SpaceXが農業機械メーカーのDeereと契約を締結、農村部のトラクターや収穫機などでインターネット接続が可能に

SpaceXが農業機械メーカーのDeereと契約を締結、農村部のトラクターや収穫機などでインターネット接続が可能に - 画像


2024年1月16日、SpaceXの衛星インターネットサービス「Starlink」がアメリカの農業機械メーカーのDeere & Companyと契約を結んだことを発表しました。これにより、電波の弱い農村部でもDeereのトラクターや除草剤散布機などをインターネットに接続して利用することができるとのことです。
John Deere, Meet Elon Musk: SpaceX Satellites to Link Farm Giant’s Equipment - WSJ
https://www.wsj.com/business/telecom/john-deere-meet-elon-musk-spacex-satellites-to-link-farm-giants-equipment-e0936668

SpaceXが農業機械メーカーのDeereと契約を締結、農村部のトラクターや収穫機などでインターネット接続が可能に - 画像


BT in talks with Elon Musk’s Starlink for broadband offer
https://www.telegraph.co.uk/business/2024/01/14/bt-elon-musk-starlink-broadband-offer/
アメリカ・イリノイ州に本社を置くDeere & Companyは、これまで作物と雑草を区別できるソフトウェアを搭載した除草剤散布機や、無人で畑を耕すことが可能なトラクターなど、農家向けのコンピューター支援サービスを構築してきました。Deereのサービスを利用することで、畑に設置した機器をリモートで監視したり、土壌や種、植え付けに関するリアルタイムのデータを受け取ったりすることが可能です。
しかし、これらのサービスを利用するためには、適切なインターネット接続が必要です。Deere & Companyによると、アメリカの農村部の約30%は十分なWi-Fiが通っていないとのこと。また、ブラジルでは農村部の70%以上でWi-Fiが未開通とされています。
今回のSpaceXとDeere & Companyの契約によって、適切なインターネット回線がない地域でも、Starlinkの衛星インターネットサービスを利用してDeere & Companyのトラクターや農薬散布機などの機器を使用できるようになります。Deere & Companyの最高技術責任者であるジャミー・ハインドマン氏は「今回の契約により、世界中のあらゆる場所でのユビキタス接続の実現に一歩近づきました。既存のテクノロジーをこれまで以上のお客様に届けられる今回の契約は、私たちにとって最大のビジネスチャンスです」と述べています。
今回の契約を受けて、SpaceXのイーロン・マスクCEOは「農家にとって喜ばしいことになるでしょう」と語っています。
This will be great for farmers— Elon Musk (@elonmusk) January 15, 2024

SpaceXによると、Deere & Companyが販売する農業機械でStarlinkサービスが利用可能になるのは2024年後半で、まずはアメリカとブラジルの農村部でサービス開始予定です。また、Deere & Companyは「Starlink接続用のアンテナは、土ぼこりの多い過酷な条件でも耐えうるカスタマイズが施された上で農業機械に設置されます」と報告しています。
Starlink is ideal for rural locations. Later this year, @JohnDeere will begin equipping new and existing machines across the United States and Brazil with Starlink to help connect farmers with high-speed internet so they can fully leverage precision agriculture technologies… pic.twitter.com/Jr36oTvGa4— Starlink (@Starlink) January 15, 2024

なお、Deere & Companyは「Starlink接続用のアンテナとソフトウェアサービスの使用料金はまだ未定です。Starlink以外にも、適切な陸上向け衛星通信サービスに加入している場合、Deere & Companyはソフトウェアサービスの使用状況に応じて料金を請求する予定で、この場合新たに機器を購入する必要はありません」と報告しました。
SpaceXのStarlink事業と契約を締結しているのはDeere & Companyだけでなく、イギリスの大手電気通信事業者であるBTグループもStarlinkと交渉を行っていることが報じられています。
BTグループは、Starlinkの衛星通信サービスを利用してインターネット回線が十分に届かない田舎でも、ブロードバンドサービスやモバイル回線を提供することを検討しています。Starlinkでは、既存のスマートフォンから直接衛星通信サービスが利用できる「Direct to Cell」の開始に向けた取り組みが行われており、2024年1月8日には、Direct to Cellを利用した最初のテキストメッセージの送受信に成功したことが報告されています。この技術を利用して、従来のケーブルなどでは回線を届けられなかった田舎に、インターネット回線を届けられることが期待されています。
SpaceXがStarlinkの「Direct to Cell」を利用して衛星インターネット経由で携帯電話に送った最初のテキストメッセージを公開 - GIGAZINE

SpaceXが農業機械メーカーのDeereと契約を締結、農村部のトラクターや収穫機などでインターネット接続が可能に - 画像

ジャンルで探す