EUによるAppleの電子書籍分野における独占禁止法調査が終了
Appleは世界中のさまざまな規制機関から、独占禁止法違反の疑いをかけられています。EUでは電子書籍において独占禁止法に違反している疑いがかけられており、調査が実施されていたのですが、この調査が終了したことが発表されました。
Daily News 22 / 11 / 2024
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/mex_24_6024
Apple ebooks antitrust investigation closed; had become irrelevant
https://9to5mac.com/2024/11/22/apple-ebooks-antitrust-investigation-closed-likely-because-it-was-irrelevant/
2020年6月、EUの行政執行機関である欧州委員会(EC)はAppleが電子書籍およびオーディオブックアプリにおいて、「コンテンツ(電子書籍やオーディオブック)の販売をアプリ内購入のみに制限している点」と「開発者がAppleに手数料を支払うことなく電子書籍あるいはオーディオブックを販売する場所をユーザーに通知することを許可していない点」について、EUの競争法に違反している疑いがあるとして調査を開始しました。これと同じタイミングで、ECは音楽ストリーミングアプリにおいてもAppleが同様の慣行を強いているとして、独占禁止法違反調査を開始しています。
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音楽ストリーミングアプリの方は、2024年3月に独占禁止法違反に当たるという結論が下され、ECはAppleに18億ユーロ(約2900億円)という巨額の制裁金を科しました。
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さらに、2024年6月にはデジタル市場法(DMA)に基づき、ECはAppleをApp Storeに関するゲートキーパーに指定。これを受け、ECは音楽ストリーミングアプリの独占禁止法違反に関する調査を終了することを決定しました。これにより、AppleはDMAに基づきアプリ開発者にアプリ内購入の使用を義務付けることを禁止され、アプリ運営に関して金銭的および非金銭的な制限を課すことを控えることも義務付けられています。
そして現地時間の2024年11月22日、ECはAppleの電子書籍およびオーディオブックに関する苦情が取り下げられたため、独占禁止法に関する調査を終了すると発表しました。ただし、ECは「調査の終了は問題行為がEUの競争法に準拠しているという結論を意味するものではありません。ECはDMAと競争法の両方に基づき、Appleを含む欧州のテクノロジー分野におけるビジネス慣行を今後も監視していきます」と述べ、調査の終了が独占禁止法に違反していないことを意味するわけではないと付け加えました。
なお、Appleは2022年1月にサードパーティーの決済サービスの利用を初めて許可。
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さらに、2024年1月にはアプリに「アプリ内課金以外の方法での課金システムへのリンク」を含めることを許可しました。
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これにより、Appleの電子書籍に関する独占禁止法調査において焦点となっていた「コンテンツ(電子書籍やオーディオブック)の販売をアプリ内購入のみに制限している点」と「開発者がAppleに手数料を支払うことなく電子書籍あるいはオーディオブックを販売する場所をユーザーに通知することを許可していない点」は、どちらも制限が解除されていました。
11/23 00:07
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