「Adobeのサブスクリプション解約手続きは難しすぎて詐欺的」と連邦取引委員会がAdobeを提訴


Adobeは2012年以降、自社製品を買い切りではなく月額有料のサブスクリプションで提供しており、ユーザーはAdobeのソフトウェアを使うために毎月定額を支払う必要があります。アメリカの連邦取引委員会(FTC)が、Adobeとデジタルメディア事業の社長であるデビッド・ワドワニ氏、Adobeの副社長であるマニンダー・ソーニー氏を、オンラインショッピング消費者信頼回復法(ROSCA)に違反したとして提訴しました。
FTC Takes Action Against Adobe and Executives for Hiding Fees, Preventing Consumers from Easily Cancelling Software Subscriptions | Federal Trade Commission
https://www.ftc.gov/news-events/news/press-releases/2024/06/ftc-takes-action-against-adobe-executives-hiding-fees-preventing-consumers-easily-cancelling


Complaint for Permanent Injunction, Monetary Judgment, Civil Penalty Judgment, and Other Relief (Public) - adobe_complaint.pdf
(PDFファイル)https://www.ftc.gov/system/files/ftc_gov/pdf/adobe_complaint.pdf


Adobeのサブスクリプションが解約しにくいことは以前から問題視されており、FTCは2023年12月に調査を始めていたことが報じられました。
ついにAdobe Creative Cloudのサブスクをキャンセルする方法について規制当局が調査に乗り出す、あまりにもめちゃくちゃなルールをユーザーに押し付けているため - GIGAZINE


調査の結果、FTCはAdobeを提訴することを満場一致で決定。6月17日(月)付けで、北カリフォルニア地区の連邦地方裁判所に訴状を提出しました。
FTCの提出した訴状内容は以下の通り。
・Adobeは年間月払いのサブスクリプションにおいて、重要な契約条件を明確かつ目立つように開示していない。
・Adobeは消費者から明示的な同意を得ることなく、クレジットカードなどに課金している。
・Adobeは消費者がサブスクリプションによる課金を停止するための簡単な方法を提供していない。
・被告らは多くの消費者から苦情が寄せられていることを認識しながら、違法行為を継続してきた。
・消費者は被告らのROSCA違反によって実質的な損害を被っている。
例えば、Adobeでライセンスを購入しようとすると、1年契約のサブスクリプションを月額で支払う「年間月払い」がおすすめのプランとしてデフォルトで選択された状態で表示されます。Adobeはこの時にプランの月額費用を目立つように表示しているものの、1年目に解約した場合に残りの月額支払いの50%である早期解約料をわかりやすく提示しません。一応ウェブサイト上に小さな文字で表示されているものの、消費者が早期解約料の提示に気付くためには、小さなアイコンにマウスを合わせる必要があります。


また、ユーザーがAdobeのサブスクリプションを解約しようとするためには多数のページを移動する必要があったとのこと。さらに、カスタマーサービスに連絡して解約を申し込むと、担当者が通話やチャットを切ったり、他の担当者にたらい回しにしたりと、遅延行為とも解釈される対応が取られていたとFTCは指摘しています。
FTCの消費者保護局長であるサミュエル・レバイン氏は「サブスクリプション登録時に事実を隠し、解約しようとすると障害物を設置する企業にアメリカ人はうんざりしています。FTCはアメリカ人をこうした違法なビジネス慣行から守るために、今後も活動を続けていきます」とコメントしました。

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