされており、今回のレーダー基地建設で中国の軍事基地化が進めば、さらなる大規模な反発行為が引き起こされることも予想される。
基地建設の実態は英国王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)がこのほど発表した報告書で明らかにした。米国の宇宙技術企業「マクサー・テクノロジーズ」が高解像度衛星によって撮影した衛星画像を解析した結果、同島内にレーダーシステムが建設中で、これが完成すれば、ステルス航空機を探知することが可能となるほど高性能とされている。
これまで同島では、中国軍が3000m級の大型滑走路や道路、軍事基地などを建設していると伝えられてきたが、レーダーシステム基地が建設中であることが分かったのは初めてだ。このほかにも、島内には対艦ミサイル発射基地なども完成しているという。
報告書は「トリトン島で新たに建設中の強力なレーダー施設は、中国が地域内および国際的に大きな波紋を広げることになる」と指摘している。このところ中国と良好な関係を維持しているベトナムだが、中国がレーダーシステムを含む軍事基地を建設していることが明らかになったことで、再び反中ムードが高まることが予想される。
10/27 07:15
NEWSポストセブン