金杉駐中国大使、遼寧省を訪問「邦人の安全確保を」 深圳の事件受け

中国遼寧省瀋陽市を訪れ、同省トップの郝鵬・省共産党委員会書記(右)と会談した金杉憲治・駐中国大使=2024年9月25日、金順姫撮影

 金杉憲治・駐中国大使は24~26日、中国東北部・遼寧省の大連市、瀋陽市を訪れて省トップらと相次いで会談した。金杉氏はいずれの会談でも、広東省深圳市の日本人学校に通う男児が刃物で刺されて死亡した事件に関する懸念を伝え、在留邦人の安全確保を求めた。

 金杉氏は26日、瀋陽市で王永威・市共産党委員会副書記と会談した。日本側によると、金杉氏は日本人補習校の警備強化への協力を要請。中国のネット上で「日本に対する極端な言論」がみられるとして、対応を求めた。王氏は「日本人、日本企業、その他の外国人も等しく保護する」と述べたという。

 金杉氏はこの日、「遼寧国際投資貿易商談会」の開会式で登壇し、「経済活動において在留邦人の安全と安心はその基礎であり、遼寧省においても、安全確保のためにさらなる配慮をお願いする」とあいさつした。

 25日には瀋陽市で遼寧省トップの郝鵬・省共産党委員会書記と会談した。日本側によると、金杉氏は「日系企業の対中ビジネスは大きな岐路にある可能性がある。状況は極めて深刻だ」との認識を示した。また、「在留邦人の安全・安心」の重要性を強調し、省内の日本人学校と日本人補習校の警備強化に協力するよう求めた。

 郝氏は深圳の事件に「遺憾」の意を表明し、「遼寧省は、日本人はもちろん、外国人の安全や安心に責任を負っている」と話したという。

 金杉氏は24日に大連市トップの熊茂平・市共産党委員会書記とも会談した。(瀋陽=金順姫)

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