「Steamでオススメのゲームが決まる仕組み」についてValve自らが解説

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ゲーム配信プラットフォーム「Steam」にアクセスすると、今注目されているゲームが次々に表示されたり、ユーザーが購入したゲームを基にオススメのゲームが表示されたりします。こうしたゲームがユーザーに表示される仕組みについて、Steamを運営するValveのエリック・ピーターソン開発担当が解説しました。下記の動画には日本語字幕も付けられており、非常に見やすい内容になっています。
Steam Visibility: How Games Get Surfaced to Players - YouTube

ピーターソン氏によると、Steamの主な目標は「プレイヤーの好みをゲームとマッチングさせること」「プレイヤーと開発者の両方と長期的な関係を築くこと」だそうです。こうした取り組みの中で特に重要視されるのは、Steamに表示されるゲームが「プレイヤーとの関連性が高いもの」または「プレイヤーの興味に合っているもの」だとプレイヤーに信頼してもらうことにあるといいます。
こうした目標のためにValveが採用しているルールがいくつかあります。ひとつは広告を販売しないことで、実際にSteamのどのページを見ても広告枠がないことは一目瞭然です。その代わり、広告なしでもプレイヤーに興味を持ってもらう表示を心がけているとのことです。ピーターソン氏いわく、オススメとして表示されるゲームはアルゴリズムとキュレーション(人間による選別)の組み合わせで成り立っているそうです。
セール時などにSteamのトップページを見ると、一番上にゲームが大きく表示されていることがあります。今回の例では「DAVE THE DIVER」が取り上げられていますが、ここの表示枠はSteamにおける最も強力なマーケティングの場所であり、掲載条件は非常に厳しく、掲載するゲームが多くのユーザーを引きつけるというという強い確信をValveに与えることで初めて掲載されるとのこと。この枠に表示されるゲームは「キュレーション」によって決まり、全ユーザーに同じものが表示されます。

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通常時に一番上に表示されるのが「注目&おすすめ」セクションです。この枠はメインカプセルと呼ばれ、ユーザーによって違うゲームが表示されます。ここに表示されるゲームは「アルゴリズム」によって決まり、例えばプレイヤーが好むゲームの「タグ」に基づいてオススメされる場合があるそうです。

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「キュレーション」は基本的に全ユーザーに共通で、1日あるいは数日おきに表示されるゲームが切り替わります。一方の「アルゴリズム」はユーザーによって表示されるゲームが異なるほか、ユーザーが所有しているゲームや、非表示に設定しているタグを持つゲームなどは表示されないことがあります。
アルゴリズムでは各ユーザーのプレイ履歴やウィッシュリストに入っているゲームが参考にされるほか、フレンドがプレイしているゲーム、フレンドがオススメするゲーム、フレンドがウィッシュリストに入れているゲーム、住んでいる地域の売上上位のゲームなどを基に、自動的に表示されるゲームが決定されます。
「注目&おすすめ」の下にあるのが「スペシャル」セクションです。このセクションでは、事前に予定されたものや、世界中のユーザーが今どんなゲームに興味を持っているかなどの要素を基準にキュレーションによってゲームが選ばれます。ここにはMidweek DealやWeekend Dealなどのセールに関するものが多く並び、全ユーザーに同じものが表示されます。

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MidweekやWeekend Dealなどのプロモーションに取り上げられるためにはSteam全体で数百位以内のベストセラーになる必要があり、さらに売上やユーザーの動向からプロモーションに適したゲームだとValveに認識される必要があるとのこと。こうしたプロモーションに取り上げられたい場合、ローカライズをしたり、地域ごとの価格設定をしたり、マーケティングアセットなどを入れて幅広くゲームをアピールしたりすることが重要だそうです。
その下が「ディスカバリーキュー」です。ディスカバリーキューは「新作、売上上位、これまでにプレイしたことがあるタイトルに似た作品」などで構成されたオススメゲームまとめ枠で、アルゴリズムによって表示されるゲームが決まります。

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ディスカバリーキューの下が「あなたがプレイしているゲームに基づくオススメ」セクションで、詳細をクリックすると「人気」「ニッチ」などの条件を設定してゲームを探すことができます。これもアルゴリズムにより表示されるゲームが決まっているそうです。

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さらにその下には、「キュレーターに基づくオススメ」が表示されることがあります。このセクションは1人以上の「キュレーター」をフォローしていないと表示されません。キュレーターとは「ユーザーがSteamカタログ内から興味を持ちそうなゲームを見つけられるように、おすすめを教えてくれる個人あるいは団体」のことであり、日本向けだと各種ゲームの日本語化情報をまとめている「日本語化情報」や、ゲーム実況者のもやししゃも氏が運営する「未確認ゲーム日和」といったコミュニティがあります。

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このほか、「最近のアップデート」「人気のVRゲーム」「話題の新作」といったさまざまなセクションがあります。こうしたセクションで選ばれるゲームについて、ピーターソン氏がもう少し掘り下げて解説しました。
まずは「話題の新作」セクションについての解説です。このセクションには、リリースされた後に一定の基準を満たした「新作」がリストの一番上に自動的に表示されます。

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次に「売上トップ」のセクションですが、これはDLCやサウンドトラックも含めた過去24時間の総収益に基づいて表示されるゲームが決まるそうです。これらのセクションに表示されるゲームは地域ごとに変わり、例えばドイツだと「Baldur's Gate 3」や「Counter-Strike: Global Offensive(後のCounter-Strike 2)」が並びます。

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他方、日本だと「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」や「エーペックスレジェンズ」が上位に来ます。

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「人気の近日登場」のセクションには、近日登場する予定のゲームのうち、ウィッシュリストに入れられている数が多いゲームが並びます。ゲームが基準を満たすと表示対象となり、リリース日順に表示されるとのこと。主に過去2週間のウィッシュリストの動向が反映されているそうです。

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最後はまた「スペシャル」セクションです。ここには「割引き中」かつ「人気」の作品が並びます。

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次にピーターソン氏はSteamにまつわるいくつかのうわさについて言及しました。
まず、「Steamのストアページへのアクセス数によってゲームの露出度が決まるのでは」といううわさについては、根も葉もなく、そのような仕組みは存在しないとピーターソン氏は一蹴しました。とはいえ、アクセス数が多いということはそれだけゲームが購入される可能性が高いとも言えるため、有益であることには違いないそうです。

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また、「レビューのスコアによって露出度が決まるのでは」という説も一部の例外を除いて否定されるとのこと。その例外とは、肯定的なレビューが40%を下回るゲームです。ピーターソン氏いわく、40%未満というのは「ほぼ否定的」なゲームであり、このような評価の低いゲームがオススメされることはほとんどないそうです。
もうひとつがウィッシュリストです。多くのユーザーがウィッシュリストに入れているからといって、そのゲームが多く表示されることはありませんが、前述の「人気の近日登場」だけはウィッシュリストの数を参照するため例外になります。これ以外の、例えばトップページやディスカバリーキューといったページへ表示されるかどうかについては、ウィッシュリストの数は影響しないとのことです。

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一方でオススメに大きく影響するのがローカライズです。Steamのゲームはユーザーが住んでいる地域ごとにオススメされますが、地域に合わせた言語を提供していないゲームがオススメされる確率は大きく下がります。逆に言えば多くの言語に対応させるほどオススメされる確率も上がるので、こうしたローカライズは非常にオススメだとピーターソン氏は語りました。ゲームそのものをローカライズすることに加え、ストアページの表示言語をローカライズすることも有効な一手だそうです。

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最後に、ピーターソン氏は開発者へのアドバイスとして「ストアページを公開して終わりではなく、Discordコミュニティやその他のSNSを使ってマーケティングを行うことが重要です。最初の一歩で大きくリーチできれば、その後も雪だるま式にリーチが増えていくでしょう。過去にゲームの出来の良さだけで大ヒットした例はありますが、極めてまれです。リリースまでにできるだけ認知度を上げて、勢いをつけることが肝心です」と述べました。

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