実際にAppleのAI「Apple Intelligence」を使ってみた海外レビューまとめ


iOS 18.1・iPadOS 18.1・macOS Sequoia 15.1が2024年10月29日に正式リリースされ、AppleのAI機能である「Apple Intelligence」の一部機能が対応端末で使用可能となりました。記事作成時点では、Apple Intelligenceは「設定言語が英語(米国)」でのみ機能しますが、さまざまな海外メディアが実際にApple Intelligenceを実際に使ったレビューを公開しています。
I tried all new Apple Intelligence features in iOS 18.1 — here’s the best (and worst) | Tom's Guide
https://www.tomsguide.com/phones/iphones/i-tried-all-new-apple-intelligence-features-in-ios-18-1-heres-the-best-and-worst
Hands On With Apple Intelligence in iOS 18.1: Here's What You Get Today | PCMag
https://www.pcmag.com/news/apple-intelligence-launches-with-ios-181-heres-what-you-get
Apple's Commitment to AI Is Clear, But Its Execution Is Uneven - MacStories
https://www.macstories.net/reviews/apples-commitment-to-ai-is-clear-but-its-execution-is-uneven/
How to use Apple Intelligence's Writing Tools in iOS 18
https://www.pocket-lint.com/how-to-use-apple-intelligence-writing-tools-ios-18/
記事作成時点で、iOS 18.1・iPadOS 18.1・macOS Sequoia 15.1で使用可能なApple Intelligenceの機能は「作文ツール」「要約と優先」「写真」「Siri」などに限られており、絵文字生成の「Genmoji」や画像生成の「Image Playground」は2024年12月頃に実装されるとされています。
Appleが「Apple Intelligence」を含むiOS 18.1とiPadOS 18.1をリリース、ただしAI機能はまだ英語だけ - GIGAZINE


◆作文ツール
作文ツールは入力した文章を校正してくれるツール。Appleが公開している以下のムービーを見ると、作文ツールがどういうツールなのかが一発でわかります。
Apple Intelligence | Writing Tools | iPhone 16 - YouTube

作文ツールは、SMSやメールで入力した文章を選択すると「フレンドリー」「プロフェッショナルl」「簡潔」という3つのトーンで構成してくれます。


IT関連ニュースサイトのPocket-lintによると、「フレンドリー」だとカジュアルな表現に改められたり感嘆符が増えたりするそうで、「プロフェッショナル」だとよりフォーマルで仕事にも使えるような文章に修正されるそうです。また、「簡潔」はテキストから余分な部分がカットされ、必要最小限の内容をとどめたシャープな文章になります。
海外メディアのTom's Guideによると、「長い文章で最も効果を発揮し、短いテキストでは機能しない場合があります。少なくとも、短い選択範囲ではこの機能がうまく機能しない可能性があるという警告が表示されます」とのこと。
また。Macだと校正機能によって強調表示された変更点が提案されるので、各変更点が提案された理由をチェックした上で必要に応じて提案を拒否することも可能だとのことですが、この提案機能はすべてのテキスト入力で可能ではなく、TextEditやNotesなど、Writing Tools APIと統合されている一部アプリのみだそうです。


◆要約と優先
要約は選択したテキストをまとめたり、文章中に書かれていることをリストアップしたり、表にまとめたりできる機能。例えば以下は、お菓子のレシピの文章から必要な食材をリストアップしたところ。


さらに食材と必要な量を要約機能で表にまとめたところが以下。Pocket-lintによれば、テキストが適切でなかったり、ツールが最適な列見出しを判断できなかったりするため、常に完璧であるとはかぎらないそうで、ツールが幻覚を起こして、存在しないテキストを引用することもあるそうです。


また、要約にはメールや通知の内容を自動で判断して特定のものを優先的にまとめてくれる機能が含まれています。例えば、受信したメールの文面にある「こんにちは、今夜○○時に会えるのを楽しみにしています」という文章をそのまま画面に表示するのではなく、「今夜○○時に✕✕と会談」というように要約した内容を通知欄に表示してくれます。


また、返信文面も予想して生成することも可能。Tom's Guideは「私は自動生成されたメール返信を好むタイプではないので、Apple Intelligenceによるスマート返信の追加は、iPhoneでのメール習慣にはあまり影響していません。しかし、これはGmailが何年も前からできることなので、少なくともAppleが追いついてきたのはうれしいことです」と述べています。
◆写真
写真に関するApple Intelligenceの一番の目玉は、テキストプロンプトで思い出のムービーを作成できることです。例えば、自分の撮りためた写真から「自分と犬のムービー」を生成するように指示すると、AIがキュレーションした動画が生成されます。


また、「写真」アプリからテキストで写真を検索することが可能になります。PC Magによると、「犬と遊ぶ娘」「シアトル旅行の思い出」など、大まかな検索では機能したそうですが、日時と場所と写っている人物を細かく指定するような詳細な検索ではうまく機能せず、ほとんどの場合は検索結果の精度が低かったそうです。
さらに、写真編集では、特定の被写体を削除することも可能になりましたが、この機能はApple Intelligence独自のものではなく、Googleや他の写真編集アプリですでに可能になっていた機能です。


◆Siri
音声アシスタントのSiriは2011年にリリースされたiOS 5から搭載されていますが、今回のApple Intelligenceによってより複雑なタスクに対応することが可能になりました。また、音声認識の精度が向上し、話すときに言葉に詰まっても、より自然な言語のリクエストを処理できるようになったとのこと。「えーと」「あー」「うんと」などのフィラーが多くても、ちゃんと質問を認識して答えを返してくれるそうです。


また、テキスト入力に対応したチャットボット機能も追加されています。Tom's Guideは「新しいSiriのお気に入りの使い方は、Appleデバイスの使用方法を尋ねることです。説明はテキストのみで、イラスト付きのガイドほど便利ではありませんが、オンラインで検索するよりもはるかに迅速です」と述べています。
PC Magは「エスプレッソマティーニの作り方」と「ニューヨークの歴史」をSiriに尋ねた結果を公開しています。


なお、2025年には、「画面上に写っているものを認識して解説したり検索したりする機能」がSiriに搭載される予定です。
◆まとめ
Tom's Guideは「iOS 18.1で追加されたApple Intelligenceは、生産性と創造性のツールがうまく融合したもの」と評価しています。一部の機能はすでにAndroid端末に搭載されているため、目新しさがあるわけではありませんが、少なくとも作文ツールと通知の概要、改善されたSiriを試してみることをすすめています。
Apple関連ニュースサイトのMac Storiesは「Apple Intelligenceはまだ初期段階です。Appleが従来一般公開する機能よりも機能が雑であることが気に入りません。しかし、テクノロジー業界のAIの現状を考えると、Appleがベータ版のリリースを待たなかったのも不思議ではありません。Apple Intelligenceの機能は間違いなく急速に進化し、改善されるでしょう。テクノロジー業界では、そういうこともあります」と述べました。

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