アメリカ司法省がGoogleにChromeの売却を要求、Googleは「裁判所の判断をはるかに越えるもの」と反論
アメリカ司法省(DOJ)がGoogleの検索事業に関する独占禁止法違反を理由に、同社のウェブブラウザであるChromeの売却を求めています。これに対して、Googleは真っ向から反論し、「裁判所の判断をはるかに越えるもの」と批判しています。
DOJ’s staggering proposal would hurt consumers and America’s global technological leadership
https://blog.google/outreach-initiatives/public-policy/doj-search-remedies-nov-2024/
DOJ says Google must sell Chrome to crack open its search monopoly - The Verge
https://www.theverge.com/2024/11/20/24300617/doj-google-search-antitrust-chrome-breakup
Will Google end up selling Chrome? The odds are already in - Android Authority
https://www.androidauthority.com/chrome-sale-odds-3502117/
2020年10月、DOJは「検索及び検索広告市場において、反競争的で排他的な慣行を通じた独占状態を違法に維持している」としてGoogleを訴えました。その後、2024年8月に訴訟を担当していたコロンビア特別区連邦地方裁判所のアミット・P・メータ判事が、「Googleの行為は一般検索サービスおよび一般検索テキスト広告の独占にあたる」として、Googleが独占禁止法に違反しているという判決を下しました。この判決に関して、DOJはGoogleの事業分割を検討していました。
GoogleにChromeの売却・Androidからの検索とGoogle Playの切り離し・検索データのライセンス供与などを強制するよう司法省が迫る予定 - GIGAZINE
そして現地時間の2024年11月20日、DOJはGoogleの検索市場での独占を解消するための是正策案を裁判所に提出しました。この是正策案の中で、DOJは改めてGoogleに対してウェブブラウザ・Chromeの売却を求めています。
しかし、Googleは現地時間の2024年11月21日に自社ブログを更新し、「消費者とアメリカの世界的な技術的リーダーシップに打撃を与えることになるだろう」と主張し、DOJの是正策案に反対の意を示しました。
GoogleはDOJの是正策案について、「アメリカ人とアメリカの世界的な技術的リーダーシップに損害を与える過激な介入」「司法省の非常に広範囲にわたる提案は、裁判所の決定をはるかに超えるもので、人々が愛し、日々の生活で役立っている、検索以外のさまざまなGoogle製品に支障をきたすことになる」と指摘しています。
GoogleはDOJの是正策案のうち、特に危険なものをその理由も交えて以下のように説明しました。
・Chromeや、場合によってはAndroidの売却を強制することで、何百万人ものアメリカ人のセキュリティとプライバシーを危険にさらし、人々が愛する製品の品質を損なおうとしています。
・Googleのイノベーションや成果だけでなく、アメリカ人の個人的な検索クエリーについても、無名の国内外企業に開示することを義務付けています。
・おそらく現代の最も重要なイノベーションであり、Googleが主導的な役割を果たしている人工知能(AI)への投資を抑制しようとしています。
・MozillaのFirefoxなど、Googleに検索掲載料を請求することで事業を成り立たせている革新的なサービスに悪影響を及ぼします。
・人々がGoogle検索にアクセスする能力を故意に妨害します。
・ユーザーのオンライン体験に対して絶大な権限を持つ「技術委員会」を任命し、Google検索やその他のテクノロジーに対する政府の細かい管理を義務付けます。
他にも、DOJの是正策案ではGoogle純正スマートフォンのPixelでは「Google検索にアクセスする前に、文字通りひとつではなく2つの別個の選択画面をインストールすること」が求められているそうですが、この選択画面のデザインは技術委員会の承認を受ける必要があるとのことで、このような是正策案に従えばGoogleは革新的なモノづくりを行うことができないと主張しているわけです。
Googleおよび親会社であるAlphabetのグローバルアフェアーズ担当社長兼最高法務責任者であるケント・ウォーカー氏は、「DOJのアプローチは前例のないレベルで政府の権限を拡大し、アメリカの消費者・開発者・中小企業に損害を与え、まさに最も必要とされる時にアメリカの世界的・経済的・技術的リーダーシップを危険にさらすことになるでしょう」と語りました。
さらに、ウォーカー氏は「我々はまだ長いプロセスの初期段階にあり、これらの要求の多くは裁判所の命令が想定していたものとは明らかにかけ離れています。我々は12月にも独自の提案を提出し、2025年にはより広範な主張を展開する予定です」と述べています。
11/22 10:56
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