Appleが司法省の独禁法違反訴訟の却下を求める申し立てを提出

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Appleは司法省から独占禁止法に違反しているとして訴訟を提起されているのですが、同訴訟の却下を求める申し立てが裁判所に提出されたことが明らかになりました。
Memorandum of Law – #86, Att. #1 in UNITED STATES OF AMERICA v. APPLE INC. (D.N.J., 2:24-cv-04055) – CourtListener.com
https://www.courtlistener.com/docket/68362334/86/1/united-states-of-america-v-apple-inc/
Apple files motion to dismiss DOJ antitrust lawsuit - The Verge
https://www.theverge.com/2024/8/1/24211386/apple-motion-to-dismiss-doj-antitrust-lawsuit
2024年3月、アメリカの司法省と16州および特別区の司法長官らが、Appleがアメリカのスマートフォン市場を違法に独占しているとして、反トラスト法(独占禁止法)に違反しているとAppleを訴えました。司法省は裁判所に対して、「史上最も革新的で消費者に優しい製品のひとつであるiPhoneを司法の手で再設計することを認可するように」と主張しています。
Appleがスマートフォン市場独占で司法省と16人の司法長官から提訴される、Appleは「危険な前例」と対抗姿勢 - GIGAZINE


訴訟において、原告側はAppleが利益を追求し、消費者とイノベーションを犠牲にしてiPhoneの閉鎖的なエコシステムを維持することで独占禁止法に違反したと主張。訴状の中では、AppleがAndroidなどの競合プラットフォーム間のメッセージ品質を抑制したことや、キャッシュレス決済機能を備えたiPhoneが競合サービスの開発者を妨害した事例などが挙げられています。
なお、記事作成時点でAppleは長らく対応を見送ってきたRCSへの対応を発表済み。
Appleが2024年からRCSを採用すると発表、iPhoneとAndroid間でテキストメッセージでの既読通知や高解像度の写真・動画の送受信などが可能に - GIGAZINE


また、EUでの訴訟を回避するためにiPhoneの決済システムをサードパーティー開発者にも開放すると発表しました。
AppleがiPhoneの決済システムをライバルにも開放することでEUの訴訟を回避 - GIGAZINE


これに対して、Appleは現地時間の2024年8月1日に裁判所に独占禁止法違反訴訟の却下を求める申し立てを提出。この中でAppleは、原告側の主張を「iPhoneの成功は消費者が信頼し、愛する優れた製品の開発によるものではなく、競合の脅威とされるものを阻止するためにAppleが意図的にiPhoneの品質を落としたことによるものだという、誤った前提に基づいています」と批判しています。
さらに、原告側の主張は「突飛」なものであり、独占禁止法はサードパーティーの開発者に迎合するためのものではなく、「自社製品を設計・管理する能力」を保護するためのものであるはずだと主張しました。
加えて、Appleはサードパーティー開発者にiPhoneへの「例外的に広範な」アクセスを許可しており、「消費者を保護するために合理的な制限も課している」と主張。Appleは、訴状で問題となっているサードパーティー開発者を、小さなスタートアップではなく、「十分な資金を持つソーシャルメディア企業や大手銀行、世界的なゲーム開発者であり、いずれもそれ自体が強力な競争相手であり、AppleのようにiPhoneの完全性やセキュリティを保護する動機を持つ者はいない」と指摘しました。

Appleが司法省の独禁法違反訴訟の却下を求める申し立てを提出 - 画像


なお、Appleは司法省による独占禁止法違反訴訟を棄却すべき理由として、以下の5つを挙げています。
・Appleはいかなるサードパーティー開発者とも協力する義務を負っておらず、協力しないことを選択することは排他的行為ではない。
・司法省はメッセージングアプリ、スーパーアプリ、クラウドストリーミングアプリ、スマートウォッチ、デジタルウォレットに対するAppleのアプローチと、消費者がどのスマートフォンを購入するかを決める方法とを適切に結び付けていない。
・Appleは独占企業とみなされるほどスマートフォン市場を支配していない。
・司法省は独占化の主張を試みたAppleの意図を十分に示していない。
・司法省は「多数のApple製品やサービスに表面的に言及することで」訴訟の範囲を過度に広げている。
これに加えて、Appleは訴訟の却下を求める申し立てについて議論するため、口頭弁論の場を設けることを要求しています。なお、Appleは司法省が訴訟の主張を押し通すこととなれば、「イノベーションを損ない、iPhoneを市場の他の選択肢と差別化する要因となっているプライバシー・安全性・セキュリティといった要素を消費者から奪うリスクがある」と言及しました。

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