Googleが量子コンピューターのエラー訂正AI「AlphaQubit」を発表、既存のエラー訂正技術より正確


量子コンピューターの実用化には「量子ビットのエラーを訂正する仕組み」の開発が必要不可欠です。新たに、Google DeepMindとGoogle Quantum AIがエラー訂正AI「AlphaQubit」を発表しました。AlphaQubitはアルゴリズムを用いた既存の技術と比べて正確なエラー訂正が可能とされています。
Learning high-accuracy error decoding for quantum processors | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-024-08148-8
AlphaQubit: Google’s research on quantum error correction
https://blog.google/technology/google-deepmind/alphaqubit-quantum-error-correction/
量子コンピューターは「量子ビット」を情報の基本単位として扱うのですが、量子ビットには「ノイズの影響を受けて状態が変化しやすい」という問題があります。このため、量子コンピューターの実用化に向けて量子ビットのエラーを正しく検出するエラー訂正技術の研究開発が進んでいます。
既存のエラー訂正技術はAIではなくアルゴリズムを用いたものが一般的ですが、AlphaQubitはGoogle発のAIアーキテクチャ「Transformer」を用いて開発されたAIベースのシステムです。AlphaQubitはGoogle製量子プロセッサ「Sycamore」内の49個の量子ビットのエラーを訂正できるようにトレーニングされています。


AlphaQubitと既存のエラー訂正技術の正確性を比較したグラフが以下。AlphaQubitは実用に十分な処理速度で知られる「tensor network」と比べてエラーが30%少なく、精度は高いものの実用できないほど低速な「correlated matching」と比べてエラーが6%少なくなりました。


また、AlphaQubitは規模の大きな量子コンピューターを想定したシミュレーションでもcorrelated matchingと比べて高いエラー訂正性能を示しました。


Googleによると、AlphaQubitは正確性には優れるものの「毎秒100万回測定される超伝導量子プロセッサに適用するには、遅すぎる」という問題を抱えているとのことです。

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