Linuxユーザーの増加につながったと考えられる5つの事情

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デスクトップOSシェアで、Linuxの割合が4%を超えました。全体の7割をWindowsが占める状況からいえば、4%はごくわずかな数字に過ぎませんが、30年以上の歴史を持つLinuxのシェアが2023年6月時点で初めて3%台になったことを考えると大きな前進だといえます。ただ、直近でLinuxにそれほどまで大きな変化があったわけではなく、なにが数字を支えているかははっきりしません。そんな中で、ビジネスやテクノロジーに詳しいジャーナリストのスティーヴン・ヴォーン=ニコルズ氏が、Linuxユーザー増加につながったと考えられる5つの事柄をピックアップしています。
5 reasons why desktop Linux is finally growing in popularity | ZDNET
https://www.zdnet.com/article/5-reasons-why-desktop-linux-is-finally-growing-in-popularity/
◆1:MicrosoftはWindowsにそれほど興味がない
ヴォーン=ニコルズ氏が最初に挙げたのは、デスクトップOSのシェアの大部分を占め続けているWindowsの事情です。
シェアの7割を占めているのに「興味がない」とヴォーン=ニコルズ氏が表現している理由は、Microsoftのビジネスの中でのWindowsの位置づけです。Microsoftの2024年第2四半期(2023年10月~12月)決算の売上を見ていくと、最も売上が多かったのはAzureやサーバーを扱うインテリジェントクラウド部門、2番目はOfficeやLinkedInなどを扱うビジネスプロセス部門、3番目はWindowsを抜いてゲーム部門が入っています。
Microsoftが2024年第2四半期の決算を発表、売上は前年同期比18%増の9兆1500億円でActivision Blizzard買収によりゲーム部門の売上がWindowsを上回り3番目に大きなビジネスに - GIGAZINE

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こうした事情からヴォーン=ニコルズ氏は、MicrosoftとしてはWindowsを購入してもらうより、むしろMacやChromebook、Android、iOS、そしてLinuxでも実行可能なクラウドPCサービス「Windows 365」のサブスクリプションに加入してほしいと思っているはずだと意見を述べています。
2:Steamによるゲームの発展
ヴォーン=ニコルズ氏によると「長らく、Linuxにとってゲームは重要な要素ではなかった」とのこと。
しかし、ゲームプラットフォーム・Steamの開発元・Valveは、ソフトウェア開発企業のCodeWeaversと共同で、Windows向けソフトウェアをUNIX系OSでネイティブ動作させる「Proton」を開発。おかげで、「Linuxでゲームを遊ぶ」という選択肢が浮上するようになったとのこと。
SteamユーザーがLinuxに切り替えても不自由なくゲームを楽しめるよう開発された「Proton」でプレイできるタイトル数が1万2000本を突破 - GIGAZINE

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2023年には、Steamで遊んでいるゲーマーのOSシェア2位に、macOSを抜いてLinuxが浮上しています。
SteamゲーマーのOSシェアでついにLinuxがmacOSを追い抜く、「Steam Deck」が影響する可能性 - GIGAZINE

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3:一部のディストリビューションの使いやすさがようやくユーザーに伝わった
「Linuxは使うのは難しいと言われるけれど、そんなことはなくて、仕事と遊びで使うだけなら適したディストリビューションがたくさんあります」とヴォーン=ニコルズ氏は説明。
特に、「Linux Mint」が誰にとっても使いやすくて優れたOSだとオススメしています。
Home - Linux Mint
https://linuxmint.com/

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4:Linux用ソフトの検索とインストールが容易になった
ヴォーン=ニコルズ氏によると、一部のLinux純粋主義者は「Flatpak」「Snap」「AppImage」など、アプリケーションをコンテナ化するインストールプログラムを嫌っているとのこと。
しかし、開発者側からすれば、さまざまなディストリビューションに合わせてソフトウェアを調整する必要がないので好まれており、ユーザーとしても、インストール時に細かい手順を気にすることなく、欲しいプログラムを選べるようになるので助かるようになっているそうです。
5:インドで人気が高まっている
人口が世界一で、「IT大国」として成長が著しいインドにおいてLinuxは人気を博しています。インド国内のOSシェア1位はもちろんWindows(70.37%)なのですが、2位はLinuxで、15.23%ものシェアがあるとのこと。世界的にいえば2位のOS X(macOS)は、インドでは第4位(3.11%)だそうです。
こうした理由から、Microsoftが方針を改めることがなく、学校のPCがChromebookで占められていくような状態が続くのであれば、2024年が「Linuxの年」になる可能性はあるとヴォーン=ニコルズ氏は状況をまとめています。
なお、ポテンシャルを持ちながらもLinuxのシェアが伸びなかったのは、200を超えるディストリビューションに分かれていることや、主要なLinuxディストリビューターであるCanonicalやRed Hat、SUSEがサーバーやクラウド、コンテナ、IoTで利益を上げていて、Linuxデスクトップを優先していないことが理由だそうです。

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