中国がアメリカに禁じられたはずのNVIDIA製AIチップをDell・Gigabyte・Supermicro製サーバーから取得していたことが明らかに


中国が高性能チップをAI搭載兵器やサイバー攻撃ツールなどに軍事転用することへの懸念から、アメリカ政府はNVIDIAなどの半導体メーカーに対し、中国への高性能チップ輸出を規制しています。しかし、中国国内の一部の研究機関や大学では、NVIDIA製チップが搭載されたDellやGigabyte、Supermicro製のサーバーを再販業者から仕入れることでこの規制を回避していることが指摘されています。
China acquired recently banned Nvidia chips in Super Micro, Dell servers, tenders show | Reuters
https://www.reuters.com/world/china/china-acquired-recently-banned-nvidia-chips-super-micro-dell-servers-tenders-2024-04-23/


Tech war: China acquired US-restricted Nvidia AI chips built in Super Micro, Dell and Gigabyte Technology servers, tenders show | South China Morning Post
https://www.scmp.com/tech/tech-war/article/3260021/tech-war-china-acquired-us-restricted-nvidia-ai-chips-super-micro-dell-and-gigabyte-technology
China somehow got its hands on advanced Nvidia chips, despite the sanctions | TechRadar
https://www.techradar.com/pro/china-somehow-got-its-hands-on-advanced-nvidia-chips-despite-the-sanctions
中国との対立が深まるアメリカでは、NVIDIAやAMD、Intelといった半導体メーカーに対し、一定のしきい値を超えるデータセンター向けチップを中国やロシアに輸出することを禁止しています。
NVIDIAやAMDに対し「中国へのAIチップの輸出規制」をアメリカ政府が命じる - GIGAZINE

中国がアメリカに禁じられたはずのNVIDIA製AIチップをDell・Gigabyte・Supermicro製サーバーから取得していたことが明らかに - 画像


しかし、ロイター通信は2023年11月20日から2024年2月28日の期間中に、中国科学院や山東人工知能研究所、国営航空研究センター、宇宙科学センター、湖北地震管理局、山東大学、西南大学など10の研究機関がNVIDIA製チップが搭載されたDellやGigabyte、Supermicro製のサーバー製品を購入していることを報告しています。
購入はオークション形式で執り行なわれ、1万ドル(約155万円)から25万9000ドル(約4000万円)もの価格で落札されたとのこと。
アメリカ政府は2023年10月17日に規制の強化に踏み切りましたが、これらの研究機関は規制の強化前に製品を購入しておいた中国国内の再販業者11社を通じてサーバーを購入しているとされています。


記事作成時点で中国国内ではチップの売買に関する規制法が存在しないため、アメリカによる規制の強化後もNVIDIA製の高性能チップが中国の研究機関に出回ることとなりました。
NVIDIAの広報担当者は「中国国内の研究機関の手に渡ったこれらの製品は、規制強化前に輸出された広く入手可能な製品です。そのため、DellやGigabyte、Supermicroといった私たちのパートナーがアメリカの輸出管理規則に違反したことを示すものではありません」と述べています。
一方でNVIDIAは「さらに調査を進め、アメリカの輸出管理規則に違反して製品が転売されたと判断した場合、顧客と協力して適切な措置を講じます」と報告しました。
同様にSupermicroは「ライセンスを必要とする地域や団体へのGPUシステムの販売と輸出に関するアメリカの輸出要件に準拠していますが、第三者が必要なライセンスを取得せずに輸出または転売していることが明らかとなった場合、問題を調査し、適切な措置を講じます」と語りました。


輸出が規制されているはずの高性能チップを入手できた要因についてカークランド・アンド・エリス法律事務所のダニエル・ガーキン氏は「あるベンダーから別のベンダーへのサプライチェーンの可視性が欠如しているためです」と指摘しています。

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