日本企業が「窓を5G基地局化するガラスアンテナ」を開発


2018年頃から展開が進められている「第5世代移動通信システム(5G)」は、従来の4Gよりも遅延が少ない、同時接続できるデバイスが飛躍的に増加するなど、さまざまな利点を備えている一方、従来のシステムに比べて多数の基地局が必要となるという課題もあります。東京に拠点を置く通信会社「JTOWER」が窓を複数のキャリアで共有できる5G基地局に変える透明なガラスアンテナを開発しました。
An Unobtrusive Antenna
(PDFファイル)https://www.gov-online.go.jp/pdf/hlj/20191001/24-25.pdf


5G Antenna: Glass Antenna Turns Windows Into 5G Base Stations - IEEE Spectrum
https://spectrum.ieee.org/5g-antenna-transparent-window
5Gネットワークには4Gよりも高い周波数のスペクトルが含まれており、4Gに比べてより多くの基地局が必要となります。そのため、日本の通信事業者は基地局の設置場所の不足や5Gネットワークの展開に必要なコストに悩まされていたとのこと。
そこでJTOWERはガラスメーカーのAGCとNTTドコモと共同でガラスアンテナの開発を行いました。JTOWERが開発したガラスアンテナは、2024年8月から新宿三丁目イーストビルにて運用されています。
JTOWER、新宿三丁目イーストビルにてインフラシェアリングによる5G電波環境整備を実施 ~AGCが開発する5G対応「窓を基地局化するガラスアンテナ」国内初となるインフラシェアリングでの活用に向けた運用を開始~  | 株式会社JTOWER
https://www.jtower.co.jp/2024/17142/


JTOWERは今回のガラスアンテナに関して「町並みやビルの外観を損なうことなく、窓を5G基地局に変え、屋外を5Gサービスエリアに変えることができる世界初のアンテナです」と語っています。
NTTドコモによると、アンテナのベースとして透明な導電性材料を使用し、導電材料と透明樹脂を2枚のガラスの間に挟んでいるとのこと。AGCは「透明導電材料をアンテナとして使うという発想は、これまでなかったものです。導電性材料をガラスの間に配置することでアンテナの耐久性が飛躍的に向上しています」と述べました。


また、透明のアンテナは設置するためのガラスの厚さに応じて設計が可能で、ガラスの厚さなどによって変化する無線信号の減衰と反射を減らすことができます。AGCは「今回のガラスアンテナは独自の技術を使用しており、電波が窓を通過する際に散乱してしまう現象の発生を抑制しています」と伝えています。

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