SpaceXがStarlinkの「Direct to Cell」を利用して衛星インターネット経由で携帯電話に送った最初のテキストメッセージを公開

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SpaceXが2024年1月3日に打ち上げた人工衛星には、既存のスマートフォンから直接SpaceXの衛星通信「Starlink」を利用することができるサービス「Direct to Cell」の実現に向けた6基のStarlink衛星が含まれていました。そんなSpaceXが2024年1月8日、「Direct to Cellを利用した最初のテキストメッセージの送受信に成功しました」と報告しています。
DIRECT_TO_CELL_FIRST_TEXT_UPDATE.pdf
(PDFファイル)https://api.starlink.com/public-files/DIRECT_TO_CELL_FIRST_TEXT_UPDATE.pdf

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“Such signal, much wow”: Starlink’s first texts via “cellphone towers in space” | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2024/01/starlink-shows-off-first-texts-to-t-mobile-phones-sent-via-spacex-satellite/
SpaceXの「Direct to Cell」サービスとは、空が見える場所であればどこでも既存のLTE対応スマートフォンをモバイル回線に接続することができるというサービスで、接続の際にはハードウェアやソフトウェアの変更が不要、かつ特定のアプリを使用する必要もありません。そのため、従来のモバイル回線では電波が弱い、または電波が届かない地域でもモバイル通信が可能になります。
Direct to Cellの実現に向け、SpaceXはDirect to Cellに対応した最初の6基のStarlink衛星を2024年1月3日に打ち上げました。SpaceXは、2024年中にDirect to Cellを利用したテキストメッセージの送受信サービスを開始し、2025年中に音声通話およびデータ通信サービスを開始する予定であることを明かしています。
スマホから直接衛星通信サービス・Starlinkを利用できるようにするSpaceXの「Direct to Cell」サービス開始に向け最初の人工衛星6基が打ち上げられる - GIGAZINE

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そして2024年1月8日、SpaceXは「1月8日にStarlinkチームが、1月3日に打ち上げられた新しいDirect to Cell衛星の1つを介して最初のテキストメッセージの送受信に成功しました」と報告しました。SpaceXは「Go SpaceX!」や「Much wow」などのテキストメッセージのやり取りを行った2台のスマートフォンの画面を公開し、X(旧Twitter)上に投稿しています。
Texts between two phones sent through our Direct to Cell satellites in space pic.twitter.com/jd8b7uiZSq— SpaceX (@SpaceX) January 11, 2024

SpaceXの投稿を見たXユーザーは、メッセージが1つ送信できていなかったり、やりとりの順番があべこべになっていたりといった点を指摘しつつも、「でもすごい」と称賛しています。
Missed one. Awesome though! pic.twitter.com/UfebFnPT6x— ????Tyler Hilliard???? (@TylerHilliard) January 11, 2024
SpaceXは「これらのテキストの送信を可能にするプロセスは非常に複雑でした」と振り返っており、「従来の地上ネットワークに関連する携帯電話基地局は静止していますが、Starlink衛星を利用した衛星ネットワークでは、地球上のユーザーに対して常に時速数万マイル(数万キロメートル)で移動しています。そのため、ドップラー効果や通信タイミングの遅れなど、ユーザーのスマートフォンと衛星との間の通信にさまざまな困難が生じてしまいます。スマートフォンを衛星に接続し、安定した通信を行うためには、克服すべきさまざまな課題が存在しています」と述べました。
SpaceXによると、Starlink衛星とスマートフォンとの安定した通信は非常に困難ですが、Direct to Cell対応の人工衛星にはこれらを実現するための新たなカスタムチップやフェーズドアレイアンテナ、高度なソフトウェアアルゴリズムが備えられているとのこと。
一方でSpaceXのイーロン・マスクCEOは打ち上げの際に「Direct to Cellサービスは、電波が届かない場所にとっては優れたソリューションになりますが、回線の速度は最大7Mbpsにとどまるため、既存のネットワークとの競争力はありません」と指摘しています。
This will allow for mobile phone connectivity anywhere on Earth.
Note, this only supports ~7Mb per beam and the beams are very big, so while this is a great solution for locations with no cellular connectivity, it is not meaningfully competitive with existing terrestrial… https://t.co/ymHpw8XBHl— Elon Musk (@elonmusk) January 3, 2024

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