Intelの第13・14世代CPUの劣化はパッチを当てても「回復不能」との報道、1回クラッシュしたらおしまいの可能性

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Intelの「Core i9-13900K」のような第13世代CPUや、「Core i9-14900K」のような第14世代CPUには、設計に起因するクラッシュ問題が存在することが報告されています。Intelは、この不具合に対する修正パッチの配布を予定していますが、修正パッチを当ててもクラッシュが発生するのが予防されるだけで、既にクラッシュが発生したことがあるCPUの劣化は不可逆的だと報じられました。
There is no fix for Intel’s crashing 13th and 14th Gen CPUs — any damage is permanent - The Verge
https://www.theverge.com/2024/7/26/24206529/intel-13th-14th-gen-crashing-instability-cpu-voltage-q-a
Intel finally announces a solution for CPU crashing and instability problems — claims elevated voltages are the root cause; patch coming by mid-August [Updated] | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/pc-components/cpus/intel-finally-announces-a-solution-for-cpu-crashing-errors-claims-elevated-voltages-are-the-root-cause-fix-coming-by-mid-august
2024年に入り、Intelの第13~14世代CPUのうち、ハイエンドモデルである「K」シリーズで強制終了などの問題が起きることが、高性能なCPUを使うPCゲーマーの間で報告されるようになりました。
伝えられるところによると、この不具合はCPUの内部的な動作に関する命令であるマイクロコードの欠陥により、CPUに誤った電圧要求が送られていたことが原因だったとのこと。
これに対し、Intelは不具合を認めて2024年8月中に修正パッチをリリースすることを発表しています。
Intelが自社の設計が原因で第13・14世代CPUに不具合が発生していることをついに認める - GIGAZINE

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PC情報サイトのTom's Hardwareは2024年7月23日に、「このバグは、影響を受けるプロサッサーの不可逆的な劣化を引き起こします。マイクロコードのパッチでは、この問題の影響を受けていないプロセッサーの問題を防ぐことが期待されますが、既にクラッシュが発生しているプロセッサーは修復されないと言われています」と報じました。
これまでのところ、マイクロコードの問題によって過電圧がかかったCPUに「見えない劣化や損傷」が発生し、それが将来的なエラーやクラッシュにつながるかどうかは不明とのことです。
さらに、IT系ニュースサイトのThe VergeはIntelへの取材から、この不具合に絡んでいるのは過電圧だけではない可能性があると指摘しました。Intelのチップの一部には、複数の層を接続する穴であるビアが酸化する問題があることが2023年に発覚しており、Intelは「今回の問題はビア酸化とは無関係」としています。しかし、The Vergeの問い合わせに応じたIntelの従業員のトーマス・ハンナフォード氏は、主原因は過電圧としつつ、ビア酸化との関連も調査中と述べました。

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by Fritzchens Fritz
このほか、The Vergeの取材ではクラッシュ問題が発生しているのは最上位モデルの「i9」シリーズだけでなく、65W以上の電力で動作する第13~14世代のデスクトップ向けCPU全体が影響を受けている可能性があることや、Intelがユーザーに対してどのようなサポートをする予定であるかの詳細も判明しました。主な一問一答は以下の通りです。
The Verge
これらの問題によって不可逆的な影響を受ける可能性のあるチップがいくつあると見積もっていますか?
Intelのハンナフォード氏(以下、Intel)
Intel Coreの第13世代および第14世代デスクトッププロセッサーで、65W以上のベース電力を備えたもの(K/KF/KSおよび65Wの非Kバリアントを含む)は、高電圧問題の影響を受ける可能性があります。ただし、これは当該プロセッサーがすべて影響を受けた、または将来影響を受けるという意味ではありません。
The Verge
Intelはリコールを出しますか。また、問題の調査中に販売を停止したり、在庫の回収を行ったりしますか。
Intel
いいえ。
The Verge
既に使用されているがまだ症状、つまり目に見えない劣化などが出ていないチップに対しても、2024年8月の修正パッチが有効だと予想していますか?
Intel
Intelは、マイクロコードのパッチが既に稼働しているプロセッサーに対する効果的な予防策になると確信していますが、報告された不安定性のシナリオに確実に対処するための検証は継続されています。
パッチにより、現在影響を受けているプロセッサーの不安定性が改善される可能性がありますが、第13~14世代のデスクトップ向けプロセッサーを搭載したシステムで不安定性が発生しているお客様は、Intelのカスタマーサポートに連絡してさらなるサポートを受ける必要があります。
The Verge
マイクロコードがアップデートされる前に、劣化を遅らせたり止めたりする方法はありますか?
Intel
Intelは、デスクトッププロセッサーのデフォルト設定を順守し、BIOSを最新の状態に維持することをユーザーに推奨しています。マイクロコードのパッチがIntelのパートナー企業にリリースされ次第、関連するBIOSのアップデートを確認することをお勧めします。

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The Verge
ミッションクリティカルな企業のために、酸化されたプロセッサーの製造日やシリアル番号を公開することはありますか?
Intel
Intelはビア酸化関連の報告について引き続き顧客と協力し、交換プロセスで顧客が完全にサポートされるようにして参ります。
The Verge
今回の問題がモバイル向けのチップには影響しないと考えている理由は何ですか?
Intel
Intel は、第13世代~14世代のプロセッサーで報告された不安定性シナリオが適切に対処されていることを確認するために調査を続けています。これには、当該世代のモバイルプロセッサーがデスクトッププロセッサーと同じ不安定性の問題にさらされるのを防ぐための主な要因を確認するための継続的な分析が含まれます。

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修正パッチでは既に不具合が発生したCPUの損傷が修復されないことから、The Vergeは「欠陥のあるCPUが損傷している場合は、BIOS設定を微調整して問題を軽減しようとするのではなく、CPUを交換するのが最善の選択肢です」と述べました。
なお、不具合が確認されている第13世代~14世代のCPUであるRaptor Lakeシリーズは、第12世代のCPUに比べて返品率が4倍も高いことが報道により判明しています。

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