アップル新イヤホン「AirPods 4」発売! 使って分かった“7つの特徴”

AirPodsシリーズは、いま最も人気のワイヤレスイヤホンです。アップルは、9月20日にアクティブノイズキャンセリング機能を搭載する、価格が3万円以下の新製品「AirPods 4」を発売します。筆者が発売直前のAirPods 4を試しながら発見した“7つの特徴”に注目しながらご紹介したいと思います。

AirPods 4にはノイキャンあり・なしの2モデルが登場

AirPods 4は、アクティブノイズキャンセリング(ANC)機能の有無が異なる2種類のモデルがあります。アクティブノイズキャンセリング機能を搭載するAirPods 4は29,800円、非搭載のAirPodsは21,800円です。

AirPods 4は、アップルが2016年12月に発売した最初のAirPodsの流れを汲む開放型のワイヤレスイヤホン。イヤホンのハウジング(外殻)に空気の通り道となる小さな孔を設けることで、AirPodsシリーズは透明感と切れ味に富んだサウンドを特徴としてきました。

2019年10月に発売された初のANC搭載機である「AirPods Pro」は、ハウジングを密閉構造とし、さらにシリコン製のイヤーピースで耳に栓をする遮音性能の高いイヤホンです。

開放型のAirPodsはその後「AirPods(第2世代)」「第3世代のAirPods」として進化を続けてきました。その最新モデルであるAirPods 4は、音質がとても良くなっています。
【1】驚きの音質向上

AirPods 4は、従来の開放型AirPodsとは異なる新しい音響構造、歪みを低減したアップル独自開発のドライバーとアンプを搭載しています。それぞれの要素を合わせこみながら、イヤホン先端のノズル形状や装着性にまで及ぶ細かな改善を図ったことで、従来の開放型AirPodsよりも力強く、迫力のあるサウンドを楽しませてくれます。

その魅力は音楽のジャンルを問わず、演奏者によって奏でられた音やボーカルの「生々しさ」を伝えてくれるところにあります。例えるなら、初代のAirPodsで聴くサウンドがテレビの画面越しに視聴するコンサート映像の音だとすれば、AirPods 4はコンサート会場で生の演奏を浴びているようなリアリティを実感させてくれます。

開放型イヤホンはその構造上、低音再生が不得手ともいわれていますが、AirPods 4の低音は肉厚で躍動感に富んでいます。低音が安定すると、演奏される音楽の情景が際限なく広がる感覚が味わえます。テイラー・スウィフトの『Shake It Off』や、上原ひろみ、馬場智章、石若駿が参加する映画「BLUE GIANT」のサントラから『FIRST NOTE』などの楽曲は、AirPods 4の新鮮なサウンドの魅力に触れられる良いリファレンスです。

なお、AirPods 4はどちらのモデルも音質が向上しましたが、ANCを搭載するAirPods 4の方が低音はより引き締まって感じられると思います。
【2】アクティブノイズキャンセリング機能の消音効果は期待以上

開放型イヤホンの弱点は音漏れに弱いこと。周囲が騒がしいところで使うと、イヤホンで聴いている音が聞こえなくなり、音量を上げると今度は自分が聴いているコンテンツの音が周囲に漏れる…という悪循環が発生します。

開放型イヤホンにANC機能を搭載することは、むやみに音量を上げることによる音漏れを防ぎ、ユーザー自身の耳にかかる負担を軽減する良い効果をもたらします。

とはいえ、ハウジングが開放構造になっているので、密閉型のイヤホンほどANCの効果が十分に得られない製品もたくさんあります。ですが、AirPods 4の遮音性能は期待以上でした。周囲で話す人の声、スポーツジムの店内BGM、クルマの走行ノイズなども、ANCをオンにして音楽再生を始めるとほぼ気にならなくなります。目安としては、ANC機能が強化される前の、初代AirPods Proのノイズキャンセリング性能に肩を並べるレベルだと思います。

ただ、消音されすぎてしまうと屋外で安全にAirPods 4を使いづらくなります。特に、屋外では外部音取り込み機能を活用するべきです。

【3】とてもクリアな外部音取り込みを搭載

AirPods ProやAirPods Maxを使ったことがある方は、イヤホン・ヘッドホンを装着したまま外の環境音が聞ける「外部音取り込み」の実力をご存じだと思います。筆者は、他社のイヤホン・ヘッドホンが搭載する外部音取り込み機能を聴き比べてきましたが、AirPodsシリーズの完成度の高さはダントツです。

AirPods 4が搭載する外部音取り込みも、オンにするとイヤホンを着けていることを忘れてしまうほどキレイに周囲の環境音が聞こえてきます。イヤホンのスティック部分には、感圧センサーがクリック操作を認識するリモコンを内蔵しています。リモコンの長押し、またはiPhoneのコントロールセンターなどからANCと外部音取り込みを素速く切り替えられます。
【4】耳に乗せるだけの心地よい装着感

筆者の周りには、自分の家族を含めて「初代のAirPodsは問題ないけれど、第3世代のAirPodsは耳に入らない」という人が多くいます。確かに、第3世代のAirPodsはハウジングの形がコロッとしています。新しいAirPods 4は、特に耳に触れる側のハウジングはよりフラットに、ノズルの先端はシャープなデザインに変更されています。家族に試してもらったところ、「これなら大丈夫!」とお墨付きをもらいました。

アップルは、数千を超える耳型のサンプルから、最先端の工作機械を使ってAirPods 4の新しい形状にたどり着いたそうです。AirPods Proのようにシリコン製のイヤーピースで耳栓をするタイプのイヤホンが苦手という人にも、イヤーピースを使わないAirPods 4はよい選択肢のひとつになります。
【5】AirPodsシリーズ史上・最小サイズの充電ケース

AirPods 4の充電ケースは、過去にアップルが発売したどのAirPodsよりもコンパクトで可搬性に優れています。そのぶん、内蔵するバッテリーのサイズが犠牲になっているわけでもなく、第3世代のAirPodsと同じく最大30時間の再生が楽しめるバッテリー容量を確保しています。

従来の充電ケースには、ペアリングモードやリセットモードに切り替えるためのボタンが搭載されていました。AirPods 4ではこれを省き、ケースの前面パネルをダブルタップするとペアリングモードに切り替わるようになりました。

ANC機能の有無により、AirPods 4の充電ケースの仕様が変わります。ANCなしのモデルは充電ケースがワイヤレスチャージに非対応。「探す」アプリによる遠隔探索時や、バッテリー残量の低下を知らせる際にチャイムを再生するスピーカーも内蔵していません。
【6】AirPodsの最新機能をサポート

AirPods 4をペアリングすると、iPhoneの「設定」アプリの中にAirPodsの設定メニューが現れます。メニューには適応型オーディオ、会話感知などAirPods 4によるリスニングや音声コミュニケーションを快適にする最先端の機能が並んでいます。

AirPods 4は、空間オーディオやダイナミックヘッドトラッキングにももちろん対応しています。秋からAirPods Pro 2でも使えるようになる「頭のジェスチャ」は、AirPods 4も着信の受話・拒否などハンズフリーで操作したい時に使えます。購入後もさまざまな機能アップデートが期待できそうです。
【7】充電用コネクターは汎用性の高いUSB-Cに

AirPods 4は、充電用コネクターがUSB-Cになりました。iPhoneも、2023年に発売されたiPhone 15シリーズからUSB-Cコネクターに切り替わったので、充電する際には同じUSB-Cケーブルが使い回せます。旅行の際に持参しなければならないケーブルがひとつでも減らせるのでありがたいです。

以上、AirPods 4の「7つの特徴」をピックアップしました。イヤホンはデザインもさることながら、音質や装着感、ノイキャンのかかり方など、人それぞれの好みが分かれるアイテムです。AirPods 4の実力は、Apple Storeなど店頭で直に触れて体験することをおすすめします。

著者 : 山本敦 やまもとあつし ジャーナリスト兼ライター。オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。独ベルリンで開催されるエレクトロニクスショー「IFA」を毎年取材してきたことから、特に欧州のスマート家電やIoT関連の最新事情に精通。オーディオ・ビジュアル分野にも造詣が深く、ハイレゾから音楽配信、4KやVODまで幅広くカバー。堪能な英語と仏語を生かし、国内から海外までイベントの取材、開発者へのインタビューを数多くこなす。 この著者の記事一覧はこちら

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